「あら、何か悩んでるようだけどどうしたの?」
「む。シトナイか……」
食堂にて、何かを悩んでいるバラキーに声をかけるシトナイ。
珍しく一人だなぁと思いつつ聞いてみると、
「カーマがまた菓子を作ると息巻いていてな……最近なんだか目的を見失っている気がして……まぁ旨いので止める気はないのだが」
「ふぅん……害がないならいいんじゃない?」
「う~む……邪神的にアリなのか……?」
「誰が邪神ですか焼きますよ?」
「うおぉぉ!? 鉄板はダメだろぉ!?」
ジュウウゥゥ……と焼けるような音が響いてくる、鉄板を乗せられたバラキーの腕。
それだけでその鉄板が熱せられていることが分かるが、それをやっているカーマがいい笑顔なのがまた恐ろしさを際立たせる。
更にシトナイは、バラキーの悲鳴を総スルーし、鉄板の――――少し特殊な形状をした鉄板を見て、
「マドレーヌ?」
「えぇ、今回は焼き菓子です。挑戦してみたら意外と大変で。美味しい焼き菓子って難しいですね」
「そう? 十分美味しそうだけど」
「これ、試作3回目くらいですし。厨房組から隠れて作るのもそろそろ限界を感じますよ」
「なんで隠れる必要が……? 普通に作ればいいじゃない」
「……まぁまぁ。お一つどうぞ?」
「なんか不安なのだけど……まぁ良いわ。美味しそうだし」
そう言って、焼きたてのマドレーヌをもらって食べるシトナイ。
熱いからとチマチマ食べつつ、満足そうに微笑む。
「うん。美味しいわ。でもなんで厨房組から隠れないとなの?」
「まぁ、いわゆる『かろりーばくだん』らしく、サーヴァントでも太るらしい。それを何個も食べて倒れているのが何人かいた」
「……へぇ」
一瞬でハイライトが消えるシトナイ。
カーマはそれを見てにっこりと笑うと、
「大丈夫です。食べ過ぎ注意、ほどほど重視で制限をつければいくらでも食べられますとも。まぁ、気にしないで食べて、運動すれば良いって考えもアリですけどね?」
「……運動すればいいのね……じゃあ、ちょっと女神でも狩ろうかしら。えぇ。対乙女特効兵器を作る悪い邪神を」
「おっとピンポイントですね? 全力で抵抗しますよ?」
そう言って、即座に武装を展開する二人。
バラキーはそれを見ながら、
「とりあえず、吾の腕の上から鉄板を退かしてくれないかなぁ、と思うのだが」
そう呟くバラキーの声は、既に周りが目に入っていない二人には届かず、
「うん。久しぶりに仕事かな?」
随分と久しぶりなエルキドゥが、鎖を構えつつ鉄板を持ち上げるのだった。
本気でネタ切れを起こした者の末路。でも日は跨いでない。ギリギリセーフ……
エルキドゥが久しぶりすぎて、誰?な状態……
ところで、アンケートがスゴいことになってません? エウリュアレが玉虫色の回答に勝ちそうなんですが。良いぞぅ、もっとエウリュアレ教増えろ!
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ