「茶々ね、とっても不満な事があるの」
むすっとした顔で、全身から不満ですというオーラを出す茶々。
そんな茶々に、アナスタシアは目を輝かせながら、
「マスターがイタズラを当然のように回避することかしら。だとしたら手伝うわ。この前転ばせようと床を凍らせたらマスターがかかる前にエルキドゥに叱られたのはまだ納得いかないの」
「それは当然の対処だと思う」
「そんなっ!」
「そうだな。正面から堂々やれば問題なかったと思う」
「違う、そうじゃない」
「全くだ。んなことやってガキどもが怪我したらどうすんだ。やるんならすぐ引っ掛かるように通る寸前でやれ」
「アシュたんは間を取った名案みたいなの生み出さないで。話が進まないから」
けどそれはそれとして後で実践するけどね。と付け加えつつ、咳払いを一つ。
「なんでアシュたんがここにいるのかってことです」
「それはあれだ。一昨日くらいに緑茶が運んでいたのを貰ったからだな。マスターがここに涼みに来たら厄介なので番犬だ」
「番犬……」
「おぅそれ以上繰り返したら燃やすぞ」
繰り返したせいでアシュヴァッターマンに睨まれる茶々。
すると、それを見ていたアナスタシアは、ニヤリと笑い、
「……番犬」
「いぃ度胸だゴラァ! 燃やし尽くしてやらぁ!」
そう言ってアナスタシアを追いかけるアシュヴァッターマン。
なんとなくこうなる予感がしていた茶々は苦笑い浮かべ、スカディはクスリと笑う。
そして、アナスタシアが扉を背にし、アシュヴァッターマンが拳を振るったときだった。
「アナスタシアさんいますか」
「「「あ」」」
唐突に開かれた扉の先には、アナがいた。
既に拳を振るっているアシュヴァッターマンと、それをかわしたアナスタシアはもちろん、見ていた茶々とスカディも止める余裕もない。
そして、燃え盛る拳が迫ったアナは――――
身を屈め、当たる寸前でアシュヴァッターマンの顎にサマーソルトキックを叩き込み、吹き飛ばす。
容赦のないその一撃を受けたアシュヴァッターマンは、過去最速の勢いで昏倒するのだった。
それを見た三人は、少しの沈黙のあと、
「またアシュたん倒れてるんだけど」
「相性不利の上にレベル差99。クリティカルだから一撃なのも仕方ないわね」
「さて。とりあえず医務室だな。私が連れていこう」
あまりに酷い展開に、流石のスカディも同情したのか、普段なら自分でしない医務室へ連れていくという行為を自らする。
「……それで、アナスタシアになんか用なの? 話は聞くけど」
「あぁ、そうでした。かき氷を作るので氷を作ってくれとマスターが。よろしくお願いします」
「え、えぇ……分かったわ」
そう言って、茶々以外が部屋を出る。
そして、茶々は明後日の方を見ると、
「アシュたんにはもっと平和に過ごせる場所に行ってもらおう」
そう呟いて、部屋の片付けを始めるのだった。
アシュ兄貴はキレ芸一撃昏倒ネタ枠になってしまった……? どうしてこうなった……?
感想でアナの名前を見て、最近全く出してないことに気付いたので組み込もうとして、その前に考えてたネタに無理矢理組み込んだらアシュ兄貴が死んでた……なんで?