「……貴女が座ってるのは珍しいわね」
「たまたま空いていたんだもの。良いじゃない?」
「いやあの、そんなドヤ顔で人の膝の上を占領されても困るんですけど……」
膝の上を上機嫌なメルトに座られているオオガミ。
別段何かあるわけではないので、無理に退かそうというつもりはないのだが、エウリュアレが物珍しげに見てくるので、何とも言えない表情になる。
「まぁいいわ。別に邪魔する必要も理由もないし。普通に座れば良いもの」
「うん。それはいいけどさ……こっちに寄りかかってくる必要はないのでは?」
「別に良いでしょ。それとも嫌なの?」
「いやそういうわけじゃないけど……」
「なら文句言わない。わかった?」
「うん、わかった」
ならよし。と言って、オオガミの右腕に寄りかかるエウリュアレ。
「そういえば、エルキドゥが珍しく上機嫌だって聞いたのだけど、知ってる?」
「何それ。天変地異の前触れ?」
「流石にそれは杞憂だと思うけど、どうなのかしらね。ロビンの話だと、アシュヴァッターマンと森の二人が連れていかれたって言ってたわ」
「えっ。なにそのチーム。常に怒りと喧嘩を振り撒いてそうな物騒な感じがあるんですけど」
「そうね。実際、その二人が喧嘩をしたことから始まったみたいだし」
「ふむふむ……あれ。反撃されて上機嫌になったんなら、不味いような。だってほら、あの二人って――――」
そう言ったときだった。
部屋の扉が開き、乱暴に投げ入れられるアシュヴァッターマンと森の二人。
投げ込んだ時に見えたのが金色の鎖ということから、誰が投げ入れたかは明白だった。
「やぁマスター。今日は僕にしては珍しいと自覚しているけど、お願いに来たんだ」
「え、エルキドゥ……」
ニコニコと笑いながら入ってきたのは、予想通りエルキドゥだった。
「おや、取り込み中だったかい? それなら一回帰るけど」
「あ、あぁ、うん。別に大丈夫だけど、お願いって?」 「うん。それはね、この二人を強化してほしくて。いやぁ、楽しかったよ。二人とも気絶するまで止まらないし、ほぼ初対面で喧嘩しそうだったにも関わらず、僕と戦ったらすぐに連携をし始めたしね」
「えっ……森くんと連携できるアシュ兄貴パネェ……」
「いえ、森の方も優秀よ。暴れまわるだけで、連携できないわけじゃないし」
「うん。一撃大きいのをもらったときにはちょっと驚いたけどね。バーサーカーの彼がマスター以外の命令を聞きそうにないのがちょっと問題かな」
「スッゴイ高評価なんですけど……まぁ、うん。種火が集まったらやるよ。それまでは無理かな」
「そうか……じゃあ、それまではいつもの仕事をしておこうかな」
「う、うん……頑張って」
そう言って、エルキドゥは再び二人を連れて行ってしまうのだった。
「……二人ともヤバイね」
「エルキドゥに反撃したの、初めてじゃない? いえ、私たちも頑張ってたけども」
「私、彼に目をつけられるなって、色々なサーヴァントに言われたけど……理由に納得したわ。あの金ぴかより面倒そうじゃない……」
そう言って、三人はしばらく呆然としているのだった。
エルキドゥをヒヤリとさせたレアキャラ、怒り戦士と鬼武蔵です。ちなみに、めっちゃ好きですけど種火不足で二人ともレベル1です。正直短期間で私の好きな男性鯖の上位に食い込んでます。トップはロビンさん。