「あぁ!? なんだテメェオラァ! やんのかゴラァ!」
「あぁ!? 受けて立つぜコノヤロー! テメェのその首斬って、マスターに献上するぜコノヤロー!」
そう叫びながら、額を突き合わせ今にも殴り合う雰囲気を漂わせるアシュヴァッターマンと森長可。
だが、次の瞬間には金色の鎖が二人を拘束する。
「全く……最近は技術部が大人しいからこっちも休んでたけど、新人は大分荒れてるね?」
「んだよこの鎖は! びくともしやがらねぇ……!」
「うわははは!! なんだこれ! 全く動けねぇんだけど!!」
エルキドゥの鎖に拘束され、動けない二人。
しかし、肘と膝から先が動けることに気付いた瞬間にニヤリと笑い、
「「だがよぉ……」」
アシュヴァッターマンは怒りの炎を纏ってチャクラムを眼前に出し、森長可は赤いオーラを纏いながら足元に落ちている槍の穂先をエルキドゥに向け、
「「こんな拘束じゃあ止まらねぇぜ!!」」
蹴り飛ばされるチャクラムと槍。
それに一瞬驚いたエルキドゥは、しかしすぐに鎖を出してチャクラムを抑え、低空を飛んでくる槍を踏むことで静止させる。
そして、今度は楽しそうな笑みを浮かべると、
「あの状態から反撃されたのは初めてかな……いいね。相手をしてあげるよ。シミュレーションルームに行こうか」
「上等だ。ぶっ飛ばしてやる!」
「返り討ちにしてやるぜ! 楽しみにしてろよ!」
「あぁ、楽しみにしているよ」
そう言って、騒ぐ二人を連れていくエルキドゥ。
その一部始終を見ていたロビンは、
「ひゃ~……おっかないねぇ……アシュの旦那はまだ話が通じるんだが、あっちのバーサーカーの方は微塵も話が通じる気がしねぇな……あんなやつとどうやって縁を結んだんだよマスターは」
「会って名を知ることがあれば、それだけで縁と言うものは結ばれる。が……あやつのあれは、そういう短いものではないと見えるな……うむ。おそらく一時的にサーヴァント契約していたのではないかと吾は見るぞ」
「……今回のイベント、相当苦労したんだろうなぁ……あれ、たぶんマスターの命令があっても暴走するんじゃないですかね」
「ここまでハッキリと意思がすれ違うというのも珍しいですよね……いえ、バーサーカーなんだから普通そういうもののような気もしますけど。まぁでも? 一応彼も愛せますとも。えぇ、はい」
「別にありか無しかを聞いてるんじゃねぇですよ。つか、そのセリフ誰にでも言うでしょうが。もう聞き飽きてますよ」
「うるさいですねぇ……黙らせますよ。
「それ死にません? いや、まぁ、全力で抵抗しますけど」
そう言って、ロビンはまだ食いかかってこようとするカーマに面倒そうに手を振りつつ、嬉しそうにバニラアイスを頬張るバラキーを見るのだった。
もはや思い出すのも難しいほどに久しぶりの登場をするエルキドゥ。技術部が大人しい(当社比)ため暇なのだった。
ロビンはもうバラキーとカーマの二人とセットですね。地味にこの三人の組み合わせが気に入っています。