「……どうしてマスターさんはいないのかしら……」
「だからって部屋に勝手に入って占拠してもなんも変わんねぇと思うぜオレは」
部屋でベッドに転がってバタバタと足を振るアビゲイル。
その様子を椅子に座りながら見ているアンリは、だるそうにあくびをする。
「そもそもよぉ、イベントなんだからもう出発してんだろ。お得意のマスター感知で探し出せばいいんじゃねぇのか?」
「まぁ、そう言われるとそうなのだけど……最近やり過ぎて、ダ・ヴィンチさんに使っちゃダメって言われたの。このおしゃれなブレスレット、門を開こうとすると集中力を乱すんだって」
「へぇ? 面白そうな機能だな。それってあれだろ? お得意の触手も出せないんだろ?」
「いいえ? それは普通に出るわよ?」
言うなり、飛び出た触手がアンリの足首を掴み宙づりにする。
宙づりにされたまま揺れているアンリは複雑そうな顔をすると、
「出来るじゃねぇか。足首壊れてないし、制御は出来てるんだろ?」
「ん~……でも、ぼんやりするわ。制御できないわけじゃないんだけど、探すのは大変な感じ。いつもみたいに探せない感じって言うか……」
「なるほどな。で、降ろしてくれんの?」
「降ろしてほしいの?」
「いやまぁ、落とされたくはないわな?」
「ん~……まぁいいわ」
「お、やったぜげぶぁ!?」
安心したようにアンリが言うと同時、触手が緩んで落とされる。
見事に顔面から落ちたので、痛そうに顔を押さえながら立ち上がると。
「ってぇ~……絶対やると思ったわ……」
「受け身取れてないけど……良いの?」
「いや痛いのはオレだしな……つか、落とす方がどうかと思うんだが」
「まぁ、それは、うん……アンリだし……良いかなって」
「う~ん納得のいく納得したくねぇ理由だな全く!」
はぁ。とため息を吐き、アビゲイルに近付くアンリ。
近づいてくるアンリを見上げ、アビゲイルは首をかしげると、
「何?」
「いや、さっさと管制室に行ってマスター達んところ行こうぜって思ってよ」
「ん……迷惑になっちゃわないかしら」
「ならねぇよ。あのマスター、そう言うところが良いんだろ?」
「んむむ……分かったわ。管制室まで行って、どの時代のどこかさえわかればたぶん何とかなるわ!」
「不穏だな……まぁ、付き合うけどよ?」
「ふふん。じゃあそうと決めたら一直線! 行くわよアンリ! レッツゴー!!」
そう言って、アンリの手を引いて走り出すアビゲイル。
アンリは困ったように笑いながら、ついて行くのだった。
のんびりAP消化する程度の周回してる感じです。礼装取得に時間かかるなぁ……
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ