「ハッ……! なんとなく子イヌが弱ってる予感! 今なら強引なライブ予約も出来るのでは!?」
「いや待て待て待ちやがれこの自称アイドル! させませんよそんなこと!」
走り出そうとするエリザベートの首根っこを掴み引き戻す玉藻。
その勢いに倒されるエリザベートだったが、すぐに起き上がると、
「だって、今年中にやりたいじゃない! 止まれないわこの気持ち! ネロもきっと参戦してくれるはず!」
「被害を拡大させないでくださいおバカ! あぁもう、マスターは未だにサンタアイランドですか!?」
「えぇはい、そうですけど。なにかご用ですか? 玉藻さん?」
玉藻の嘆きに応えるかのように声をかけてくるBB。
それを見た玉藻は頬をひきつらせ嫌そうな顔をすると、
「うげ、BB……! また厄介事を持ってきやがりましたか……!?」
「人を厄ネタ扱いしないでくれます? こっちはいい加減暇なのでセンパイを回収しにいこうか考えてるんですから」
「回収って……まだ周回中でしょう? それで引き戻したら二名ほどぶちギレて殺されるんじゃないですか?」
「……あの二人を相手にはしたくないですねぇ……まぁ、様子見くらいなら行けますか……」
「行くならこのトカゲ女も持ってってくださいまし。そのうち管制室に殴り込む勢いでしたので」
「BB! 連れていってくれるのよね!?」
「……面倒事を押し付けられましたか……」
BBは苦い顔をするも、渋々と了承する。
そして、いつものように門を開くと、
「行くのは、エリザベートさんと貴女ですか?」
「いえ、私はまだやることがございますので。ささっと行ってください」
「そうですか。まぁ、何かあればノッブに言ってください。一応会話が出来るようにはしてあるので」
「本当になんでもありですねぇ……カルデアに来ても御変わり無いようで」
「まぁ最強系小悪魔後輩は伊達じゃないので。ではまた後で~」
「ライブ、楽しみにしてなさいよね!」
「はいはい。待ってますよ~」
そう言って、手を振る玉藻の前で、エリザベートとBBは門に飛び込むのだった。
* * *
端的に言うなら、地獄絵図だった。
バラキーがオオガミの保存食を漁り、オオガミ本人は硬い何かに頭を殴られたのか、血を流しながら倒れており、メルトとエウリュアレはそれを見て若干慌てて、カーマが応急手当をしている状態だった。
遠く離れたところで周回をしていたのであろう孔明達が倒れており、そのうちの一人であろうネロはアナスタシアと一緒になにかを喜んでいた。
「……ちょっと手に負える案件じゃないですねこれ」
「また後で出直した方が良い気がしてきたわ……」
二人はそう呟き、顔を見合わせてから素直に帰っていくのだった。
玉藻さんいつぶり……?
ちなみにマスターが死んでるのは大体バラキーのドロップキックのせい。鬼パワーは伊達じゃないのだ。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ