「……何してるのよ」
「見ての通り、アビーを肩車して城の中を走り回ってるよ」
「マスターが遊んでくれるっていうから、お願いしたの。バレンタインの時も似たような事をしたけれど、ここはカルデアじゃなくてジパングだから、色んな景色が見れて楽しいわ!」
「ふぅ~ん……」
訝しげな視線を向けるエウリュアレに、とても楽しそうな笑顔で応えるオオガミとアビゲイル。
そんな二人の後ろから、ふらふらと現れたBBは、
「こ、この二人……今、領地になった城を門を使って走り回ってたんですよ……えぇ、はい。出会う敵を全部走り抜けてかわしていくので、追ってる方は気が気じゃないんですが……」
「……それは確かに楽しそうね。なんで私を誘わなかったのよ」
「ん~……機動力的に、アビー一人が限界だったからね。エウリュアレがいたら斬られてたところが所々あったよ」
「そうですねぇ……後ろで援護してる側の気持ちにもなってくださいよ……」
「援護してたのは私でしょ。貴女がついてこれるように道を作ってたんだから」
やれやれ。と言いたげに、ふらふらになっているBBを軽く蹴りながら、メルトは言う。
どうやら置いていかれていたのは自分だけだと気付いたエウリュアレは、
「ねぇ、なんでメルトはいるのに、私は誘わなかったの?」
「ち、違う違う! 元々アビーしかいなかったから! 他は後からついてきたから!」
「そりゃついていくわよね……マスターが、アビゲイル以外連れずに敵がいる中を走っていくんだもの。BBが合流するまでが一番だったわね。門が閉じるギリギリで中に入るんだもの。中々スリルがあったわ」
「えぇ、ビックリしましたよ。適当に城を見て回ってたら、突然センパイがアビーさんを肩車して現れるんですよ? しかも、閉じかけた門から現れたメルトに捕まって協力するまで引きずり回されますし」
「そう……ずいぶんと楽しそうね」
「あれあれ? エウリュアレさん、私の話聞いてました?」
お~い。と言うBBを無視して、オオガミの目を見るエウリュアレ。
そんなエウリュアレを見て、オオガミは観念したように、
「わかったわかった。エウリュアレもやりたいんでしょ。うんうん。なら仕方ない。で、肩車とお姫様抱っこ。どっちが良い?」
「お……いえ、肩車で良いわ」
「了解。アビー、降りてくれる?」
「は~い。また今度お願いね。マスター」
そう言って、素直に降りるアビゲイル。
オオガミはそれを確認した後、エウリュアレをお姫様抱っこする。
「えっ、ちょ、なっ!」
「よぅし! 二週目だ! BB! 門は任せたよ!」
「えぇ!? 私ですかぁ!?」
「後で何か作るから!」
「約束ですよ? 破ったら実験台になってもらいますからね?」
「流石にそれは勘弁願いたいなぁ!!」
そう言って、走り出すオオガミと、それを追うBB。
その後ろで、アビーを背負ったメルトが追いかけるのだった。
オオガミ君の身体能力おかしいですね?(今更
でもまぁ、速度で後ろを振り切るってより、攻撃してきた敵をかわしたら後ろが被害にあっているってだけなので、是非もないことかな……? いや、それでも少女を肩車しながらやって良いことじゃねぇな……
まぁ、オオガミ君クオリティかな……?