「そう言えば、なんで貴方はそんなに鍛えているの?」
「……まぁ、こういう無茶ぶりに応えるためじゃない……?」
腕立て伏せをしているオオガミの上に乗りながら聞いてくるメルトに、特に苦しそうな様子も見せず答えるオオガミ。
だが、メルトは納得していないのか、不機嫌そうな顔で、
「……真面目に聞いているのだけど」
「真面目に聞いているのなら退いてほしいなぁ……」
「それは無理。性分だもの。仕方ないわ」
「……絶好調ですね?」
「当然じゃない。ちょうど座りやすい椅子があったのだもの」「その椅子、動いてしゃべりますけど?」
「あら、なにか問題が?」
「いいえ全く。今日も可愛いですねメルト様?」
「ふふん。当たり前の事でも、言われて嬉しくないわけないわ。もっと言いなさい?」
「くそぅ、調子に乗らせただけか……!」
どうあがいても退く気がないということが分かったので、諦めるオオガミ。
そろそろ死にそうだがそれはそれ。ちょっと見栄を張りたくなるときもあるのだ。
「それで、なんで鍛えてるの?」
「あ、そこに戻るのね……」
「逃がしはしないわ。それで? どうしてかしら」
「そりゃまぁ、魔術の才能皆無ですし、マスター適性とレイシフト適性しかないのなら体鍛えて生存率上げるしかないじゃん?」
「そうねぇ……でも、それであの太陽ゴリラみたいになられても困るのだけど」
「ならないしなりたくないけどね? まぁほら……最悪メルトが良い感じにドレインすれば良いんじゃないかな」
「あら、私にそれを期待するの? 言っておくけど、私は0か1よ?」
「くっ、極端だったか……!」
「まぁ、貴方がゴリラになるのは私も不本意だし、協力するわよ。感謝しなさい?」
「さすが女神様! ありがとうございます!」
「ふふっ、もっと敬い崇めなさい?」
「そういう調子の乗り方は私の役割でしょ」
「きゃっ」
「ぐえっ」
飛んできた矢を避けるために急に動いたせいで体勢が崩れ、そのせいで下にいたオオガミは耐えきれず倒れる。
それを起こした張本人であるエウリュアレは楽しそうな笑みを浮かべつつ、
「マスターごきげんよう。最近北米に行ったまま帰ってこないけど、どう言うことかしら」
「え、あ……いやまぁ、塵掃除をね。ちょっとね。素材不足には抗えないと言いますか……」
「ふぅん……まぁ良いけど」
エウリュアレはそういうと、オオガミを立ち上がらせ、
「そろそろアトランティス大陸だけど、準備は完璧?」
「レディ・パーフェクトリー。神様なんて何度でも落としてやる」
「えぇ、十分ね。私たち以外の神様なんて一切合切落としなさい」
そう言って、エウリュアレは笑うのだった。
いよいよアトランティス。書いているのは生放送前だからいつ開始か分かってないぞぅ……! でも今日じゃないかなと期待してます!
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ