「あ~……ブレーキ無しなんじゃなぁ、あのティーカップ」
「普通一定速度でストッパーが働きますよねぇ……」
全身ボロボロでONILANDの即席医務室のベッドに倒れているノッブとBB。
バラキーの攻撃によって無理矢理止められたティーカップは殴られた衝撃で分解し、その遠心力によって弾丸のように放たれた二人はそれぞれ別の場所に突き刺さり気を失ったのだった。
そして、ナイチンゲールの処置によって急速に回復しつつある二人は、
「そういえば、夜にはパレードがあったんじゃっけ」
「ですね。最終決戦だったと思います」
「ふむ……」
そう言って、何かを考え出すノッブ。
どんな悪巧みをしているのだろうかとBBが興味を持ち始め、
「何をする気なんです?」
「いや、敵が集団なら、そこに爆弾のひとつでも投げつければかなり有利になるのでは……?」
「……正気ですか?」
「いや、貧血で正気じゃないかもしれぬ。が、面白そうなので作っちゃうのが儂。どうせマスターとメルトはデートで、臨時でエウリュアレが指揮じゃろ? なら大抵の無茶は押し通せるはずじゃ。うはは! 儂冴えてね?」
「いや明らかにイカれてますけど。寝た方がいいんじゃないです?」
「やるぞ~。儂がやるって言ったらやるんじゃ。よし、道具を準備するぞBB!」
「えぇ……止められそうにないですねこれ。仕方無いですね、協力しますよ」
全力で飛び起きるノッブと、イヤそうに起きるBB。
だが、ノッブはすぐにその場にしゃがみ、BBは首をかしげる。
「どうしたんです?」
「いや……これ、あの看護師にバレたら殺される気がして……出来るだけ音を立てずに逃げ出す感じで」
「……ま、それもそうですね。じゃあお先に失礼します」
「は?」
ノッブが振り向くと、そこにはBBの姿はなく、今まさに閉じようとしている門があった。
それも悲しいかな、認識した瞬間には閉じられてしまった。
「……うっそだろおい」
思わずいつもの口調すらどこかへ吹っ飛んでいく状況に困惑するノッブ。
だが、すぐに切り替えると、
「よし。まずは爆弾を作って、BBを爆破。これじゃな。儂完璧。一部の隙もない完璧な計画。どこに逃げたかはすぐ分かるし問題ないとして、まず爆弾じゃな。聖杯使う? いやでも持ってないから出来んか。うむ。とりあえず全力で撃ち殺すのもありかもしれんな。脱出してから考えるか」
即座に物騒な作戦を考えつつ、脱出のために衣擦れ音出さないように水着に着替えたノッブは、ナイチンゲールに見つからないように最大限警戒しながら移動を始めるのだった。
その数分後、盛大な爆発音と共に約二名は医務室に戻るのだった。
原因が仲間割れなのはもはや平常運転。高確率で自爆してませんかねこの二人。