桜色の君と過ごす日常   作:大天使

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あけましておめでとうございます。

途中の試合模写はカットしております。あと少しで一旦区切りがつくのでどうかお付き合いお願いします。



11話 好敵手

予選トーナメント最終戦、海藤龍吾を要する浦の星学院は最後まで盤石な試合運びを見せた。そして…

 

「試合終了!浦の星学院、決勝リーグ進出!」

 

「よっしゃあああ!!!」

 

去年の成績を上回り、龍吾達は初の決勝リーグへの進出を果たしたのだった。

 

「…ふぅ、やっとここまで来たか…」

 

歓喜の嵐に包まれるチームの輪の中で一人だけ笑っていない人がいた。浦の星学院のエースである海藤龍吾だ。

 

「どうしたんだよ龍吾!お前のおかげでもあるんだからもっと喜べよ!」

 

「いやなんつーか実感なくてさ…全国までもう少しで手が届く場所に俺達はいるんだな…」

 

この後、闘いは激戦が予想される決勝リーグへと進んでいく…

 

──────────────────────

 

「すごい!海藤くんおめでとー!」

 

「まだだよ。本当に大変なのはこれからだ」

 

試合の日の夜、俺は梨子から電話で賞賛の言葉を受けたけど本気で喜ぶのはまだ早い。予選トーナメントから決勝リーグまでは一週間ほど時間に余裕があるが戦いはまだ終わってはいないのだ。

 

「決勝リーグは二勝すればインターハイに出られる。もう少しだな…」

 

「その日はラブライブの予選があるから応援には行けないなぁ…海藤くん達の夢が叶う瞬間を見届けたかったよ」

 

「みんなもこの学校を廃校にしたくないから頑張ってるんだろ?俺のことなんか気にせず全力でやってこい!」

 

浦の星は共学にすることで一時的に廃校にはならずにすんだが、これ以上生徒が減ると再び学校が無くなる危険性もあった。梨子達はそれを阻止するためにもスクールアイドルの活動を頑張っていたのだ。

 

「ええ!私も頑張ります!」

 

「やっぱ梨子はそうでなくっちゃな。お互いに頑張ろーぜ!」

 

そう言い残して電話を切った。俺が考えていたことは今後の試合のことばかりであった。

 

(そういえばあいつは元気だろうか。俺達が負けた試合であいつは勝者だったのに一人だけ泣いていたからな…)

 

龍吾は去年の対戦相手を思い出す。とても手強く戦っていて楽しかった相手。その戦いに最終的に自分は勝てたがチーム自体は敗北したためあまりいい思い出ではなかった。

 

「今度は絶対に勝ってやるぞ。俺だけじゃない。チーム全員でな!」

 

それから一週間。全国をかけた龍吾達の最後の戦いが始まろうとしていた。

 

──────────────────────

 

決勝トーナメント当日、レギュラー陣はいつもより早めに会場入りをして試合の準備を進めていた。

 

「ついに代表が決まるのかぁ…今日の試合はぜってぇ負けねーし」

 

「当たり前だ。確実に勝つからな」

 

色々と試合について話しながら会場へ向かう途中、龍吾は一人の男に声をかけられていた。

 

「よう、久しぶりだな…海藤!」

 

「お前は………竜崎か…」

 

その相手は今日の対戦相手である藤沼国際高校のエースを務める竜崎颯大だった。

 

「フッ…覚えていてくれたみたいだな。嬉しいぜ」

 

「お前ほどのプレイヤーを忘れるわけがないだろう。本当に手強い相手だった…」

 

「俺は今度こそお前を倒す。去年は試合自体は俺達が勝ったが、俺はお前に完全に抑え込まれたからな。今でもあの試合のことは鮮明に覚えているよ」

 

去年の試合で藤沼国際は浦の星に勝ちはしたが、竜崎は龍吾に完全に負けていた。当然彼はそれをよしとせずこの屈辱を忘れることなく練習に励んでいた。

 

「聞いたぜ、今までの活躍。凄すぎて怖いぐらいだぜ」

 

「お前1人の力でここまでやってきたのか?」

 

「それだけどな、今年の俺にはキャプテンの他にも心強い味方がいるんだ。来てくれ!」

 

竜崎が呼び出したのは身長が2メートル近くある外国人の男性だった。龍吾達はその男を一斉に見上げた。

 

「コンニチハ!浦の星の皆サン!」

 

「うおっ!」

 

「で、でけぇ…」

 

「紹介するよ。セネガルからやってきたジョズだ!」

 

ジョズ・フィリップ。それが彼の名前だ。入学してきた時はオフェンスも満足に出来なかったらしいが、血の滲むような努力をし、今では藤沼国際をインサイドから支える心強い選手になったという。

 

「話は竜崎サンから聞いてマス。ボクは貴方達とコートで戦うのがとても楽しみデス!いい勝負をしましょうね!」

 

「よろしく。てか日本語上手くね?」

 

「何事にも努力は大事デース!」

 

「こいつは頭もすごくいいんだ。強いぜ?」

 

龍吾達は彼らが去年よりも確実に強力な相手になっていることを悟った。龍吾はそれと同時にこんなに素晴らしいライバルを自分の前に生み出してくれた神様に感謝する気持ちもあった。

 

「じゃあ俺達は先に行ってるよ。今日はダブルヘッダーで2試合で俺達は戦う。負けんじゃねーぞ」

 

そう言い残し竜崎とジョズは一足先に会場へ向かった。

 

「竜崎だっけ?あいつ、全然驕りとかないんだな」

 

「あいつは人のことを見下したりなんかしないやつだ。たとえ格下が相手でも本気でやってる」

 

「あれ?そこにいるのは浦の星学院の皆さんじゃないですかw今日はよろしくお願いしますわw」

 

「…あいつらとは違ってな」

 

そこいたのは竜崎と同じ藤沼国際の選手だった。強者の風格など微塵も感じない言動が少々不快だが龍吾は気にせず話しだした。

 

「こちらこそ。まったく…竜崎の指導はどうなってんだか…こんな奴らがうちにいたら俺らがキレる前に監督に胸ぐら掴まれてるぞ」

 

「何言ってんの?まぐれでここまで勝ち上がってきたクセにえらそーだなぁ」

 

「…今なんつった!?」

 

「まぐれだと?てめぇら許さねぇぞ!」

 

今にも掴みかかろうとしている二人を孝至と真一が抑える。龍吾も少し苛立ちを覚えながらも表情を変えずに話を続ける。

 

「…どういうことだ?バスケはまぐれなんか起きない競技のはずだが」

 

「いやまぐれでしょ?それか君たちと戦ってきたチームが弱すぎたか」

 

その言葉で龍吾は今までに戦ってきた相手を思い出す。小さくてもディフェンスで貢献する選手。大きくても外から攻めることの出来る選手。敗北後に涙を流しながらもお互いの健闘を称えることの出来る気持ちの良い選手。どれも素晴らしい選手ばかりだった。

 

「俺達が戦ってきたチームは弱いやつなんて1人もいなかった。お前らにはわからないだろうが勝敗には関係ない大切なものがそこにはあったと思う」

 

「…俺達が今まで負けてきた奴らより劣ってるというのか!」

 

「実力は知らん。ただ、試合に臨む姿勢とか精神面では今まで戦ってきた選手の方があった。比べるのも失礼なくらいにな」

 

藤沼国際の選手は頭に血が登った様子を見せていた。俺が少し煽っただけで怒りのボルテージがマックスか。まったく…こいつらは本当に竜崎と同じチームの奴なのか?

 

「…そうかい。だったら叩き潰してわからせるしかないなぁ…覚悟は出来てんだろうなぁ?」

 

「おっと、こんなとこで乱闘なんかするんじゃない。これはお互い試合でぶつけようじゃないか」

 

孝至の一言でやっと落ち着きを取り戻した相手選手は俺達を見下しながら言った。

 

「…いいだろう。二度と立ち上がれなくなるくらい完膚なきまでに潰してやるよ」

 

「もうすぐ無くなるような学校の小物が調子乗ってんじゃねーぞ!」

 

「……………」

 

藤沼国際の選手達はそれぞれ捨て台詞を吐いて会場へ向かった。その言葉で朔也と琉空だけではなく普段は冷静にな真一も怒りの表情を浮かべているのがわかる。

 

「まったく腹立つな!あいつらにはぎゃふんと言わせてやるよ!」

 

「お前ら!あんな奴らを許せって言うのか!俺はもう我慢出来ねぇ!逆に潰してやるよ!」

 

「朔也、お前には冷静になってもらわないと困る。お前の相手はあの手強そうな留学生なんだ。あいつらをどうするかは…わかるよな?龍吾」

 

「…当たり前だ。あいつらは俺達の大事なものを貶しやがった…」

 

龍吾の顔は表情を変えずに冷静を装っているが、目だけは違った。彼の目には孝至達も驚く程に怒りの炎が宿っていた。

 

「おもしれぇ…返り討ちにしてやるよ!」

 

自分を蔑まれることはどうでもいい。だが、大切な人達のことを馬鹿にされることは絶対に許さない。龍吾の覚悟は既に決まっていた。あとはその全てを試合に出し切るだけだった。

 

──────────────────────

 

1つ目の試合は浦の星学院が100点ゲームで圧勝した。全国まであと1勝となった。そして迎えた第2試合、浦の星は最大の山場に来ていた。

 

「来た!藤沼国際だ!」

 

「今まで9年連続で県を制覇してる強豪校!今年は10連覇がかかってるぜ!」

 

「うるせぇなぁ…俺たちゃ悪者かよ」

 

文句を言いながらも淡々とアップを進めていると相手チームのキャプテンが俺に話しかけてきた。

 

「海藤くん、さっきはうちの馬鹿どもが無礼なことをした。本当に済まなかった…」

 

「小松さん…気にしなくていいですよ。あんな煽りに屈してるようじゃどのみち勝てないですからね」

 

そんな彼…小松源一郎(げんいちろう)さんは深々と下げていた頭を上げ、改めて言った。

 

「そう言ってもらえるとありがたい。さて、竜崎はともかく俺は3年で今年が最後だからな。絶対に勝たせてもらうぞ」

 

「臨むところですよ」

 

小松さんとしっかり握手を交わし、俺達はお互いに自軍のベンチへと戻った。

 

「みなさん、気合いは入ってますね?」

 

「もちろんです!」

 

「ファウルには気をつけて全力でやりなさい。あとは海藤くんと朔也くんへの手助けを忘れずにね」

 

ベンチでは監督からの指示が言い渡される。みんな集中しすぎて逆に怖いくらいだった。

 

「みなさん、ここまでよく頑張ってくれました。私は君達を誇りに思います」

 

「監督…」

 

「私はこのチームの監督になれてよかった…私は君達を信頼してます。よろしく頼みますよ」

 

「おお!」

 

再び監督からの激励が送られる。色々厳しいことも言われたけど監督を信じてきて本当によかった…

 

『これより浦の星学院高等学校対藤沼国際高等学校の試合を行います。試合に先立ちまして、両校のスターティングを紹介します』

 

アナウンスとともに会場が試合前独特の雰囲気に包まれていった。

 

『まずは白のユニフォーム、藤沼国際高等学校。4番 小松源一郎』

 

「うぉし!」

 

小松は気合の入った声をあげながらコートへ走っていく。その姿はとても逞しく、チームメイトを鼓舞するのには充分だった。

 

『8番 塩木春名(しおぎはるな) 9番 皮島幽樹(かわしまゆうき)

 

「へーい」

 

「やってやるかw」

 

ヘラヘラしながらコートへ向かう二人は龍吾達を軽く挑発しているようにも見えるが、本人達はそんな彼らの様子を静かに見つめたままだった。

 

『10番 竜崎颯大』

 

「………はい!」

 

藤沼国際のエースである竜崎颯大。今までの試合全てで二桁得点を記録している。竜崎は小松とハイタッチを交わしながら静かに龍吾の方を見つめた。

 

「どうすんだ?成長したあいつにやられるんじゃねぇぞ?」

 

「バカ野郎。そうそう負けねーよ」

 

そんな竜崎の様子を自軍のベンチから見ていた龍吾と孝至は軽口を叩きあいながらも真剣にコートを見つめていた。

 

『15番 ジョズ・フィリップ』

 

「ハイ!」

 

身長2メートル、体重100キロの体格を持ち、圧倒的なパワーを誇るジョズ。ゴール下では負け知らずの彼に朔也はどう対抗していくのか…

 

『続きまして青のユニフォーム、浦の星学院高等学校。4番 小川孝至』

 

「はい!」

 

チームのキャプテンを務め、人望も厚い孝至。今日も相手からのプレッシャーに負けず冷静にゲームを組み立てることか出来るのか。

 

『5番 源朔也』

 

「おし!」

 

ジョズが剛のセンターと呼ばれるのならば朔也は間違いなく柔のセンターと異名付けられるだろう。ゴール下でも器用なプレーを見せる彼は最大の脅威を止めることが出来るか期待がかかる。

 

『6番 桧山真一』

 

「…はい」

 

玄人達の間では誰よりも高い評価を持つ真一。派手さはないが、チームの危機を救う堅実なプレーが持ち味だ。

 

『7番 海藤龍吾』

 

「………よし!」

 

チームのエースで精神的支柱である龍吾。ここまでの試合でも素晴らしい成績を残している彼を止めることは困難になるだろう。

 

『8番 坂本琉空』

 

「行ってきますよ!」

 

入り始めたら止まらないスリーポイントの持ち主は琉空だ。彼がシュートを打つことでチーム全体にいいリズムがもたらされる。彼のディフェンスには一瞬の油断も許されない。

 

『それでは試合を始めます!礼!』

 

「「よろしくお願いします!」」

 

全国をかけた両校の最大の戦いは今、始まろうとしていた。

 




今年もよろしくお願いします!

それではまた。
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