「でよぉ……未だにマスターが戦わせてくれねぇんだよ」
「分かる。ずっと待機とか、ストレスで切れそうだからどうしたもんか悩むわ」
頷くアシュヴァッターマンと森。
互いに未だレベルが上がる事も無く、且つ戦闘に駆り出されることも無い二人。
だが、手当たり次第に喧嘩を売るのは不味いだろうと自制しているアシュヴァッターマン。
「あ~……そういや、シミュレーションルームとかがあるってマスターから聞いたなぁ……そこら辺のに聞いてみりゃ行けるか?」
「シミュレーションルームぅ? まぁ暴れられんならいいが、とりあえず行ってみるか」
「おぅ、ちょっと聞いてくるわ」
そう言って、近くに座っていたサーヴァントにシミュレーションルームの場所を聞きに行く森。
そして、
「……まぁ、良いですけど」
「おぉ! よろしく頼むわ!」
案内人としてアナを捕まえてきた。
そのまま三人はシミュレーションルームに向かいながら、
「あ~……オレが聞くのもなんだが、良いのかアンタは。なんかあってあそこにいたんじゃねぇのか?」
「いえ、別に私は何かしていたわけじゃないので……最近はマスターにも連れまわされたりはしませんし。姉様に頼まれごともされてませんので、いくらでもいいですよ。よろしければ相手もしますが」
「いやいや、流石にそこまでは出来ねぇって。女子供に手を上げるほどじゃねぇよ」
「……まぁ、レベルも違いますしね」
その一言で硬直する二人。
そんな二人の反応を察してなのか、アナは振り向いてにやりと笑う。
「おぅ。喧嘩なら買うぜ。良いのか?」
「やれるものならやってみてください。ただ……相性悪いですよね。お二人とも」
「……やってやらぁ!」
「オレの人間無骨でぶち抜いてやらぁ!!」
そう言って二人がやる気を出し始めた辺りで、シミュレーションルームに着くのだった。
* * *
「およ。誰かシミュレーションを使ってるの?」
「あぁ、今はアシュヴァッターマンと森長可。それとアナが使ってるね。君も乱入するかい?」
「ん~……良いね。私も行きましょう。貴方も入るところだったんでしょ?」
「まぁね。そろそろ終わるころだと思って、という別の意味ではあるけど」
そう言って、エルキドゥと武蔵の二人がシミュレーションルームに入る。
そこに広がっていたのは、木々に囲まれた広場で倒れているアシュヴァッターマンと森。そして、それを見下ろすアナだった。
「もう終わりですか。それならそれでいいですけど、ちょっと消化不良といった所ですか……やはりマスターに協力してもらって育成させた方が良いのでは……エルキドゥさんの事を言えなくなってきましたね……」
軽く鎌を振るって霊体化させると、エルキドゥと武蔵の方に目を向ける。
「あれ、武蔵さんも来たんですか」
「えぇ! 最近というか、ほぼ全くと言っていいほど戦闘に出れない武蔵ちゃんです。今日は適当にシミュレーションをしてみようと思って」
「そうですか……エルキドゥさん。この二人をお願いしますね」
「あぁ、もちろんだとも。ところで、増員はいるかい?」
「私はいりません。たぶん私じゃ武蔵さんには勝てないでしょうし。問題は彼女が物足りるかと言うところですが」
「私は構いませんとも! こんなかわいい子に剣を向けるのはちょっと気持ちが揺るいじゃうけど、やっぱり相性が無いなら天敵になるかと思うほどですとも。じゃあ、その二人を回収してもらったら始めましょうか!」
そう言って、エルキドゥが二人を引きずっていく中、二人は間を取り、相手を見て、得物を構え、
二人が退かされてすぐに、
「いざ尋常に――――」
「――――勝負!」
二人の一撃が互いに襲い掛かるのだった。
この戦闘狂二名を育成しようと思いつつ、ロリンチちゃんのスキルレベルを上げるので宝物庫廻るので放置中。かっこいいけど育成が回らないのはどうしようもないのだ……