今日のカルデア   作:大神 龍

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これが噂のバナナボートですか……!(デカいボートも良いけど、小さいのとかも良いんじゃない?)

「こんなボートとかどうだろう妹リリィよ」

「妹リリィじゃなくてリリィが良いですお兄ちゃん。妹要らないです。そしてこれがバナナボートというわけですね……!」

「そういうデカいボートも良いけど、小さいけど威厳のあるシャチも良いわね。うんうん。あ、イルカはダメ。アイツが来る」

「いやまったく威厳無いですけど。というか、おっきい方の私はイルカにトラウマでもあるんですか……?」

「中二病妹はね、お姉ちゃんが怖いわけです。なのでその使い魔であるイルカもあだだだ! 痛い痛い頭が割れる!」

 

 頭を握りつぶすかのような力に、悲鳴を上げるオオガミ。

 怒りのオーラを放ちながら笑う邪ンヌに、ジャンタは少し距離を取りつつバナナボートを持って海へ向かう。

 

「邪ンヌストップ! リリィが流されちゃうから! 緊急だから!!」

「チッ! 仕方ないわね。ってか、なんで三人乗りのを選んだのよ。誰が引っ張るつもりだったの?」

「えっ、そりゃあほら……今リリィを救出した人」

「あぁ!? って……げぇっ! なんとなく予想はしてたけど、現実にするんじゃないわよ!」

 

 そう叫ぶ邪ンヌの視線の先には、水上バイクに乗ってジャンタの前に躍り出たジャンヌは、バナナボートの先端に縄を繋ぐと、砂浜に向かって走ってくる。

 

「ヤッホー! お姉ちゃんが来ましたよ! さあ弟くんもオルタも、一緒に走りましょう!」

「絶対イヤ。誰が好き好んで絶叫系に乗るんですか。乗らないから」

「えっ、邪ンヌ来ないの? マジで? じゃあ中二病妹から絶叫よわよわ妹にクラスチェンジだね?」

「えっ!? おっきい私、絶叫系ダメなんです!? うっわぁ~! なんですかそれ! ソリに乗っただけで泡吹きそうですね!」

「オルタ? 無理はしなくて良いですからね。お姉ちゃん気にしませんから」

「……アンタ達、いい度胸してるじゃない……良いわ。全然怖くないし。乗ろうじゃないの。でも絶対誰か振り落とされるだろうし、賭けをしましょう。最初に落ちたヤツがパンケーキ奢りね。どうかしら」

 

 得意気に言う邪ンヌに、全員頷く。

 が、オオガミはハッと目を見開くと、

 

「リリィが落ちた場合は俺が出すね。だからリリィは安心して落ちていいよ」

「お、落ちませんよ!? ちょっとバカにしてません!?」

「大丈夫大丈夫。たぶん落ちるのはリリィ以外だし。で、誰も落ちなかった場合は?」

「ん。そうね……どうしましょう」

「あ、それなら、お姉ちゃんが奢りますとも。お姉ちゃん、弟くんと一緒に周回してるので、ちゃんとお金持ってるんですから!」

「そうね。でもそれ、リリィ以外同じことが言えるのよね。私もずっといるもの」

「わ、わた、私だけ、ハブられてます……!?」

「いやいやいや違くないけど違うから! 別にリリィをハブってるわけではなくて、今回のイベントのポイント重視でやってたら自然とリリィは編成に組み込めないしそもそもリリィに怪我をさせたくないので是非もないことだと思うのです俺は! なので基本遊んでてくれると嬉しいな!」

「む、むぅ……そこまで言われたら何も言えないじゃないですか……まぁいいです! 正しい方のお姉ちゃん! やりましょう! 私が先頭で、ダメな方の私が最後で、お兄ちゃんが真ん中でどうですか!」

「じゃあ、リリィの案を採用します! 異論は無しということで!」

「は~い!」

「姉の独裁ね。まぁ、並び順とか気にしないけど。さぁ、やりましょう? 私が落ちるとか、そんな無様なこと起こりませんけどね!」

 

 そう言いながら四人が所定の位置に着くと、ジャンヌによる殺人水上ドライブが始まるのだった。




 ファミパン洗脳済みのリリィがお兄ちゃんと呼んでくれる世界観です。過去最高に可愛いリリィを書けた気がするので私は満足。

 バナナボートを書き始めたときって、こう、子ども用の小さいヤツを思い浮かべてたんですけど、そういえばなんか大きいのもあったよなぁ、と思って調べた結果、今回のになりました。小さいバナナボートを想像していたときの名残がシャチボートです。調べたらカッコよさ皆無で可愛かったので可愛くなりました。シャチの威厳とは。

 ちなみに、真っ先に落ちるのはオオガミ君によるサンオイルの計略に嵌まった邪ンヌです。義妹にも容赦のない男ですよコイツは。

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