気付くと私は戦国大名だった(頑張って領地を増やしなさいね)
「さてさて。戦国時代に送り込まれて気付けば大名ということですけど、とりあえず隣国を占領するってことでいいのかな?」
「そうね。こういうのは好きよ。殺伐としてて。それで、私は守られる側ということでいいわよね?」
「たぶん私も貴女も戦う側の気がするけど?」
「……わかってるわよ。あぁもう。お姫様も楽じゃないわ」
そう言って、オオガミの右腕をしっかりと抱き締めて動かせないように拘束しているエウリュアレは、同じようにオオガミの左腕を押さえ込んでいるメルトをちらりと見ると、前を向く。
「それにしても、ノッブが多いわよねぇ……いえ、全然構わないし、せっかくだからまた一体くらい持ち帰ろうかと思ってるのだけど」
「まぁ、新しくなる度グレードアップしてるしねぇ……命令を聞けてる時点で初期のよりは訓練されてるもの。うちのちびノブたちもそうしない?」
「初期って、本当に初期では……? それに、ちびノブを管理してるのはナーサリーだし、今カルデアを徘徊しているちびノブは技術部製だよ? いつの間にか統率とれてるし、技術部製はマシュの命令を聞けてるから、既に出来てるんじゃない?」
「……まぁ、小間使いは何人も要らないわね。マスター? 私のために頑張って国を盗りなさい」
「はいはい。頑張りますよ~。まぁ、二人とも編成に入れるんですけど」
「……そうね。裏だけど入るわよね。知ってたわ」
「私は構わないわ。どうせBBも編成に入ってるとは思うけど、もう慣れたわ」
少し怒っているような二人に、オオガミは困ったような笑顔を浮かべ、
「ん~……まぁ、たぶん難易度的にはそこまでじゃないと思うから、ノッブとBBを入れて……あとどうしようか」
「アビーでいいんじゃない? 最近呼んでないでしょ?」
「ん~……そうだね。じゃあアビーにしよう。マシュは大忙しだろうし」
「そうねぇ~……ただ、この状態を見られたら殺されそうな気がするのだけど」
「私がいるから大丈夫だと思うけど……まぁ、殺されないようにね」
そんな話をしていると、いつものように、当然の様に門が開き、必然の様にオオガミに飛びかかってくるアビゲイル。
それを最初から分かっていたかのようにかわすエウリュアレとメルト。そして、まさか飛び込んでくるとは全く予想していなかったオオガミはその飛びかかりを避けられず、直撃して倒れる。
「ふふふ! お久しぶりねマスター!! 最近全然戦闘に呼んでくれないんだもの!」
「あ~……うん。なんかごめんね。アビーが出なきゃいけないほどの敵がいなかったし、是非も無いかなって」
「別に気にしないで呼んでいいのよ? メルトさんとエウリュアレさんは問答無用じゃない」
「いやぁ、それを言われると何も言えないね。メルトがいるからコストに関しても言えないしね」
抱き着いて動かないアビゲイルをどうしようかと悩むオオガミは、
「エウリュアレ~。とりあえず指揮取って置いて~」
「はいはい。じゃ、アビーは連れて来てよ。行くわよメルト」
「分かったわ。先に行ってるわよマスター」
そう言って、先に出て行くエウリュアレとメルト。
それを見送ったオオガミは、本格的にアビゲイルを引き剥がしにかかるのだった。
魔王ノッブ欲しいんですけどー。かっこいいんですけどー。あ、関東占領しました。敵が弱いので助かる……けど絆は貯まらない……