なんでこんなことをしているのかしら(大体いつもの事じゃない?)
「ねぇ子イヌ? 不思議なのだけど、なんでこんなことになってるの?」
「いつものことだよ。気にしない気にしない」
そう言って、当然のごとくエリザベートの尻尾枕を享受するオオガミ。
枕にされている方もその説明で適当に納得してしまうのだから不思議だった。
そして、オオガミが意識を手放しかけているときだった。
「ねぇ子イヌ。
「どうかしらって……そりゃやるしかないのでは……?」
「そ、そうよね! そう言うと思ったわ! でねでね子イヌ! そのセッティングをやって貰いたいんだけど、お願い出来るかしら!」
「……まぁ、それで尻尾枕を堪能できるなら、なんとか……」
もはや働いていない頭で返答しているオオガミ。
なんとなく、マシュ辺りに怒られそうだと思いつつも、尻尾の誘惑に勝てないオオガミは、
「起きたら改めて考えるから、起こさないでね……おやすみ……」
「えぇ、おやすみ、子イヌ」
そう言って、オオガミの頭を撫でつつ眠りにつかせるエリザベート。
時々やられるので、既に熟練の対応をしていた。
「んんっ……なんというか、子イヌの性格を利用しているようで悪い気分になっちゃうけど、約束すれば守ってくれるのは利点よね。遅れたとしても、ちゃんとやってくれるもの」
そう言いながらも、妙な罪悪感が沸いてくるエリザベート。
だがすぐに気持ちを切り替え、意識しないと緩んでしまう頬を両手で押さえつつ、
「なんだかんだ言って、コイツが尻尾枕を要求するのって、私が一番よね。ふふふふふ……これだけならエウリュアレやメルトにも負けないわ!」
「そうね。私たち、尻尾はないものね」
「膝枕だとしても、私はされる側だから。する側じゃないから」
「ひぅっ!」
いつの間にか後ろから覗き込んでるエウリュアレとメルト。
エリザベートはそれに気付くと同時に短く悲鳴をあげる。
オオガミへの配慮で声のボリュームを落としているのは、全員同じだった。
「あぁ、勘違いしないでよエリザ。別に怒っているとかじゃないわ」
「じゃ、じゃあ何しに来たのよ……暇なの?」
「そう、暇なのよ。やることがなくて、適当に立ち寄ったら二人がいただけ。ちゃんと休ませなさいよ」
「わ、分かってるわよ! 適当に遊びにいってなさい! しっし!」
「まぁ、酷い言われよう。でも良いわ。許してあげる。じゃあ、また後でね」
「絶対会いたくない……!」
去っていった二人を見送ったエリザベートは、ほっと息を吐くと、
「……本当に、偶然なのかしら」
そう呟いて、一人悶々と悩むのだった。
久し振りの膝枕ならぬ尻尾枕。裏ヒロインエリザです。よろしく。
次のデート回をどうするか
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エウリュアレ一択
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メルトを忘れるな
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技術部二人とぶらり旅