《獣人のこども》おねしょ敬太くんの大ぼうけん   作:ケンタシノリ

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その3

 ワンべえは、小さい家の庭から敬太の声が聞こえたので家から出ました。すると、庭にある大きな木で敬太が何かしている様子にワンべえは不思議そうに見ています。

 

「えいっ、えいっ、えいっ」

「敬太くん、大きな木で何をしているワン?」

「ぼくは、ここでお相撲の稽古をしているところだよ! 右手と左手の突っ張りを繰り返すてっぽうという稽古をしているぞ!」

 

 敬太は、てっぽうというお相撲の稽古をずっと行っています。敬太は、大きな木で右手と左手の突っ張り技を繰り返しながら鍛えています。

 

「敬太くんは今でもかなり強いのに、どうして稽古をしているワン?」

「ぼくは、旅の途中でものすごく強い獣人たちとかに出くわすことがあるんだ。だから、強い獣人をやっつけるためにいろんな稽古をしているんだよ」

 

 敬太は、目の前に立ち塞がる強い獣人をやっつけるためにお相撲の稽古を行っています。てっぽうの稽古が終わると、次は股割りの稽古です。

 

「んぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐっ」

「敬太くん、何か表情が苦しいけど、大丈夫ワン?」

「股割りはかなりきついけど、ぼくは地面に顔を付くまで地面に体を倒すことができるぞ! んぐぐぐぐっ」

 

 股割りの稽古が始まると、敬太は両足を完全に開いて地面にぺたっと座りました。そして、敬太は顔を地面に付くように上半身を倒すこともできます。

 

 股割りは、大ケガを防止するための準備運動でもあります。敬太はどんなにきついくても、弱音を一切吐かないで股割りの稽古に励んでいます。

 

「よ~し、お相撲の稽古も終わったことだし、そろそろ昨日掘り出したヤマノイモを食べようかな」

「わ~い! 敬太くんといっしょにご飯を食べることができるワン!」

 

 お相撲の稽古が終わった敬太は、お腹がすいてきました。敬太は、家の中から持ってきたヤマノイモをワンべえといっしょに食べることにしました。そばにいるワンべえも、しっぽを振りながら喜んでいます。

 

「それじゃあ、ワンべえくんはこのぐらいなら食べられるかな?」

「敬太くん、どうもありがとうワン!」

 

 敬太は、2本あるヤマノイモの中から1本を取り出しました。そして、ワンべえが食べられる量のヤマノイモを少しずつ与えました。

 

「敬太くんがヤマノイモを食べさせてくれたおかげで、ぼくは大満足なんだワン! 残りのヤマノイモは敬太くんが全部食べてもいいワン!」

「ワンべえくん、残りのヤマノイモは全部ぼくが食べるよ!」

 

 ワンべえは、ヤマノイモを食べてお腹がいっぱいになって満足しています。残ったヤマノイモは、敬太が全部食べることにしました。

 

 敬太は、残りのヤマノイモを半分に折って自分の歯で丸かじりしました。大好きなイモをいつもいっぱい食べるのが楽しみなので、食べるときも大きな口を開けておいしそうに食べています。

 

「ワンべえくん、そろそろこの家から出て、すぐにでも山道を歩かないといけないね」

「敬太くんといっしょなら、ぼくは全然寂しくないワン!」

 

 敬太は、庭の物干しから敬太とワンべえのお布団を家の中に入れました。でっかいおねしょが描かれていた2枚のお布団は、夏の太陽に照らされたおかげですっかり乾きました。

 

「ワンべえくん、再び山道に戻って行くよ!」

「敬太くん、ぼくもついて行くから、先に行かないでほしいワン」

 

 敬太とワンべえは、すぐに小さい家がある小高いところから駆け下りました。

 

「敬太くん、もっとゆっくり歩こうワン」

「ぼくは、いつも山道を歩いたり走ったりするのが大好きだよ。だけど、ワンべえくんには急いでいるように見えたかもしれないね」

 

 ワンべえは、敬太にもっとゆっくり歩いてほしいと言いました。これを聞いた敬太は、ワンべえがくるまで少し待つことにしました。

 

 ワンべえは敬太に追いつくと、いっしょに再び山道を歩き始めました。しかし、しばらく山道を歩いているとワンべえの様子が急に変わりました。

 

「ワンべえくん、いったいどうしたの?」

「敬太くん、何か、何か恐ろしい気配を感じるワン」

 

 ワンべえは鼻でにおいをクンクンさせると、近くに何やら恐ろしい気配が感じました。その気配を感じたワンべえは、敬太の目の前で身震いするしぐさを見せました。

 

「ワンべえくん、恐ろしい気配ってどういうことなの?」

「敬太くん、気をつけてワン! 近くに恐ろしいのが襲ってくるかもしれないワン!」

 

 敬太は、山道の周りには敬太とワンべえしかいません。しかし、ワンべえはにおいだけで、近くに何やら恐ろしいものがいるかもしれないと感じています。

 

 すると、山道の繁みから素早い動きで何かが飛び出してきました。その動きは、敬太たちには目で見えないほどの速い動きです。

 

「動きが素早くてほとんど見えないけど、立ち止まったままだとやられるだけだし」

「わわわっ、これでは前へ行きたくても行けそうに無いワン! わわわっ……」

 

 素早い動きから見て、敬太たちに襲いかかっているのは動物であることは間違いありません。しかし、あまりの素早さに姿がほとんど見えません。

 

 これでは、山道を前へ進むことはできません。かといって、立ち止まったままだとそのままやられてしまいます。

 

「こうなったら、本気で戦わないといけないなあ。ワンべえくん、ぼくの肩にしっかりつかまってね」

「敬太くん、何をするつもりなんだワン?」

 

 敬太はワンべえを自分の右肩に乗せると、山道の右側にある大きな木の幹に向かってジャンプしました。すると、素早い動きをする動物たちは、敬太たちがいるところへ向かって再び襲いかかりました。

 

「とりゃああ! えいっ! えいっ! え~いっ!」

「グエッ! グエエッ!」

 

 敬太は大きな木の幹を右足で踏み込むと、敬太に襲いかかった動物たちを次々と蹴り上げました。敬太によって蹴られた動物たちは、山道の上に倒れ込みました。

 

「ぼくたちを襲ったのは、目つきの鋭い野犬どもか!」

「ウ~ッ! ウ~ッ! ウウ~ッ!」

 

 倒れ込んだ動物を見ると、それはどう猛で目つきの鋭い野犬でした。倒れ込んでいる野犬の数は、敬太が見ただけでも5匹います。そして、ワンべえは牙を見せながらうなり声を上げています。

 

「よくも、ぼくたちにいきなり襲いかかりやがって! もう許さないぞ!」

「許さないだと? そんな生意気なことを言うのはだれだ?」

 

 そのとき、少し離れたところから野犬らしき声が聞こえてきました。野犬はすぐに起き上がると、すぐに左右両側で移動して誰かがくるのを待っています。

 

 そこへ現れたのは、野犬の親分です。 野犬の親分は、外見から見ただけで凶暴な顔つきをしています。これを見た他の野犬たちは、親分にひれ伏すように頭を下げました。

 

「まったく、こんなちびっ子にいとも簡単にやられるとは……」

「われわれも姿が見えたらすぐ逃げられるので、奇襲攻撃でいきなり襲いかかったけど」

「黙れ! 貴様らの言い訳なんか聞きたくないわ!」

 

 野犬の親分は、部下の言い訳を聞いただけでにらみつけています。野犬の部下は、親分の恐ろしい顔つきに時折おびえています。

 

「おめえか、われわれの部下を痛めつけたのは」

「ここにいる野犬が部下っていうこと?」

「そういうことだ。そして、わしがこれらの野犬を率いる親分だ!」

 

 野犬の親分は、敬太を鋭い目でにらみつけながら言いました。

 

「よくも、われわれの部下を足で蹴りつけやがって……。 おめえには、わしがたっぷりと仕返しを行うからな! ドリャアアッ!」

「うわわっ、いきなり飛びかかってきた!」

 

 野犬の親分は、いきなり真正面にいる敬太に向かって鋭い牙をむきだしにしながら飛びかかりました。いきなり襲われた敬太は、あわてて地面にうつ伏せにして何とか攻撃をかわしました。

 

「ほれほれ、わしの攻撃はまだまだ終わってないぞ!」

「野犬の攻撃は素早いけど、こんなことで絶対にくじけないぞ!」

 

 野犬の親分は、すぐにうつ伏せになっている敬太の方向に向かって突進してきました。敬太はその突進する音に反応すると、素早く体を半回転して仰向けになりました。

 

「そんな格好で、わしに攻撃することなどできるはずもないのに、ふはははは!」

「えいっ! えいえ~い!」

 

 野犬の親分は、牙をむき出しにしながら敬太の目の前までやってきました。これを見た敬太は、仰向けの状態でそのまま野犬の親分の前首を強く蹴りました。

 

 野犬の親分は、敬太に強く蹴られてそのまま地面に倒れ込みました。声を出したくても、首がかなり痛くてなかなか声を出すことができません。

 

「グエエッ、グエエッ、グググエエッ!」

「どうだ! ぼくは強い相手であっても逃げないで立ち向かっていくよ!」

 

 敬太は、両腕に力こぶを入れながら自分の強さを野犬の親分に見せつけました。しかし、その後方から野犬の部下たちが飛びかかろうとしているのをワンべえが目撃しました。

 

「敬太くん、後ろから野犬の部下たちが飛びかかろうとしているワン! 油断しないでほしいワン!」

「ふはははは! おれらを忘れてもらったら困るぜ!」

 

 ワンべえは、敬太に油断しないように忠告しました。すると、野犬の部下が牙を出しながら大きな口を開けて、獲物である敬太に向かって飛びかかってきました。

 

「久々にうまい獲物にありつけたぜ、ふはははは!」

「野犬どものエサになってたまるか! え~いっ!」

 

 野犬の部下は、鋭い牙で次々と敬太に襲いかかりました。しかし、敬太は素早い動きで野犬の下あごに右手の拳で強く殴りました。

 

 敬太のあまりにも強い拳の前に、野犬の部下はバタバタと地面の上に倒れてしまいました。

 

「グエッ、グエッ、グエグエッ」

「野犬どもめ、どうだ、参ったか!」

「これ以上絞められたらもう息ができなくなる……。参ったから許してくれ……」

 

 敬太は、地面の上に倒れている野犬の首を絞める裸絞めをしています。これには、さずがの野犬も参ったから許してくれと言わざるを得ませんでした。他の野犬の部下も、すごすごと山道の両側の繁みの中へ戻っていきました。

 

 すると、敬太に前首を強く蹴られて倒れ込んでいた野犬の親分が再び4本足で立ち上がりました。

 

「おめえ、よくもわしの前首に足蹴りを食らわしやがって! このまま生きて帰れると思うなよ!」

 

 野犬の親分は、青筋を立てるほどの怒りを敬太の前で見せています。

 

「ぼくは、一日でも早く早くおっとうとおっかあに会いたいんだ!」

「残念ながら、それはかなえられないな。なぜなら、わしが今すぐにこの場でおめえのお命をいただくからさ、ふはははは!」

 

 野犬の親分は鋭い牙をむき出しにすると、敬太の体に噛みつこうと襲ってきました。

 

「うわわっ!」

「ちっ、うまくかわされたか。だけど、おめえがどんなに逃げたってわしの攻撃は手を緩めることはないぞ!」

 

 敬太は、野犬の親分による攻撃を辛うじてかわすことができました。しかし、野犬の親分は敬太に対する攻撃を緩めることはありません。

 

「うりゃああ! わしがこの牙で噛み砕いて地獄へ送ってやるぜ! わしにとって、おめえは久々のごちそうにぴったりだな、ふはははは!」

「ぼくは、どんなことがあっても、決して逃げたりしないぞ! とりゃあっ!」

 

 野犬の親分は、すぐに牙をむき出しにしたままで再び敬太に向かって突進しました。でも、敬太は左足でジャンプすると、そこから急降下させながら右足を野犬の背中に命中させました。

 

「グエエエッ、グエッ、グエッ」

「どうだ、参ったか……。ギュルギュルルル、ゴロゴロゴロッ、ギュルゴロゴロッ」

 

 野犬の親分は、そのまま地面にうつ伏せの状態で倒れました。これを見た敬太は、野犬の親分の背中に座るように乗りかかりました。

 

 しかし、敬太は急にお腹が痛くなってきました。どうやら、昨日の晩ご飯と今日の朝ご飯にヤマノイモをたくさん食べ過ぎてしまったのが原因です。

 

「ガマンができない……。も、もう出そう……」

「ふはははは! あれだけわしを痛めつけたおめえであっても、ガマンができないものがあるとは……」

 

 敬太は必死にガマンしていますが、それも限界に近づいてきました。野犬の親分は、敬太を見ながら不気味な表情で大笑いしていました。

 

「ププウッ! プッ! プウッ! プウウウウウッ! プププウウッ!」

「うっ、おめえは何を食べたんだ……。ものすごくくさいおならを5連発しやがって……」

「ぼくはいつもイモをいっぱい食べるおかげで、こんなに元気なおならがいっぱい出るんだぞ!」

 

 敬太は、野犬の親分の背中に座ったままで元気なおならを5連発しました。あまりにもくさいおならに、野犬の親分はこの場から逃げることにしました。

 

 そのとき、ワンべえはすぐさまに自分の牙を使って野犬の親分のしっぽに噛みつきました。

 

「いててててっ! よくもわしのしっぽを噛みやがって、さっさと放せ!」

「ウ~ッ! ガブリッ! ガブリッ!」

「いてててっ! いてててててっ! くそっ、おめえら覚えてろよ! この恨みは絶対に忘れないからな!」

 

 ワンべえは野犬の親分のしっぽに、自分の牙で3回続けて噛みつきました。野犬の親分は、敬太とワンべえに恨みつらみを言いながら森の奥へ去っていきました。

 

「わ~い! ワンべえくん、ありがとう!」

「ぼくも、敬太くんが野犬たちを追い払ってくれたから本当に助かったワン!」

 

 手強い野犬たちを追い払ったことで、敬太とワンべえは山道を再び通れることができます。

 

 しかし、ここで敬太のお尻が再びムズムズしてきました。敬太はうんちが出るのをガマンしようと両手でお尻を押さえています。

 

「プッ! プププッ! ププッ! プウッ! プウウウウウッ!」

「敬太くん、もしかしてうんちワン?」

「も、もう、ガマンできない……」

 

 敬太は、うんちをガマンする度に元気なおならが何回も出てしまいます。ワンべえは、そんな敬太の様子が少し心配になりました。

 

 すると、敬太はお尻を押さえながらどこか探しているようです。

 

「あった、あった、もううんちがガマンできない……。ギュルギュル、ゴロゴロゴロッ、ゴロゴロゴロロッ」

 

 敬太は、激しい腹痛でかなり苦しい表情を見せています。そのとき、山道の左側にある長い草の繁みを見つけました。

 

 敬太は、お尻を押さえながら急いで繁みの中に入りました。

 

「うんっ、うんっ、うううううう~んんっ!」

 

 敬太は、草の繁みに入ると急いでしゃがみ込みました。そして、お腹とお尻に力を入れながら、いきみ声を上げ続けました。敬太のいきみ声は、今までガマンしていたものを一気に出し切るために踏んばり続けています。

 

「ワンべえくん、こっちへきて! ガマンしていたのがこんなにいっぱい出たよ!」

「敬太くん、繁みの中に入ったのはあのことなのかワン?」

 

 敬太はいつもの明るくて元気な笑顔に戻ると、ワンべえに草の繁みの中へきてほしいと言いました。ワンべえは、自分を呼んだのは何のことかすぐに分かったようです。

 

 「でへへ、今日もぼくはこんなにでっかい元気なうんちがどっさり出ちゃったよ!」

 「でっかいうんちがいっぱい出るから、敬太くんはいつも元気なんだワン!」

 

 敬太は、草の繁みの中にあるのをワンべえにも見せました。繁みの中には、敬太の出たばかりのでっかいうんちがあります。どうやら、ヤマノイモを生のまま丸かじりでたくさん食べ過ぎてしまったのが原因のようです。

 

「敬太くんは、イモを食べるのが本当に大好きなんだワン! でも、イモをいっぱい食べ過ぎてお腹をこわさないようにしてほしいワン」

「でへへ、ぼくはイモを食べるのがとっても大好きなんだもん」

 

 でっかいうんちがたくさん出るのは、元気な子供なら当たり前のことです。敬太は、大好きなイモをいっぱい食べて、でっかいうんちがいっぱい出るようにがんばると明るい笑顔で答えました。

 

「敬太くん、お尻にたっぷりとうんちがついているワン!」

「それじゃあ、フキの葉っぱが近くにあるから、これでお尻をきれいにしよう!」

 

 敬太のお尻は、まだうんちで汚れているところがあります。敬太は、近くにフキが生えているので、すぐにそこへ行ってからその葉っぱを取りました。フキの葉っぱの大きさは、敬太の手の大きさの2倍以上の大きさです。

 

「ワンべえくん、ぼくのお尻はきれいになったかな?」

「敬太くん、お尻がきれいになったワン!」

 

 敬太はうんちをきれいにふきとると、ワンべえを呼んできれいになったお尻を見せました。敬太のお尻を見たワンべえも、汚れていたお尻がきれいになっていることを確認しました。

 

 再び山道へ戻った敬太は、ワンべえといっしょに再び山道を歩き始めました。敬太たちが歩いている山道は気の遠くなるほどの道のりです。しかし、敬太はどんなに険しい山道であってもいつもの明るい笑顔を見せながら歩き続けています。

 

「ワンべえくん、しばらく歩いたら山道から抜け出すことができるよ。そうしたら、目の前に海が見えるところだから、一度でもいいから海で遊んだり泳いだりしたいなあ」

「ぼくは水を見ただけでも本当に恐いワン……。だから、海では泳ぎたくないワン」

 

 長い下り坂に入った敬太たちは、しばらく続く下り坂を駆け下りると山道の出入り口まで行くことができます。山道から抜け出すと、目の前には大きな海が見えます。

 

 でも、川の急流で昨日おぼれたワンべえにとって、水を見ただけでもかなり恐がっています。

 

「ワンべえくん、泳げないのだったら、ぼくが泳ぎ方を教えてあげるよ!」

「敬太くん、分かったワン! ぼくも、敬太くんみたいに水の中で泳げるようにがんばるワン!」

 

 敬太は、ワンべえに泳ぎ方を教えてあげると言いました。これを聞いたワンべえも、自分で泳げるようにがんばると言いました。

 

 そして、敬太の右肩にジャンプすると、ワンべえは敬太の顔をうれしそうにペロペロとなめ始めました。

 

「ペロペロペロペロッ~」

「もうっ、ワンべえくんったら、ぼくの顔をペロペロするのが大好きなんだね」

 

 ワンべえにとって、顔をペロペロするのは友達であるしるしです。敬太も、ワンべえが自分の顔にペロペロされるのがうれしそうです。

 

 敬太たちが山道を通る途中には、3体のお地蔵さんが並んでいました。そのお地蔵さんの顔つきは、自分を産んでくれたお父さんとお母さんを探している敬太を温かく見守っているように見えます。

 

 ワンべえという最高の友達といっしょに、敬太は一日でも早くお父さんとお母さんに会えることを信じて山道を駆け下りて行きました。

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