「観覧車。良いですよねぇ、この密室感と浮遊感。確かにデートスポットとしては最適ですよ。強制的に距離が近くなりますし」
「ん。あぁ、そうなのか。うむ。吾には分からぬが」
どこか上の空のような返事をするバラキーを不思議に思ったカーマはバラキーを見る。
すると、なぜか青い顔をしているバラキーがいた。
「どうしたんです? もしかして、高いところが苦手とか?」
「そ、そんなわけない! 吾は鬼。恐れられはすれど、恐れるわけはなし!」
「ふぅん。そうですか……それじゃあ、なんでそんな青い顔をしてるんですか」
「そ、そそそ、そんな顔はしておらぬ! 見間違いと言うヤツだ!」
「……まぁ、それならそれで良いんですけど」
カーマはそう言うと、またぼんやりと外を見て、
「ランド内、北方とは思えない暖かさですよね……雪も降りそうにないですし。過ごしやすいのは良いんですけどね」
「まぁ、鬼王とやらがそうしているのは分かる。ただ、やはり気に食わぬのは確かよ。去年やったから正体は分かっているが、なんというか、こう……うむ。やはりもう一度打ち上げるしかなかろう」
「どうあがいてももう打ち上げるのは決定事項なんですね。いえ、まぁ、分かりますけど。名乗ってるのにやってることが真逆とか、確かにイラッとしますけど」
「だろう? なら、吾がまたぶっ飛ばしに行くのも自然というわけだ。うむ。分かるな?」
「いや、だから分かってますって。そんなに強調しなくても良いですから。なんですか。そんなに同意してもらいたいんですか」
「い、言っているだけだ。別に他意はない……ただまぁ、確かに同意してほしいという気持ちが無いわけでもない」
「どっちなんですか。まぁでも、話が纏まらないくらい動揺してるのは分かりましたから、観覧車を降りたら何をしようか考えましょうか」
「うむ! そうしよう!」
カーマはバラキーの隣に座ると、パンフレットを開き現在地を指す。
「まず、今はここなので、わりとどこに行くにも遠いです。まぁ気にしませんけど。そして、ここが例のパレードがあるメインストリートなので、早めに行かないと席取りが出来ません。まぁ、ぶっ壊しに行くのが目的に近いので関係無いかもしれませんけど。なので、私としては、フードコートで時間を潰すか、メリーゴーランドやティーカップに行くか、メインストリートに行って売店を見て回るか。わたしとしてはどれでも構いませんけど」
「む~……もう日が暮れ始めているからなぁ……そういえば、メインストリートをじっくり散策したことはないな。うむ。ならメインストリートに行くとするか」
朱く染まった空を見つつ言うバラキー。
カーマはパンフレットを閉じて立ち上がると、
「じゃあ、そうしますか。もうそろそろ地上ですので、出れるようにしておいてくださいね」
「降りれるようにも何も、そもそも手荷物など無いだろうが……いつでも出れる。というか、カーマはパンフレットをどこから出した?」
「私は秘密がいっぱいなので。教えてあげませんよ」
「そうか……いやまぁいいのだが。忘れるなよ?」
「それこそ余計なお世話です。それじゃ、行きましょうか」
軽い衝撃。少ししてから開かれた扉と共にカーマは手を差し出し、バラキーはその手を取って立ち上がるのだった。
カーマ式衝撃回避法:少し浮きます。以上。
シトナイを出すタイミングを失い困る私。これはあれです。イベントが終わるまで出てこない説ありますよ。