「血糊が本物に変わった」
「嘘から出た真。まぁあのバーサク看護師がいるのに不用意なネタをかましたのが運の尽きじゃな」
決め手はベッド投げだったらしい。
見事に負傷したオオガミは現在医務室で拘束され、恐ろしい笑みを浮かべるエウリュアレとメルトに挟まれていた。
見舞いに来たときからそれだったので、ノッブとBBは呆れたように首を振る。
ナイチンゲールは診断書を眺めつつ、
「貴方は再生能力が異常に高いので、三日ほどで完治するはずです」
「それでも三日かかるのかぁ……」
「ベッドに圧殺されかけて三日って異常だと思うのだけど」
「会話出来てる時点でおかしいからな。儂深く突っ込まんぞ」
「一般人なら死んでますよねこれ。筋肉の鎧で耐えてるんですか? 鍛えたお陰ですね。おめでとうございます! でも手枷足枷を筋力だけで破壊するのは普通ドン引きされると思うのでやらない方がいいと思いますよ?」
「いやほら、それは副産物であって、単純にレオニダスブートキャンプに行って、スパルタクスに捕まった末に破壊しなきゃいけない状況を作られて仕方なく爆砕しただけで……」
まるで日常の、ちょっとした出来事かのように語るオオガミに、全員は思わず納得しかけ、
「……平然と言うから何でもないことのように感じそうだけど、十分異常なのよね」
「英霊ならともかく、人間のやることではないわね」
「やっぱり人間ではないのでは?」
「ん~……勝蔵なら出来そうじゃな……あやつ、マジで止まらんかったし」
そう言うノッブに、あれは別枠だと言いたげな顔をする全員。
そんなところに、
「えっと、医務室はここであってるかしら……」
「ん。エレちゃん?」
「あ、マスター! って、なにかしらこの状況。みんなお揃いで……?」
果物が入ったカゴを持って入ってきたエレシュキガルは、エウリュアレ達に囲まれているオオガミを見て苦笑いになっていた。
「ほら、エレちゃんのお見舞いが一番模範的だと思うんだけど! なんでみんな手ぶらなのさ!」
「それは貴方の自業自得だからよね」
「見舞いに来て"あげた"の。私たち自体が既に土産よ?」
「うわなんじゃそれ。こっぱずかしいこと言ってるんじゃけど」
「ですよねぇ~。私たちはからかいに来ただけですし。土産はどちらかというと貰う側ですね!」
「うぅむ、ノッブとBBは追い出していいんじゃないかな!」
「それは是非もないなー」
ノッブはそう言うと、不満そうなBBを連れて、部屋を出ていき、入れ違うようにエレシュキガルが席を取るのだった。
エレシュキガル……久方ぶりすぎて気分は新キャラ。
しかし、手枷足枷ネタは公式だって言うんですからやはり原作もちゃんと化け物だなと再認識。一般人のハードル高いなぁ……
次のデート回をどうするか
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エウリュアレ一択
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メルトを忘れるな
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技術部二人とぶらり旅