「じゃ、子イヌ。今度はちょっと宇宙に羽ばたいてくるわ。今年のハロウィンはスペースワイド。宇宙に進出できなくてハロウィンなんて片腹痛いわ。謎のヒロインなんたらとか、スペースなんたらとかが出てきたんですもの。やっぱり負けてられないわ!」
「あ、うん……前回は難破して海を漂ったんだから、ちゃんと宇宙でも大丈夫なように宇宙服は着続けるんだよ?」
「任せて! ちゃんと宇宙にハロウィンを届けて地球に帰ってくるわ! その時は、またみんなの前でライブをするからね!」
「ダメそうなら令呪で戻すから教えてね~」
そうして、ロリンチちゃんとBB、ノッブの凶悪パーティー製作の宇宙船に乗り込み、無数のちびノブと共に旅立つエリザベート。
それを見送ったオオガミは、
「よし。おっきーのところに転がり込むか」
* * *
「いや、マジでやめて。目の前で遊ばれると集中できない」
「大丈夫大丈夫。ちょっと遊ぶだけだから。それにおっきーも息抜きは必要でしょ?」
「その息抜きのし過ぎで今困ってるんですけど。まーちゃんアシ出来るんなら手伝っていってよ」
ぶーぶー。と頬を膨らませて文句を言う刑部姫。
オオガミは仕方ないとばかりにため息を吐き、
「言っても、ルルハワでやった程度ですけど。それでもいいのなら手伝うよ」
「じゅーぶんじゅーぶん。こっちも趣味の範囲だし文句言わないって。じゃ、ここお願いねー」
「はいはーい。任されたー」
そう言って、刑部姫の部屋に標準装備されているこたつに足を入れ、違和感を感じる。
「……ねぇおっきー。このこたつ、まだ異界化してるの?」
「へ? 今はしてないはずだけど、なんで?」
「いや、なんか足に変な感触が……」
そう言って、こたつをめくりあげると、そこには丸まっているアナがいた。
それを見たオオガミは少し考え、
「おっきー。誘拐はダメだと思うよ?」
「してないけど!? 酷い言い掛かりじゃない!?」
「いやだって、アナが中で寝てるし……これは言い逃れ出来ないのでは?」
「不可抗力! さっき入ってきたの! 別に邪魔してる訳じゃないし、良いかなって思っただけだし!」
「ふむ。では被告。言い分を聞こう」
「もう犯罪者扱い……!?」
そう言って、作業しながらそんな掛け合いをする二人。
すると、中で寝ていたアナがごそごそとこたつから出て来て、
「なんですか、騒々しい……せっかく気持ちよくお昼寝をしていたのに起きてしまったじゃないですか」
「あ、おはよーアナちゃん」
「おはようアナ。ちょっとこっち来て膝の上に座って?」
「は?」
「……分かりました……」
「え?」
寝ぼけているのか、オオガミの膝の上にすっぽりと収まるアナ。
困惑する刑部姫に、オオガミはドヤ顔で、
「これがマスター特権」
「姫今からまーちゃん殺して権利を奪う」
目が本気だった。
まーちゃん 殺して 権利を 奪う
*ケツイ
スペースワイドなハロウィンに期待……!
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ