「はぁ~……なんでこう、振り回されてるんでしょう。納得いかないんですけど」
「
「振り回してる張本人にそれを言われるのはより一層納得いかないんですけど!」
もっしもっしとピーチタルトを食べるバラキー。
その様子を見ながら、カーマは不満そうに言う。
「そうは言ってもなぁ……吾は別にずっとついてこいとか言ってないのだが。毎度暇そうにしている汝に声をかけてはいるがな?」
「うぐっ。それを言われると返す言葉もないんですが……まぁ、確かに暇ですけど。でも、毎度構っていられるほど暇って訳でもないんですよ」
「いや、だからそのときは吾は誘わぬだろうが」
「なんで声をかけてくれないんですか!」
「えぇ!? それ、吾が怒られるところか!?」
八つ当たりのような文句に、困惑するバラキー。
カーマは頬を膨らませながら、
「全く。貴女は変なところで気が利くので、鬼らしく気を利かせないでください。そういう横暴なので良いんですよ」
「えぇ……吾、前にそれをして厨房組に菓子を取り上げられたからしたくないのだが……」
「なんで懐柔されてるんですか!? 鬼ってそんなのでしたっけ!?」
「いや、吾もどうかと思うが……しかし、随分と鬼らしいことにこだわるな? 何かあるのか?」
訝しげな視線をカーマに向けるバラキー。
だが、当の本人であるカーマは、不思議そうな顔で、
「えっ。いえ、別になにもないですけど。ただ、なんとなくそうするのが貴女の目標なのでしょう?」
「……汝にそれを言われるのは、些か気分が悪い。次言ったら許さぬぞ」
「はぁ。よく分かりませんけど、分かりました」
分からないながらも、別段機嫌を損ねたいわけでもないカーマは、素直に頷く。
「しかし、カーマは喰わぬのか?」
「え? あぁ、タルトですか? 貰って良いのなら貰いますけど」
「む。喰わぬか。とは聞いたが、吾のをやる。とは言ってないぞ」
「……じゃあ、奪わせてもらいます」
「なぁっ!?」
突然バラキーのタルトに手を伸ばしてくる。
それに対して、バラキーは素早く皿ごと移動させてカーマの魔の手をかわす。
「な、何をする! 吾のタルトを奪う気か!?」
「えぇ。宣言したでしょう? 諦めて私に渡しなさい!」
「絶対に嫌だ! 断る!! ハロウィンのマカロン事件を忘れておらぬからなぁ!!」
「いや、それはカーマとは関係ねーでしょうが」
ズビシッ! と背後からバラキーの頭にチョップをいれるロビン。
二人は硬直し、そして、怒られている子供のようにロビンから目を逸らして下を向く。
「……あ~、食いたいなら取ってきてやるよ。だからほら、皿を下ろせ茨木」
「むぅ……緑の人に言われたならば仕方あるまい……」
「完全に手なずけられてるじゃないですか……」
「んじゃ、おとなしく待ってろよ~」
そう言って、ロビンは厨房に向かっていく。
それを見ていたカーマは、下りてきていた皿の上からタルトを奪いつつ、
「なんだかんだ、苦労しそうな性格してますよね。あの人……あ、このタルト美味しいですね」
「うむ。吾も思う。あと吾は許可してないぞ」
「そうですね。貰いました。ロビンさんが持ってきたら少しあげますよ」
「約束だぞ」
そう言って、二人は笑うのだった。
カーマとバラキーの仲の良さが凄い事に……まぁ、仲がいいならいいかな……?