「ふぅ……なんかやる気起きない……」
「だからって私の髪で遊ぶのはどうかと思うの」
櫛を片手に、ひたすら膝の上にいるエウリュアレの髪を梳かし続けるオオガミ。
髪型を変えて遊んでいたせいで変な癖が付き始めているが、エウリュアレが気付いている様子はなかった。
「というか、ハンティングは?」
「いやぁ……歯車も髄液も今のところ必要最低限は揃ってるから……案の定AP消化するくらいかなぁって感じ」
「何が来ても同じ対処でしょ。まぁ、貝殻だけはちょっと違うと思うけど」
「……貝殻に関してはどうしようもない……不足し過ぎて最早無いのが常では……?」
「あ、ちょ、落ち込むのは良いけど髪を梳かす手まで雑にならないで!?」
心情を表すように櫛を持つ手が震えているので、エウリュアレとしては気が気ではなかった。
ようやくオオガミの手が止まったのを確認すると、思いっきり寄りかかり、
「今日は髪を下ろしていようかしら。でもちょっと邪魔なのよね……」
「じゃ、ポニーテールで」
「……実は好きよね、ポニーテール」
「……はて。何のことやら」
目を逸らしながら答えるオオガミ。
エウリュアレはそれを顔だけ振り向きながら見つつ、
「だってほら、いつもの髪型以外を任せると、貴方、必ず一回ポニーテールを挟むじゃない。そのあと絶対ふざけてくるけど」
「いやぁ……そんなにしてますっけ?」
「してるわ。というか、メルトにも同じことやってたじゃない。流石に気付くわよ」
「なんで見てるのさ……!」
「この部屋、ほぼ共有部屋なのだけど。私もメルトもここに帰ってくるんだから見てるに決まってるでしょ」
「突っ込みたいのはそこじゃない……なんで入ってこないのかってことなんだよ……?」
「……雰囲気的に、入りづらいもの」
「空気を読んでた……?」
あり得ないものを見たと言いたげな表情をするオオガミ。
それを見たエウリュアレは無表情にオオガミの脛に踵を叩き付ける。
救いがあるとすれば、今エウリュアレは裸足だったことだろう。
だがそれでも痛いものは痛いのでオオガミが呻いていると、
「まぁ、良いわ。今日はもう寝るとしましょう。髪型は明日の私が考えるわ」
「寝るなら髪型を整える必要もないね……?」
「えぇ。だからほら、貴方も寝なさい。明日になればやる気も湧いてくるだろうし、それに、一緒に寝れて光栄でしょ?」
「いつもの事だけどね。まぁ光栄ですよ女神サマ」
ベッドに飛び込んだエウリュアレに袖を引かれ、オオガミも仕方なさそうに一緒のベッドに入るのだった。
最近砂糖出しすぎてみんな慣れてきてそうなのでギャグ寄りに戻さなきゃ……いつの間にラブコメになってしまったんだ……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ