「うぅむ、此度の祭も吾が出るものは無いなぁ……」
「昨日なんか、一回カルデアに帰ってお菓子食べてましたしね。というか、こっちでも出店はありますよね?」
ニューヨークの観客席で足をぶらぶらとさせながら戦いを見ているバラキーは、不満そうにわたあめを食べていた。
その隣で同じくわたあめを食べながら観戦しているカーマは、試合よりもわたあめを見ていた。
「……吾、わたあめを圧縮するのはやめた方がいいと思う」
「まだ何も言ってないんですけど?」
「いや、最近の動向を見てるとそういうことを考えてる気がして……でも、当たっているだろう?」
「まぁそうなんですけど。ただ、要するにこれって、砂糖を溶かして繊維状にして棒に巻き付けた感じですよね……というか、実際それですか……そうですね。砂糖に色をつけて、その着色に魔力を練り込めばカロリーお化けに大変身……行けるんじゃないですかこれ!」
「うぅむ、これが本物か……自爆する未来が見える……」
「なんですか。失礼ですねぇ……ちゃんと成功するときもありますからね?」
「成功するときがあると言ってる時点で普段失敗すると暴露しているようなものでは……?」
「っ、なんでこういう時だけ察しが良いんですか! なんなんですか、もう!」
「いや、そんなキレ方されても困るのだが……吾、どうすれば良いのか分からぬ……」
「あぁもう、それなら黙っててください!」
「う、うむ……」
顔を赤くして怒るカーマに気圧され、バラキーは渋々頷く。
すると、カーマの向こう側から声が聞こえてくる。
「あら。あらあら? なんだか私っぽいけど一ミリも似てないちっこいのがいますねぇ?」
「はて。なんでしょうか。ひたすらにウザそうな声が聞こえるのですけど。その面の皮を剥がされたいんでしょうか?」
ニッコリと。どこか恐ろしい雰囲気を孕んだ笑顔で振り向いたカーマの前には、ノッブを連れたBBが立っていた。
「何のようですか? ポンコツさん」
「いえいえ。なんだか毎度くだらないことを企んでは盛大に自爆する残念そうな顔が見えたので、思わず声が出ちゃっただけですよ?」
「おいBB。特大ブーメラン刺さっとるぞぉ~……」
「あらあら。自分の欲望を切り離した人は言うことが違いますね? 自分の欲望に反旗を翻される気分はどうでしたぁ?」
「うむ。まぁ、カーマは本体の増産で、欲望を切り離した訳ではないしな……でも相手に合わせて変化をするというのは自壊する可能性もあったし、やはり汝も人の事を言えぬのでは?」
「「外野は黙っててください!」」
二人は互いの足を蹴りつつ、自分の相方に文句を言う。
言われた二人は互いに顔を見合わせため息を吐くと、
「じゃ、儂らは向こうに行くか」
「吾らは出店に行くぞカーマ。売り切れる前に急ぐぞー」
「ちょっとノッブ! まだ決着がついてません! 行きませんよ私は!」
「こっちの台詞です! 離してくださいバラキー! すぐに倒してくるので!」
そう言って暴れる二人を抱えていた相方二名は、真顔で二人の意識を奪い、連れていくのだった。
意識を落とした手段は各自脳内保管で。
BBとカーマは、互いの悪評が互いに刺さるので仲が悪いのです。たぶん。どっちも似たり寄ったりな部分が多いですしね。
もはやこの二組は私のお気に入り。マスター陣営はちょっと特殊なので保留ですけども。