桜色の君と過ごす日常   作:大天使

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お久しぶりです。



14話 出発前夜

「というわけで前から話してたように俺達は明日からインターハイに出発します。この大会が終わったらしばらくは落ち着けると思うから」

 

「うん!頑張ってね!」

 

いよいよ明日が出発だ。初めてのインターハイで緊張するけど自分の納得する結果が残せるように頑張らなければ…

 

「だから…申し訳ないんだけど明日の準備があるので今日はこれで帰りますね…」

 

「海藤さんは大会に集中してくださればいいのです。私達も頑張りますから!」

 

「えへへ、お土産よろしく!」

 

「ありがとうございます。それじゃ…」

 

龍吾は一足先に屋上をあとにした。千歌達はそんな彼を見送ってから練習をスタートさせた。

 

「曜ちゃん、海藤くんは大丈夫かなぁ?」

 

「龍ちゃんなら心配ないでしょ?」

 

梨子はストレッチをしながら曜に話しかける。

 

「千歌ちゃんもそう思うでしょ?」

 

「もちろん!梨子ちゃんが信じてあげなきゃダメだよ?凌くんなら絶対に大丈夫!」

 

「そっか…そうだよね!」

 

「ほら、練習に集中するのですよ。海藤さんのことが気になるのはわかりますが、上の空では怪我するかもしれませんよ」

 

「はーい」

 

ダイヤの指摘によりその後は全員が練習に集中し、滞りなく時間は過ぎていった。

 

──────────────────────

 

あっという間に日が暮れて練習も終わった。千歌達は汗を拭き、帰り支度を始めた。

 

「ふぅ…今日の練習も大変だったねぇ…帰ったら次の文化祭で披露する曲の作詞もしなくちゃいけないし…」

 

「千歌ちゃん、詩の方は早めによろしくね♪」

 

「うぅ~頑張らなきゃなのだ…」

 

「私とルビィちゃんも衣装作りの仕上げに入ってるからなぁ…お互い頑張ろうね」

 

千歌や曜の悩みを聞きながら梨子はバス停までの帰り道を歩く。反対方向のバスに乗る曜と別れ、千歌との雑談を楽しみながら自宅への帰路についた。

 

「梨子ちゃん、また明日ね!」

 

「うん!また明日!」

 

家に帰ってきた梨子は自室に入り、メールの確認をしていた。が龍吾に送ったメッセージの返信はまだ来ていなかった。

 

(伝えたいこともあったしメールでもいいから話したいって思ってたけどやっぱり忙しいのかなぁ…既読もつかないしあんまりしつこく連絡するのもよくないよね…)

 

そんなことを考えながら梨子は携帯を置いた。それからしばらくすると隣の家から女の子の声が聞こえてきた。

 

「梨子ちゃーん!」

 

「この声は…」

 

梨子はベランダに出て声のする方へ目を向けた。

 

「千歌ちゃん?どうしたの?」

 

「いや~作詞が難航してて…気分転換に梨子ちゃんとお話したいなーって。ダメかな?」

 

「大丈夫だよ。私も誰かに話を聞いてもらいたいなーって思ってたから…」

 

二人は軽い雑談を始めた。作詞が全然進まないこと。最近の練習のこと。次のライブでやりたいこと。梨子は千歌の話や相談を静かに聞いて時には意見を出したりして楽しく会話をしていた。

 

「色々ありがとね!助かっちゃったよ!」

 

「どういたしまして。私も千歌ちゃんの力になれてよかったよ!」

 

「はい!今度は梨子ちゃんの番!梨子ちゃんは何の話を聞いてもらいたかったの?私で良かったら相談にものっちゃうよ!」

 

「…じゃあ聞いてもらおっかな?」

 

にっこりと笑う千歌を見て安心した梨子は自分の思っていたことを全て話した。

 

「なるほど。全然話せなかったし龍ちゃんは明日出発しちゃうから今日のうちに伝えたいことがあったけど凌ちゃんと連絡が取れなくてどうしようか悩んでるってことかー」

 

千歌は難しい顔をしながら考え始めた。

 

「伝えたいことがあるってことは事実だし、しばらく会えなくなっちゃうから…出発する前にもう少しお話したかったなって」

 

「だったら今すぐに行かないと!私は今行かないと後で後悔すると思うよ!」

 

「だけど忙しい時にいきなり訪ねたら迷惑だと思うの。それにお話は電話でも出来るし………やっぱり後でにするわね。千歌ちゃん、話聞いてくれてありがとう」

 

梨子は千歌に背を向け自室へ戻ろうとした。そんな梨子に千歌は優しく言った。

 

「行ってもいいんじゃない?龍ちゃんが梨子ちゃんのことを迷惑だなんて思うわけないよ!」

 

「…本当に?」

 

「前にもこういうことなかった?その時だって二人は上手くいったんだから今回も大丈夫!自信もって行ってきてよ!」

 

「千歌ちゃん…ありがとう!」

 

千歌に礼を言って部屋を飛び出した梨子は母親に少し外出してくると伝えると自転車に跨り龍吾の家までの道のりへ漕ぎ出した。

 

(私も…もうちょっと自分に正直になってもいいんだよね?彼なら絶対に受け入れてくれる!)

 

十数分後、梨子は龍吾の家へと到着し、インターフォンを鳴らした。

 

「はいはーい…って梨子?こんな時間に来るのは珍しいけど何かあったのか?」

 

「ごめんね、夜遅くに。ちょっと海藤くんとお話したくて…いいかな?」

 

「もちろんいいよ。家上がってくか?」

 

「ううん。あそこで話さない?私達が初めて出会った場所」

 

「そっか…わかった!」

 

龍吾は上着を羽織い、梨子と共に砂浜へ移動して行った。

 

──────────────────────

 

「何回も来てるけどやっぱりここは綺麗だな…」

 

「そうだね…」

 

二人はいつもの浜辺に来ていた。今まで何度も何度も足を運んだ二人の思い出の場所だ。

 

「それにしても驚いたよ!梨子が急に家に来るなんてさ。今までこんなことなかったよね?」

 

「ごめんね?びっくりしたよね?」

 

「そりゃね。だけど少しも迷惑だなんて思ってないから大丈夫!」

 

龍吾はいつもと変わらない穏やかな微笑みを浮かべながら言った。

 

「それで話って何かな?」

 

「話っていうか…お礼を言いたくて…」

 

「お礼?」

 

龍吾は目を丸くしながら次の言葉を待った。

 

「うん。私はいつも海藤くんに助けられているの。本当に感謝してるし貴方がいないとダメなんだなってのは日々実感してます…」

 

「そ、そうか?俺が君に助けて貰って感謝することは多々あるし、いつも君の力になろうと頑張ってはいるけど正直思い当たりがないかな…?」

 

そう言いながら頭を搔く龍吾の頬は少し赤みを帯びていた。

 

「ふふ、貴方はそうやって無意識のうちに私のことを助けてくれるのよね。でもそれは他の人に対しても同じだから…少し妬けちゃうかな?」

 

「ごめん…でも俺にとって一番大事な人は君だから。これからもずっとね…」

 

あまり長い時間ではないがそれでも二人で寄り添い、支えあっているうちにいつの間にかお互いになくてはならない存在になっていた。

 

「明日だよね。出発するの」

 

「そうだな…まぁすぐに会えるさ。梨子達もそろそろ地方予選だろ?見に行くことは出来ないけど遠くから応援してるからさ。それじゃ明日早いしもう戻るね」

 

「明日はみんなでお見送りしに行くからね!」

 

「む、無理すんなよ!みんなも予選近いんだし…」

 

「だって海藤くんもAqoursの一員なんだよ?それに海藤くんが来なくていいって言ってもみんなは来ると思うな…」

 

「そっか…なら嬉しいかな…?」

 

龍吾は優しい笑顔を見せながら言った。

 

「俺はインターハイ、梨子はラブライブ予選。お互いにベストを尽くせるように頑張ろうな!」

 

「………うん!」

 

二人の手と手は自然に繋がれる。お互い良い結果を残すことが出来るように精一杯頑張る。二人はそう星空に誓いをたてるのであった。

 




それではまた。
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