「エリちゃ~ん!」
「うわぁ!? 何々どうしたのよ子イヌ!!」
オオガミに飛びかかられたエリザベートは、そのまま押し倒される。
「いったたた……突然どうしたのよ……」
「いや、特に深い理由は無いんだけど……なんというか、衝動と言いますか、何と言いますか?」
「そ、そんな……でもでも、
「うん。まぁ、それは分かってるけど。んで、何をする予定だったの?」
先に起き上がるオオガミは、エリザベートを助け起こしつつ、そんなことを聞く。
エリザベートはオオガミの手を借りながら立ち上がると、首を傾げ、
「何をするって言われても困るんだけど……食堂でクッキーでも食べようかなって。そっちは大丈夫なの? その、エウリュアレとか」
「あぁ、うん。大丈夫。ちゃんと寝てるうちに来たから」
「何その密会みたいなの。バレたら殺されちゃうんじゃない?」
「それはほら、たぶん何やっても変わらないので」
「ま、巻き込まれたくはないんだけど……一緒に吹き飛ぶとか、勘弁願いたいのだけど」
「いや、流石に害はないと思うけどさ……大丈夫大丈夫。ちゃんと逃げれば問題ないって」
「ちゃんと生け贄にするからね。覚えてなさいよ?」
「はいはい。じゃあレッツゴー!」
そう言って、二人は食堂に向かうのだった。
* * *
「ふむ。二人でいるのは珍しいな」
「まぁね~。エウリュアレもメルトもいないのは激レアだよ」
「逃げてきたんだって。珍しいわよね!」
「あぁ。明日には弓でも降るのではないか?」
そう言って、皮肉っぽく笑うエミヤ。
そんなに激レアですか。と突っ込みつつ、持ってきたクッキーと食べる。
「いやなに、あれだけ一緒にいるんだ。一心同体。いや、比翼の如く、離れたら死んでしまうような雰囲気があったからな。一人でも入れるのかと思ってな」
「エミヤさんは余計な事言いますよね。今度エウリュアレに撃たれてみます?」
「遠慮しておこう。彼女の宝具は男性には厳しいからな。それで、何かを作った方が良いか?」
「あ~……エリちゃんは何かある?」
「クッキーのおかわりを所望するわ!」
「了解だ。用意するとしよう」
そう言って、オオガミ達と別れて厨房の奥へ行くエミヤ。
それを見送った二人は、
「で、本当にお茶をするだけなの?」
「えっ。それ以外にある?」
「……ライブの予定とか?」
「あ~……そうだねぇ……余裕があったらルルハワかその後にでも用意しようか」
「本当に!? 嘘じゃないでしょうね!!」
「出来るかはわからないけどね。出来なかったら、その時はごめんね?」
「えぇ、気にしないわ! だってほら、マスターはやってくれるって信じてるもの!」
「うぐっ、信頼が重い……」
そう言って胸を押さえるオオガミ。
そんなオオガミの首に背後から腕が回され、
「そうねぇ。大丈夫。やってくれるわ。私が寝てるうちに遊びに行くくらいの茶目っ気があるけど。きっとやってくれるわ」
「ヒィッ」
「……やっぱり見つかったじゃない……」
エウリュアレの声に、一瞬で顔が青くなるオオガミと、目を逸らすエリザベート。
「何時になるかは分からないけど、期待していいと思うわよ。そういう約束に関しては破らないもの。えぇ、本当に」
「そ、そう。うん。分かったわ。練習しておくわね」
「えぇ。楽しみにしてるわ」
そう言って、エウリュアレはオオガミから離れて行くのだった。
それを見送ったエリザベートは、
「ちょっと。スッゴイ怒ってた気がするんですけど! どうするの!?」
「あ、後でどうにかしてきます……うん。エリちゃんは気にしないでライブの練習しても大丈夫だよ……!」
そう言ってグッと親指を立てるオオガミの顔は、真っ青だったので安心できないエリザベートなのだった。
発作的にエリちゃんを出したくなったので出した。まるでヒロインみたいだとかエウリュアレは捨てたんですかとかメルトのことは遊びだったんですかとかは聞くけど聞き流すか声を大にして私はメルトが好きですと叫ぶので安心してください。エリちゃん可愛いから絆マにしてよね!(早口