「さてと、エキシビションマッチも残り二つ。サクッと行けるかな?」
「行けるわ。ニンジンとローマとか、敵じゃないわね!」
「流石にそんな簡単じゃないでしょ……」
余裕そうなオオガミとラムダに、やれやれと首を振るエウリュアレ。
とはいえ、真面目にやれば順調なのは確かだった。
「自重しないのは良いけど、あそこで殺されてないのに死にそうなのはどうするの?」
「なんだかんだ死なないから大丈夫。孔明先生だけは丁重に扱うからね」
「スカディは良いの?」
「今は高難易度しか出番無いし、大丈夫かな。嫌がってたらアイスを渡そう」
「そ、そう……なんだか扱いが上手くなってきたと言うか、雑になってきたわね」
もはや隠す気もなく雑に扱い始めるオオガミ。
孔明だけ扱いが違うのは、どこでもお世話になっているからだろう。
「そう言えば、ポテトとか、ホットドッグとか、ハンバーガーは集めないの?」
「ん。い、今からやるですよ……?」
「何それ……なんかダメそうね?」
「いやいやいや。行ける行ける。ちょっと無理すれば余裕ですとも」
「無理しないといけない時点でダメでしょ。ちゃんと気を付けなさい」
「ぐぬぬ……はぁい」
エウリュアレに言われ、仕方ないと言いたげな表情をしつつも従うオオガミ。
それを隣で聞いていたラムダは一瞬不満そうな顔をし、しかしすぐにイタズラな笑みを浮かべると、そのままオオガミの左腕に抱き付き、
「じゃあ、今日は遊びましょう? 息抜きも大事なことなんだから、出来るときにするべきだわ」
「えぇっ、今から? 別に良いけど……何する?」
「あら、そうね。観光とかどうかしら」
ラムダに対抗してか、右腕に抱き付くエウリュアレ。
そのまま二人の視線がぶつかり合い火花を飛ばし、挟まれているオオガミは複雑そうな顔を浮かべる。
「ん~……あ~……うん。じゃあ観光に行こう。残念金星神はサンフランシスコに行ってたらしいし、ニューヨークを観光しちゃいけない訳じゃないだろうし。宇宙船が襲来しても変わんないでしょ」
「そんなものかしら。神代なら、全力で逃げ出すものだけど」
「野生を失った人類に危機感はないのね。それだとあっさりドレイン出来そうで面白くないわ。なんでそんなに死にたがるのかしら」
「ん~……日本人がおかしいのかもしれないけどねぇ……というか、あれ? ここ特異点だよね。サンフランシスコがあるのって謎じゃない? 漂白も崩壊もしてないのはおかしくない?」
「……それ以上は突っ込まない方がいいと思うわ」
ふと出てきた疑問に、エウリュアレは悟ったような顔で諭すのだった。
ニンジンとローマ……どうせ朕が倒してくれそうだけど、どうせなら意地で戦いたい……メルトで殴る……?