「ふふふふっ! 全く負ける気がしないわ!」
「マジかよ何連勝だ? ちょっと勝ちすぎで怖いくらいだな」
「あ~……うん、まぁ、そうだね……」
白いパーティードレスに身を包み、カードを片手に余裕の笑みを見せるエウリュアレ。
完全に野次馬に回ってるロビンのセリフに、エウリュアレの左後ろに立っているオオガミは何とも言えない顔になる。
その原因は当然、ゲームにあった。
「……イカサマしてるのは周りなんだけど、その原因はエウリュアレなんだよね……」
ホームズから教えてもらったイカサマの見破り方を使いつつ見ている限り、イカサマをしているのはエウリュアレではない。
が、そんなよく分からない現象を起こしているのは、エウリュアレ。しかも意図的に。
不自然すぎるイカサマは、自らが勝つためでなく、エウリュアレに勝たせるために行われているというのが何よりも恐ろしいところだった。
「エウリュアレ。楽しい?」
「えぇ、最高よ。だってこんなにも勝てるのだもの。不思議ね。なんでかしら!」
「そんな嬉々として言われても……かなりわざとらしいよ?」
「あら、そう? でも良いじゃない。レジストされないってことは、つまりそういう事よ」
エウリュアレによる真っ赤な不正。それは同じテーブルには男性しかいないと言うことだった。
意図的に声を出し、魅了する。後は単純明快勝手に貢いでくる。最後に残るのは破産した男だけだ。
そしてその魅了は常人に防げるわけもなく、たった一言で魅了して底無しの闇に突き落としていく様は、世間一般では女神ではなく悪魔ではないかと思ってしまうのは無理もないことだろう。
「まぁ正直、この感覚が久しぶりすぎて逆に新鮮ってだけだから、すぐに飽きると思うわ。本人が言うのだから確かよ」
「むしろ本人が言ってるから確率下がってるんだよねぇ……これはしばらく終わりそうにないね」
「むぅ……納得いかないわ。というか、ロビンを連れて来なければもう少し羽目を外せたのだけど」
「ついにロビンを邪魔って言い始めたよこの女神。ただでさえも脇役になってるロビンさんが消えちゃうじゃん」
「消して良いわよ別に」
「あれもしかしてオレ要らない奴宣告くらってます? 一人で遊び歩くぜ?」
「ほらぁ! ロビンがダメな子になっちゃうよ!」
「いや待って? 私とそれは関連性皆無じゃない? なんで関係あるみたいに言われるのよ」
「いやそれオレからしても疑問なんだが。なんだこのマスター。親みてぇな事言い出したぞ」
若干暴走し出しているオオガミに困惑するエウリュアレとロビン。
そんな状況でやっているわけにもいかず、切り上げるエウリュアレ。
「私は楽しめたし、今日はもう帰りましょう。えぇ、その方がいいわ。今無理にやる必要もないし。撤退よ」
「ほいさ。オラオラそこ退けそこ退け。んじゃな皆の衆。また来るぜ~」
そう言って、ロビンは暴走しかけのオオガミを掴み、エウリュアレと一緒に脱出するのだった。
ロビンさんがダメな子になっちゃうよお母さん! というのも考えたんですが、これをしたら本気でどうしようもなくなる(ルート的に)気がしたので、オオガミ君がいつも通り暴走している路線に変更。それでもダメな気がするのは何故だろう……
あ、まだ全然ストーリー進んでないです。カーミラ姉さん、カード投げうまいですよね。中二病力高いですよ。