「ん~……もしかしなくても、私、あの過労死メンバーに片足突っ込んでます?」
「えぇ、そうですね……最近は花嫁姿の皇帝が見えないのが気がかりですね。というか、彼女は何をしているのですか」
「残念だけど、彼女は
宝物庫で扉を轢き飛ばしながら言うロリンチに、何とも言えない表情を返す玉藻とパラケルスス。
とはいえ、来てほしいと言うわけでもない玉藻は、
「私としましては、正直来ない方が面倒事が少なくて良いのですけど……勝手に暴れて勝手に怒って行く暴君がいない方が捗りますし……周回が出来ているのに文句を言う理由もありませんしね?」
「それにしてはだいぶ私怨が強そうな言い回しに聞こえるけど。まぁ良いさ。突然仲違いして座に帰る! とか言い出さなければね」
「私はそんな子どもではありませんので。あちらはどうか知りませんけども」
「喧嘩するほど仲が良い、ということわざがマスターの国にはあるそうですが、まさに彼女たちがその代名詞の気がしてなりません」
「あははっ。パラケルススも言うねぇ。でもそれ、悪手じゃない? 玉藻が怒ってるよ?」
「おや。何を怒るようなことがあるでしょうか。私はただ事実を述べただけ……その火球。もしや落とそうなどとは――――」
パラケルススが言い終わる前に生み出した火球でパラケルススを焼く玉藻。
流石に社内で燃えるのは大変困るロリンチはこんなときのためにつけておいたスプリンクラーで鎮火する。
「二人とも、そこには精密機械があるんだから火とか起こさないでほしいんだけど?」
「それを言うなら貴女も思いっきり水をかけてますけど……これはいいんですか」
「防水加工はしてあるからね。大丈夫だとも。まぁともかく、あんまり暴れないでくれたまえよ?」
「ハイハイ分かりましたよ~。それで、パラケルススさんはいつまで寝てる振りをするんですか。無事なのはわかっているんですからね」
「いやはや、まさか一瞬も躊躇わず焼かれるとは思いませんでした。危険すぎるので覚えておきましょう」
そう言って、軽く白衣をはたいて汚れを落としつつ、何処かから取り出したメモ帳にメモをしていく。
「っと、そろそろ周回も終わりかな。ドライブは楽しんでいただけたかな? たぶん他の周回組と比べてかなり楽にしていると思うんだけど」
「社内で座っているだけですしねぇ。とっても楽です。ありがとうございますダヴィンチさん」
「そんな堅苦しく言わないでほしいけどなぁ。マスター達みたいに、気軽にロリンチちゃんと呼んでくれたまえ」
「あら、そちらの呼称でよろしいので? まぁ、それで良いのでしたらそれで。これからもお願いしますね。ロリンチちゃん」
「あぁ! よろしく頼むよ。玉藻の前!」
そう言って、ロリンチはシャドウ・ボーダーで宝物庫を駆け抜けるのだった。
玉藻パラケルススは定番。ロリンチちゃんは有能なのでスキルレベルもレベル80でも宝物庫を三ターン出来る強み……最強……