「ふふふふふ。もう二度と太ったとか言わせないから」
「あぁっ、お痩せになってる!」
「ちょっと。私を挟んで喧嘩を売らないで」
膝の上にラムダを乗せたままエウリュアレに遠回しな文句を言うオオガミ。
昨日派手に蹴られたにも関わらず、1、2のポカン! と忘れたかのように同じ過ちを繰り返すオオガミに、ラムダはいつエウリュアレが蹴りかかってくるかと反射的に身構える。
「もう……乙女的に痩せてた方がいいの。分かるでしょ?」
「でも最近は痩せてるを越えて痩せすぎなのが多いから、やっぱりもう少しふっくらとだね……」
「それ以上は戦争だから。貴方相手でも容赦しないわ」
「え、えぇ……だってほら……エウリュアレの腕とか、折れそうなほど細いし……って、そうか。エウリュアレの在り方的にはそっちの方が正しいのか。なるほど……じゃあはい。レモネード」
「一ミリも理解してないじゃないバカ」
文句を言いながらも、受け取って飲むエウリュアレ。
そして、何かに気づいたように口を離すと、
「あれ、昨日のとは違うわ?」
「そりゃね。作ったもん」
当然でしょ? と言いたげなオオガミに、エウリュアレは呆れたように笑うと、
「私が飲まなかったらどうしたのよ」
「飲まない場合とか考えてると思う? 正直試作品でこっちはお腹いっぱいだよ?」
「えぇ全く。おかげで私はもう飲めないわ。というか、しばらく見たくない……」
「どれだけ作ったのよ……」
どこか青い顔をしている二人に、エウリュアレは呆れているような、喜んでいるような、そんな複雑な笑みを浮かべ、
「で、試作のレモネードはどうなったの? 全部飲んだ訳じゃないんでしょ?」
「あ~……うん。ナーサリー達のレモネード屋に寄付した。委託販売って大変なんだね」
「委託販売って……売ってるの?」
「うん。カーマ製のには及ばないにしても、売れるには売れるし。試作品だったとしてもバレないでしょ」
「……そうかしらねぇ……」
そう言って目を逸らすエウリュアレに、首をかしげるオオガミとラムダ。
そんな時だった。食堂の扉が開き、入ってくるバラキー。
そして、オオガミを見つけるや否や、
「マスター! レモネードを出せ!」
「おっと強盗かな?」
骨刀をオオガミに向けるバラキーに、エウリュアレは楽しそうに道を空け、ラムダはどこからか取り出したサングラスをかけて不敵に笑う。
そして、狙われているオオガミはと言えば、
「ナーサリー達のレモネード屋は?」
「うむ。目の前で売り切れた。カーマは作りたくないと言って頑なに拒否してくるからこちらへ来た、というわけだ」
「根負けしたのか……まぁ、いいよ。作ろうか」
「ちょっと……それだと私が退かないとじゃない」
「抱えたままは作れないので退いてくださいラムダ様」
「情けないわね……余裕で作ってみなさいよ」
「腕が足りないので無理です。ほら、退いて。ついでに何か持ってくるから」
「あ、私ケーキ欲しいわ。持ってきて」
「私の分も頼んだわよ」
「欲望に素直!」
頑なに動こうとしなかったラムダはケーキで買収できるという事実からオオガミは目を逸らしつつ、すぐに厨房に向かうのだった。
ちゃんとフォローしつつもやらかしの方が大きいのはデフォルト。
でもやっぱりエウリュアレは(以下略
次のデート回をどうするか
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エウリュアレ一択
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メルトを忘れるな
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技術部二人とぶらり旅