「うわっ、なによその荷物」
「何って……貰い物。誕生日プレゼントの群れだよ。ケーキもあるからちょっと大変だけど」
バトル・イン・ニューヨークの待機室の一角で、大量のプレゼントに埋もれながら、机の上に並べてあるケーキをひたすらに食べていくオオガミ。
それを見たラムダは、少し困ったように、
「もしかして、私のケーキは余計だったかしら」
「いや、真っ先に食べたけど」
ノータイムで返答してくるオオガミにラムダは一瞬目を丸くし、すぐに表情を取り繕うと、
「ふ、ふぅん? 最後じゃないのね」
「いやぁ……意地で食べるのはなんか違うじゃん……一番美味しいと思える状態で食べたいよね」
「そ、そう。そうなの……」
そう言って、目を泳がせているラムダに、オオガミは首をかしげ、ハッと気付いたように、
「さ、流石にラムダにもこれはあげられないよ? 貰い物を渡すほど外道になったつもりはないし」
「別に貰おうと思ってないわよ……というか、前に誰かに取られかけたわけ?」
「あぁ……うん。エウリュアレが平然と食べようとね……たぶん、なんでも貢ぎ物だと思ってるよ、あの動き」
「何かしら……私、そんなのと張り合ってるの……?」
何とも言えない複雑な表情になるラムダに、オオガミは苦笑いをしながら、
「まぁ、あれはあれでエウリュアレの在り方なんだろうし、否定まではしないけど、ちょっと自重してほしい気持ちはある」
「そうよね……流石にやりすぎよね……」
「それは去年の話でしょ。流石に今年はしないわよ」
そう言うエウリュアレは、いつの間にか不機嫌そうな顔でラムダの隣に立っていた。
「全く……今年はまだ手を伸ばしてすらいないのにこの言われよう。納得いかないわ」
「去年やっちゃったからじゃないの? それしか考えられないのだけど」
「そんなに気にすること? ちっちゃいのね」
「いやぁ、エウリュアレに言われるだなんて、感激だね。泣くよ?」
「ねぇどうしましょうメルト。マスターがいつも以上に情緒不安定なのだけど」
「ごめん待って? 私いつも通りにしか見えないのだけどどこでそう思ったのかしら」
怯えるように言うエウリュアレに困惑するラムダ。
そんなラムダに反論しようと言葉を出しかけたエウリュアレは、考え込み、
「なんでかしら……こう、直感的なもの……かしら」
「そう……でも一応警戒しておきましょうか……」
ラムダがそう言ったときだった。
オオガミは何かに気付いたように顔を上げると、
「あ、これはあげる」
「……ゲテモノじゃない……」
それは、よく分からない、かき氷のようななにか。
黒いのに、どこか星空のような美しさのある、かき氷。
そのシロップは甘い香りを漂わせ、正気を削るようなものだった。
「……誰が作ったの?」
「アナスタシア曰く、アビーとカーマの三人による合作」
「地獄じゃない」
どうしたものかと考える二人に、オオガミは苦笑いをし、
「まぁ、食べないならこっちで丁重に扱うので大丈夫。とりあえず覚悟を決めないと……」
「こういうのの適任者がいるから連れてくるわ」
「絶対食べるんじゃないわよ」
二人はそう言うと、どこかへ走り去っていくのだった。
宇宙は空にある(啓蒙99
冒涜的見た目で冒涜的な味のする冒涜的カロリーを携えた『さいきょう』のかき氷。提案を秒で採用し冒涜的にしていくスタイル。どうも、いつも通りの私です。
ニンジン嫌いカーマで堕とす。そう思ってたらなんとか勝てたので大満足。MVPは朕。
正直誕生日を忘れ始めてて、プリコネ起動して思い出しました。今日誕生日でした。