「儂、最近めっきり出番無いんじゃが」
「まぁ、最近何も作ってませんからねぇ……」
そう言って、ボーッとしたままゲームを進めるノッブ。
暇を持て余してタイムアタックなどやってみたが、サーヴァントのスキルをフル活用するせいでボタンがぶっ壊れたので二度とやらないと誓っていたりした。
そんなノッブに呆れたような視線を向けるBBは、ふと思い出したような顔をすると、
「そう言えば、今センパイが『システム無しでのんびり塵を集める』って言って北米に行きましたよ。実際にかなり雑なメンバーでしたし、言えば入れるんじゃないですか?」
「お主が言うくらい雑とか、儂の余地ありありのありでは?」
「たぶん何も考えてない編成ですし、普通に入れると思いますよ?」
「よし。ちょいと行ってくるか!」
「はいはい。ちゃんと電源落としていってくださいよ。でないとセーブデータ上書きしますから」
「それ一番やっちゃいけないやつじゃからね!?」
言いながらささっと準備を終わらせたノッブは、バスターTシャツとギターを持って、
「じゃ、行ってくる!」
「行ってらっしゃい。戦闘見ながら待ってますね~」
「さては儂の事言えないくらい暇じゃろ!」
「まぁ、コスト的に私まで入るわけにはいきませんし。存分に遊んできてくださいね」
そう言って手を振るBB。
ノッブも大きく振り返しながら、工房を出ていくのだった。
* * *
「あっ」
「ふべっ!」
廊下を曲がると同時に何かに引っ掛かり転ぶノッブ。
顔を上げれば、やってしまったとばかりの苦い顔をしているカーマがいた。
「あ~……その、大丈夫ですか?」
「む。まぁ、この程度で怪我を負う儂じゃないしな。んで、そっちはあのワイヤーを仕掛けた……そうじゃ。カーマとか言うやつ。第六天魔王らしいな! 儂もそう名乗ってるけど、お主もそういう感じのやつか?」
「はぁ? 本人ですけど。正確には構成要素の一部って感じですけど、私が第六天魔王です。というか、そっちこそなんですか? 私のファンなんです?」
「え、本人? スッゴい弱そうなんじゃけど……ちっこいし、ありがたさとか感じない……あぁいや、魔王だから禍々しさか? どちらにせよ、近所の悪ガキが精々じゃろ。バラキーに振り回されているのをよく見るしな」
そう言ってノッブはやれやれと言いたげに首を振る。
カーマはそれを見て頬を引きつらせつつ、
「……言いたい放題言ってくれますね……ふ、ふふふ……人間風情が意気がって……身の程と言うものを教えて上げましょうか……?」
「うはは! なんかスッゴい強キャラ感出してるんじゃけど! でもそのセリフ、秒殺されるやつがよく言うやつ!」
「……燃えなさい!」
「効くかぁ!」
カーマの放ったレーザーをギターで殴り飛ばすノッブ。
そしてそのままギターを担ぐと、
「うはは! やっぱ大したこと無いな! でもまぁ? 儂、心広いし? 一矢報えるくらいがちょうど良いじゃろ」
「一々嫌味なこと言いますね……そもそも軽めの攻撃防いだ程度で調子に乗られるの、とっても癪に障るんですけど……」
「まぁ聞け。儂は今からマスターの所に行く。んで、お主もついてくる。そして、ゲームをする。なに、単純なもんじゃよ。多くの塵を集めた方の勝ち。簡単すぎて欠伸ものじゃろ? ただまぁ、『面倒だから降りる』とか言われたら、あまりに張り合いが無さすぎてやはり笑ってしまうなぁ……第六天魔王とか、そんなちんけなもんだったとかなぁ……」
「……良いですよ? その挑発、乗って上げます。バカにしたことを後悔させてあげますから」
「うひひっ! それでこそじゃな! んじゃレッツゴー管制室! あ、そこのワイヤーは危ないから回収しておくんじゃぞ。子供達が一番引っ掛かる」
「仕掛けた直後に引っ掛かった人に言われたくないですね……」
言いながらも、カーマは律儀に回収してからノッブについて行くのだった。
リクエストを消化しようと思ったらノッブがとっても嫌味なキャラになってしまった……書いてて楽しいと思えるくらいこんなノッブも好き……
まぁ、そもそも先にイタズラを仕掛けたのはカーマなんですけどね。でも平然と喧嘩を売る信長カッコいい……
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