「七夕……ねぇ……」
「まぁ、お主にとってはあんまり興味ないじゃろ」
「そんなことないわよ?」
「ほぅ? 何かあるのか?」
「えぇ。限定和菓子が出るわ」
「……うむ。いつも通りじゃな」
モグモグと七夕限定ゼリーを食べつつドヤ顔をするエウリュアレ。
それを見て、苦笑いしつつ作業を進めるノッブ。
「というか、ノッブこそ何をしてるのよ」
「短冊作るんじゃよ。お主も手伝うか?」
「ふぅん……そうね。気が向いたら手伝ってあげるわ」
「お主は手伝ってくれること自体が珍しいからな。気が向いたら手伝ってくれ」
「えぇ……ところで、なんで短冊?」
「願い事を書くため……じゃったかな?」
「そう……大変ねぇ……織姫と彦星ってのも」
「……お主も、神じゃったよね……完全に他人事……」
「他人事だしね。私の所を考えなさいな。身内で大戦争が起こる様な世界よ? 大変なのよ?」
「あ~……ギリシア神話って、確かに殺伐としておったなぁ……」
ギリシア神話を思い出しつつ、ノッブは短冊を切りながら頬を引きつらせるのだった。
「吾は、特に興味ないんだがな……」
「茶々は結構楽しみだよ!!」
「ふん……普段の星見と変わらぬだろうに」
「夢が無いねぇ、バラキーは」
「……
「わははーー! 死ぬわけないし~!! 頼光の力に全力で頼るもんね!!」
「なっ!! 卑怯な!!」
「わははは!! やってくるといいよ!!」
「ぐっ……このぅ……!!」
茨木を煽りつつ、さっさか逃げる茶々。
茶々にも考えがあったのだろうが、現状においては遊んでいる人間が増えただけだった。
「沢庵……沢庵……」
「お主、もう作れよ」
「当たり前だ。それがどれだけ完成するかは分からんがな」
「流石じゃなぁ……まぁ、自分で処理しきれるくらいにしておくんじゃぞ」
「任せとけ」
土方は、当然の如く沢庵について書いていたが、すでに自分でも作っているらしかった。
いつか、それが原因で何かがある様な気がしなくもないが、今気にしても仕方がない。と割り切る。
「それで、エウリュアレは手伝えるのか?」
「えぇ。食べ終わったしね」
「じゃあ、こっちを任せる」
「任せなさい」
鋏を持って楽しそうにしているエウリュアレ。どことなく危ない感じがしたが、ノッブはスルーを決め込む。
「よし。じゃあ、今出来てる分は配って来るぞ」
「任せなさい。私の本領発揮よ」
「お主、それが本領で良いのか……?」
ノッブが困惑するが、本人は楽しそうなので問題は無いだろう。
「マスター。笹、準備できたか?」
「あぁ、ノッブ。今さっき終わったよ」
「ふむ。なら、ちょうど良かったかの。短冊を切ったから持ってきたぞ」
「ありがとう。ん~……でも、最初は手伝ってくれたみんなでいいんじゃないかな? 俺は最後でいいよ」
「そう言うわけにもいかんじゃろ。こう、マスターの威厳的に。変に遠慮するのはむしろ逆効果じゃぞ?」
「えぇっ……仕方ない……何か考えてみるよ」
「うむ。書けたら言ってくれ。そうしたら儂が配って回るからの」
「了解。少し待ってて」
オオガミの言葉を聞きつつ、ノッブはエウリュアレの元に戻って行くのだった。
なんだかんだ言って、うちのエウリュアレはイベントを楽しみたいスタイルなんですよ……ハサミ持って、シャキン、シャキン、ってやって意味深な笑みを浮かべてたりしてたりしてなかったり……