「……なにこれ」
廊下でそう言うオオガミの前には、二頭身でちびノブくらいの大きさのちびBB。
すると、彼女は怒ったような表情になり、
「コレじゃないです! センパイの可愛い後輩、BBちゃんですからね! 正確にはちょっと違うんですけど……まぁ、ちびノブをベースにして、一昨年のレースの時のイシュタルさんを参考にして個人的に作ったものなんですけど。試運転を兼ねてちょっとカルデア一周してます」
「なるほど? じゃあ、一緒に行こうか?」
「ん。そうですね……敵だと思われるのも癪なので、一緒に来てくれるとありがたいです」
「了解」
「えっ、ちょ、うひゃぁ!!」
ひょい。とちびBBを抱えあげるオオガミ。
恥ずかしいのか分からないが、じたばたと暴れたちびBBだったが、やがて離そうとしないオオガミに諦め、
「もう……エウリュアレさんに見つかっても知りませんからね」
「うん。ちゃんとBBを差し出しておくね」
「私を生け贄にしてません?」
「大丈夫大丈夫。流石に今のBBを砕きはしないでしょ。人形みたいだし。まぁ、メルトだったら確実に破壊しに来ると思うけど」
「あ~……ありそうですねぇ……人形でも、私の顔をしているのなら平然とぶち壊しに来そうですし」
「そうね。私は物騒だもの。とりあえずBBの顔があったら蹴り砕いちゃうかもしれないわ」
「だよね~!」
あはははは。と笑い、一拍。流れるように、いつの間にか後ろにいたメルトにちびBBを渡す。
暴れるちびBBを見たメルトは、しかし。それを受けとることなくオオガミに近付くと、
「別にコレが欲しい訳じゃないの。私が我慢ならないのは、コイツに構ってて、私をないがしろにされるのが我慢ならないの。分かる?」
「う、むぅ……ごめん。忘れてた訳じゃないんだけど、何をしようか考えてたら時間経っちゃってて」
「良いわ。それで、何をする予定だったの?」
「このちびBBの試運転を兼ねてカルデアを回ろうかなって。まぁ、決めたのはBBなんだけど」
「ふぅん。そう。じゃあ行きましょう? エウリュアレはしばらく食堂にいるはずだから、最後に食堂に行けば問題ないわね」
そう言って、オオガミの手を引くメルト。
すると、ここまで静かにしていたちびBBが突如抜け出すと、その場からメルトに向かって蹴りを叩き込む。
そして、
「目の前で突然いちゃつかないでください!! 思わず蹴りたくなっちゃうじゃないですか!」
「もう蹴ってますけど!?」
胸を張ってそんな事を言い張るちびBB。
そんなBBに蹴られたメルトは、ゆらりと起き上がると、
「いい度胸してるじゃない……無視してあげようと思ったけど、やっぱりやめたわ。今ここで蹴り砕く!!」
「きゃ~! コワ~い!!」
そんなふざけた声を出しながら、ちびBBはメルトの蹴りをひらりひらりとかわしながら廊下を進んでいき、その後ろをオオガミはついて行くのだった。
ちびBBネタは考えてたんですけど、監獄のイシュタルを思い出したのでこれによってBBによる遠隔操作を可能としたのです。やはりBBちゃんは有能……
メルトを可愛いツンデレ風味に出来た気がする……出来た気がするだけ……?