「……ねぇエウリュアレ。マスターは?」
「ONILANDから帰って来て昨日まで逃亡してたんだけど、さっきようやく捕まって廊下に吊るされてたわ」
「なにそれ……バカなの?」
呆れたようにため息を吐くメルトに、何を今さら。と読んでいた本を閉じながら答えるエウリュアレ。
目前に迫ったイベントを前に吊し上げられていることなど割りと良くあるので、基本的には誰も気にすることなく受け入れていたりする。
なので、誰かが増えたイベント後には、部屋ではなく廊下を探した方が早いと言うのは、一部のサーヴァントの間では常識になっていた。
「それで? なにか用があったの?」
「別に、雑談でもしようかと思っただけ。それ以上でもそれ以下でもないから気にしなくていいわ。あくまでも暇潰しの一貫。なんてことのないことよ」
「そう。じゃあちょっとした雑談ね。ゲームだと基本的に貴女に不利だし」
「否定できないわね……正直、トランプも微妙だもの。カードを繊細に扱えなくて」
「まぁ出来なくてもなんとかなると思うし、気にしなくていいんじゃないかしら。それに、
「……まぁ、その奇跡は今は要らないけどね。マスターがいるだけで十分。召し使いがいるって言うのは、とても気が楽ね」
「えぇ、本当にね。アナ、よろしく」
エウリュアレが言い終わると同時に現れたアナは、テーブルと紅茶、お菓子を用意してすぐにいなくなる。
その早業を見ていたメルトは、
「す、スゴいわね。マスターにも是非覚えてもらいたいわ……」
「むしろあれはマスターのスキルよ。『昔のバイトの経験が生きた』らしいわ。アナも嬉々として覚えるからいつの間にか二人して早業大会みたいになってるし」
「そうなの? 変なところでスゴいわね」
「えぇ全く。変なところでスゴいから扱いにも困るの」
「本当に面倒ね。大体、こっちから何かしようとするとすぐ見つかるのも納得いかないわ。なに? 越えてきた特異点の数だけ感覚が強化されるの?」
「まぁそれだけ無茶なことしてるしね。アメリカだと死にかけたらしいし」
「え……それなのにあんな平気そうな顔で今も戦ってるの? ……本当に人間?」
「えぇ、あれで人間。かなり勇者よりの精神をしているただの人間。英霊の加護無しには特異点の修復すら困難な一般人。だけど、堕落させられなくて悔しいわ。幾人もの英霊に守られているから勇者の試練も普通に越えてくるし。難しいところよね」
「……で、自分が堕落したと」
「いいえ? 染まっただけよ。彼の雰囲気に。だって、楽しいのは事実だもの。何より、ここならまた
「……あぁもう、甘いったらありゃしないわ」
「ふふふ」
そう言って笑うエウリュアレと、若干顔を赤くさせながらお菓子を食べるメルト。
すると、エウリュアレは思い出したように、
「そうだ。あれを見ましょう。アビー、アンリからカメラ貰ってきてちょうだい」
「もう貰ってるわ!」
シュバッ! と門から飛び出てくるアビゲイル。
一体どこから聞いていたのかと突っ込みたくなるが、メルトはその突っ込みを飲み込む。
「ふふっ、じゃあ観賞会と行きましょうか。レクリエーションルームになら機材が一式揃っているかしら」
「ぱそこん? でも見れるって聞いたわ。マスターの部屋にあるから、このケーブルを持っていきなさいって、ダ・ヴィンチさんが」
「あら、用意してくれたのね。じゃあ大人数に見られなくて良かったかしら。本人はどうか知らないけど」
「……なんでそこで私を見るのよ」
「分からないならそれでも良いわ。すぐに分かるし。それじゃあ準備しましょうか」
そう言ってエウリュアレは微笑みながら準備を始め、中身を分かっていないメルトは首をかしげながら手伝うのだった。
なお、数分後にメルトは倒れる模様。
エウリュアレが! 礼装! 惚れろ! みんなエウリュアレを崇め称えろ! 私はもうしている!(発狂
ところで、ついに宇宙進出ですか? 星見が星渡りになってるんですが。なに? ビヤーキーでも捕まえました?
あと何気に初のエクストラアタック強化ですね。でもクリティカル威力は乗らないからなぁ……うーむ。とりあえず礼装狙い、ですかね? でもなんとなくシステムが組めそう。そんな気がする私です。アーツパに革命が……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ