「メリーゴーランドですか……まぁ、悪くはないですね」
「うむ。まぁ、吾は面白くはないのだが……未だになぜ人気かが分からぬ。何がしたいのだ」
「誘っておいてそれを言うんですか」
自分から誘っておいてそう言うバラキーに、不満そうな顔をするカーマ。
だが、バラキーは悪びれたようすもなく、
「まぁなんだ。吾が誘わぬとポツンといそうだからな……」
「あれ、もしかして哀れまれてます? 本気ですか。私女神なんですけど。一人とか別に構わないんですけど。え、何なんですか?」
「いや、そう言うわけではなく、汝が一人でいるとマスターだけでなく吾にまで被害が来そうなことをしそうだからな……マスターにするのは構わぬが、吾まで巻き込まれては堪らぬ。つまりはまぁ、そう言うことだ」
「……言い訳がましいですけど、まぁそう言うことにしておいてあげます」
そう言って、ようやく停止したメリーゴーランドから降りるカーマ。
バラキーもそれに続いて降りると、
「しかし、どうしたものか。今は他に行けるところは少ないのだが、メリーゴーランドはあまり楽しくないしなぁ……」
「スモールラビリンスとか、わりと時間を潰せそうですけど。普通に迷路でしょう? 楽しそうじゃないですか」
「うぅむ……迷路は去年さんざん迷った想い出が……いいや、今年は違う! 二年連続で負けると思うなよ鬼王! 吾は学習する鬼。二度通じると思うな!」
「おーおー。すごいやる気です。普通そこまでやる気出します? まぁ去年迷子になったのならそうもなるかもしれませんけど。私は気にしませんけどね~。それじゃ、行きますか」
「うむ! 絶対突破してやろう!」
そう言って、気だるそうなカーマと、元気いっぱいのバラキーはスモールラビリンスへと向かうのだった。
* * *
「ひぐっ、うぐっ。また迷子になった……」
「情け無さすぎるんですが。なんでなにも考えないで一直線に走っていくんですか。迷いが無さすぎて道を知ってるのかと思いましたよ」
案の定迷子になったバラキーとカーマ。迷いのない迷子の行動に振り回された結果だった。
カーマはため息を吐くと、
「ほら、いつまで泣いているんですか。鬼なら鬼らしく迷っても笑うべきなんじゃないですか。それとも、貴女の言う鬼はその程度のものだったんですか?」
「むっ、そ、そんなわけ無かろう。迷子になって泣くなど、笑われてしまう。うむ、もう大丈夫だ。何を迷う必要があるのか。この程度、越えられるに決まっているとも!」
そう言ってバラキーは元気よく走りだし、数十分後、カーマに助けを求めるのだった。
うちのバラキーはこんなにポンコツで正解なのです。かわいい平和な世界……
台風、気を付けてください。と言っても、明日にはほとんど通り過ぎてると思いますけどね。