「う~む。ちびノブがちびノブ人形を売っているのは想定外だった」
「しかもこの人形、手作りなのよ……全部ちょっとずつ違いがあったのは驚いたわ」
そう言って、人形をしっかりと抱えるエウリュアレ。
オオガミはその隣で同じ人形をメルトに渡しつつ、面白そうな店を探す。
「そりゃそうですよ。カイザー・ノッブは軍事力のために発展させてるっぽいですし。娯楽用品にまで手は回らないでしょう」
「なんでそんなことを知っているのかしらね。不思議だわ」
「そうじゃなぁ~……昨日、集めた資料の一部が無くなったって、マシュが騒いでおったもんなぁ……」
「その資料は今朝返ってきましたよ。BBさんの謝罪サイン入りで」
悪質な落書きですよ。と文句を言うマシュと、それを聞いて目を逸らすBBに向けてニヤニヤと笑うノッブ。
メルトは呆れたようにため息を吐きつつ、
「まぁ、そのおかげで、面白そうな気になる店とその場所が書かれてるメモを手に入れたのだけど。いるかしら?」
「あぁ! 資料を返しにいった後に無くしたと思ったら、貴女が持ってたんですか!!」
「あら。親切にも落としていった誰かさんがいただけよ? 私は知らないわ」
「あぁ、だからBBは来るときに焦ってたのか」
「うわはははは!! 阿呆じゃ! 計画書落とすとか、阿呆の極みじゃろ!! うわはははは!!」
「う、うるさいですね! それ以上笑ったらアッパーかましますよ!?」
そう言って、ギャーギャーと騒ぎ出すBBとノッブを尻目に、オオガミはメルトからメモを受けとる。
「ん~……確かに気になるところはあるね……って、そういえば、景虎さんは? 一緒にいたよね?」
「あぁ、彼女なら、ちょっとお酒を見てきます。って言って、いなくなったわ」
「なるほど? 帰ってこれれば良いんだけど」
「戦闘中でも飲んでるんだし、大丈夫じゃない? そのうち帰ってくると思うわ」
「それなら良いんだけど。あの人、ずれてるのもそうなんだけど、どこかぼんやりしているところがあるからなぁ……」
「まぁ、あやつは酔ってるくらいがちょうど良いじゃろ。つか、それよりも儂等が迷わんことを気を付けるんじゃな」
「……気付いてるなら早めに言った方がいいと思うよ? ノッブ」
そう言って、オオガミはノッブにメモを渡す。
受け取ったノッブは、少し悩んだあと、BBに投げつけると、
「いや、住所だけ書かれても分からんわ」
「是非もないですよね。私も現地で調べようとしてたんですし」
そう言って、およそ場所を誰もわかっていないメモ。
それを覗き込んだマシュは、
「そこでしたら……たぶん、あちらの方にあったかと。一応わかる範囲のものがほとんどですし、わかるものだけで良いのでしたら案内もしますよ」
そう、何でもないことのように言うマシュに、全員は目を向け、その代表として、オオガミは、
「マシュ様、お願いします……」
「そ、そんなかしこまらないでください先輩……」
いつになく真剣に言うオオガミに、マシュは困ったように笑うのだった。
マシュ姐さんは情報屋な状態。有能なのですよ。お久しぶりの登場ですが。
あ、お察しかもしれませんが、カイザー・ノッブのくだりは適当です。たぶんそうなんじゃないかな~と思いつつ。
さりげなく私自身はエリちゃん欠乏症にかかってます。エリちゃん出したい……