「マスターは帰ってくるのかしら」
「うんうん! きっとお母さんは帰ってくるよ!」
「もう帰れるって言ってましたし、きっと帰ってきますから、準備しておきましょう!」
パタパタと走りながら七夕の準備をする子供サーヴァント達。
そんな様子を見ながら、カーマは、
「あれ、大丈夫なんです? マスターが帰ってくるって保証は無いと思うんですけど」
「そうですねぇ……連絡できる者が尽く向こうに行っているから、どうしようもないですしねぇ……誰か向こうに行けるとかなら良いんですけど」
「普通にレイシフトすれば良いのでは……?」
「それが出来るんなら苦労しねぇんですよ。ま、あっちにはエウリュアレがいるんだ。適当にイチャついてから帰ってくるんだろうさ」
「なんですかそれ。今日中に帰ってこないんじゃないですか?」
「いや、マスターはチビ達を優先するからな。帰ってくんだろ。いやいや、身長的な意味ではなく、中身的な意味で。中身だけガキみたいのがいるけどそれも含むのかって感じの目をされてもオレには答えらんねぇんだが」
全身からふざけてんのかと言わんがばかりのオーラを放つカーマに、ロビンは頬を引きつらせながら答える。
そんな二人の間に突撃してくるバラキーは、
「おい緑の人。汝も手伝え。竹の調達へ行くぞ」
「え、今から? もう用意されてんじゃねぇの?」
「そんなわけなかろう。誰かがいつも持ってきてくれると思うなかれ。吾等が取りに行かねばならぬのだ」
「なんだそれ……クッソ面倒じゃねぇですか」
「だが、行かねばナーサリー達が煩いからな……行かないという選択肢はないのだ……」
「……なんつーか、鬼っていうか、小鬼?」
「なっ! 何を言うか! 吾は大江山の鬼の首魁、茨木童子なるぞ! その吾を小鬼風情と同じにするなど、焼き尽くしてくれようか!」
「あぁすまんすまん。いやなに、最近静かだなって思ってな。挙げ句オレに頼ってくるとか、あのおっそろしい鬼様も人間に頼っちまうのか~って思ってな。いやいや、悪いことじゃねぇんだぜ? うんうん。下総国なら集まるんじゃねぇか? さっさと行こうか茨木童子サマ?」
「ぐ、ぬぬぬぅあぁぁ! 良い! 吾が一人で行く! 汝はここでナーサリー達を手伝っているが良い!」
「おやおや、良いんです? オレがいなくても」
「良いわぁ! 吾一人でも出来るところを見せてやるからな!! カーマも来るなよ!」
「いえ、一瞬でも行きたいような顔見せました?」
「はいはい。楽しみに待ってますよ~」
半泣きで走り去っていくバラキー。
それを見送ったカーマは、同じく見送っていたロビンを見ながら、
「良いんです? あんなこと言って」
「まぁ、問題ないだろ。ちゃんと取ってくるはずだし」
「いえ、そうではなく、後で斬られません?」
「……一回くらいやられても、いいんじゃねぇか……? いや、やっぱ嫌だから帰ってくる寸前で隠れるわ」
「えぇ、そうですね。じゃ、私は向こうを手伝ってきますのでこれで」
「いや、オレも行くからな?」
そう言って、子供サーヴァントの所へ向かおうとしたときだった。
扉が開き、苦い顔でバラキーが帰って来た。
「ん? どうしたんだ? なんかあったのか?」
「……吾も想定外だった……そうくるか~……」
何があったんだよ。とロビンが言う前に、入ってくるオオガミ達。その手には、大きな竹があった。
「今回はちゃんと持ってきたとも! どうかな! ギリギリ立てられるサイズだと思うんだけど!」
「あ~……まぁ、マスターが珍しく行事に反応するとは思わなかったわなぁ……」
そう言って、本当にギリギリ立てられた竹を見上げるのだった。
珍しく反応できた……ストーリー終わらせてなかったら流してた……終わらせててよかった~……