「さて、英霊召喚チケットでございます」
「当然ゴルゴーンよね拒否権はないわ」
マイルームで、オオガミが椅子に座って受け取ったチケットを眺めていると、背後から首に抱きついて、右肩から顔を覗かせるエウリュアレ。
オオガミはその状況に震えつつ、
「ほ、ほら……バサスロさんとか、戦力ですよ……?」
「別に戦力とかもう要らないでしょ」
「う~ん否定できないこの事実」
確かに戦力として必須なのは無いなぁ。と呟くオオガミ。
既に一度エウリュアレの要望で使っているので、もう一度使うことも別に問題はないだろう。
なので、
「とりあえず保留」
「えぇ……」
はぁ……とため息を漏らしつつ、エウリュアレはオオガミから離れるが、すぐにオオガミの前に来てその膝の上に座る。
そして、遠慮無く体重をかけて寄り掛かると、
「まぁ、別にすぐ使わなくても良いけど、忘れないようにしなさいよ?」
「うん。早めに使うよ」
「えぇ、そうしなさい。私はゴルゴーンを期待しているから」
「はいはい。まぁ、一応予定はゴルゴーンにしておくよ」
「お願いね。って言っても、貴方が私に甘いのは知っているけども」
「……本人に向かって言いますかね普通」
オオガミの疑問に、エウリュアレはオオガミの手を自分の膝の上に乗せて、
「だって、私が堕落させたもの」
そう言って、にっこりと微笑む。
それに対してオオガミは苦笑いをしつつ、
「いつの間にか堕落していたらしい」
「だって、当然のように私に貢ぐでしょ? まぁ、私に溺れている訳じゃないのがちょっと残念だけど、それでも貴方は私のもの。自覚はあるんでしょう?」
「エウリュアレだけのものになったつもりは無いけどね」
「……空気読みなさいよ」
「空気を読んで言ったら『言質を取った』って言ってカルデア中にばらまくでしょ。分かってるからね」
「……ちぇ。やっぱりそんな甘くないわね」
仕方ない。と言いたげな表情で、机の上にボイスレコーダーを置くエウリュアレ。
本当に持っていたという事実に震えるも、何でもないかのように取り繕うオオガミは、良くも悪くも成長したということだろう。
「というか、なんでここまでしても平然としてるのよ。普通もうちょっと反応があっても良いと思うんだけど」
「何年一緒にいると思ってるの。寝食共にして早二年。え、二年も経ってるの? ヤバくない?」
「そこで詰まられると困るのだけど、言いたいことはわかったわ。つまりもう慣れたんでしょ?」
「いや、気合いで堪えられるようになった」
「それを慣れたって言うのよ!」
ゴスッ! と突き刺さるエウリュアレの肘に呻くオオガミ。
しかし、突かれたところを押さえようにもエウリュアレが両手をしっかりと掴んで離さないので、どうすることも出来ず、やはり呻くことしか出来ない。
「こういうところもどうかと思うのですが」
「ふん。私は悪くないわ。自業自得よ、バカ」
「とてもひどい理不尽を感じる……」
オオガミはそう呟いて、エウリュアレを抱き寄せるという抵抗をするのだった。
これはヒロイン。しかし、なぜデート回でもないのにこんなことやってるんでしょう……不思議だなぁ……
ところで、最近じわじわとエウリュアレ様の独占欲が見え隠れしているんですが気のせいです?
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ