「たぁぁぁぁぁ!」
「千歌!」
「千歌ちゃん!」
「あ…うわぁっ!………いたた…」
「おい、大丈夫か!?」
「うーん…何とかね」
Aqoursは次の大会に向けて今まで以上に真剣に練習を重ねていた。そう、次の予選を突破すればラブライブ本戦への出場が決まるからだ。
「怪我がないならよかったよ。けど無理すんなよ?」
「えへへ、わかってるって」
千歌は砂浜を使ってロンダートとバック転の練習をしている。この演技は二年前に果南姉さん達がやろうとしていたらしいが鞠莉さんの怪我により一度はお蔵入になった。
しかしこれはラブライブ本戦への出場がかかった大会。大きなインパクトを残せればそれだけ突破に近づいていく。そんな中で果南姉さん達と話し合って再びこの演技に挑戦することになったのだ。
「果南ちゃん、どうかな?」
「少しずつだけど良くはなってきてる。けど演技に組み込むにはまだ足りないなぁ」
「そうだよねぇ…龍ちゃん、お手本とか出来る?」
「…流石に無理だな」
「まだ時間はあるから無理はしない程度に頑張っていこ!それじゃ私達は別のパートを練習しなきゃいけないからあとは龍吾に任せたよ」
「おっけー」
そう言い残して果南姉さんは行ってしまった。ロンダートの練習もしなきゃいけないけど他にもやることがあるから千歌が無理しないように見とかないとな。
「よし、私も頑張らなきゃ…」
「あ、まて千歌!そこは危ないぞ!」
「う、うわぁぁぁっっ!」
「…ッ!千歌!」
そう思っていたのも束の間、千歌が演技に失敗し倒れようとしている場所に固い石で出来たら段差があった。このまま倒れれば大怪我をしてもおかしくはない。
「千歌!危ない!」
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「うん、ただの捻挫だし骨にも異常はない。だけど完治するのに時間かかるから当分は激しいスポーツ禁止。もちろんバスケもやっちゃダメだからね」
「そうですか…」
あの後、何とか千歌を支えることは出来たけど…結構派手にやっちゃったなぁ。まぁ骨折とかじゃなくて本当によかったよ。
「龍くん!手は大丈夫なの?」
「ただの捻挫だから問題ないよ。完治まではちょっとかかるみたいだけど」
「そっか、じゃあ当分はバスケできないね」
「そうだな。けどこればっかりはしょうがないよ」
怪我してしまったのは仕方がない。少しでも早く治せるようにしようと考えていると千歌が俺の前に出てきて言った。
「龍ちゃん、私のせいで…ごめんね…」
「千歌…俺は大丈夫だから気にしないでくれ。俺は千歌に怪我がなくて本当に安心したんだから」
今回の件は千歌も誰も悪くなんかない。怪我は起こるものだし大会を間近に控えている千歌に何事も無かっただけでよかったのだから。
「つーわけだ。本当に大丈夫だからさ、なんなら今からAqoursの練習行っても問題ないくらいだ」
「本当に?無理してないよね?」
「大丈夫だって。後で合流するから先に学校行っててくれよ」
「わかった!待ってるからね!」
そう言い残して千歌達は行ってしまった。俺はそれを見送ってからポケットに入れていた一つの封筒を取り出す。そこには国体の県代表候補に選ばれた。合同で練習を行うので参加して欲しいという趣旨の内容が書かれていた。
「今の俺がどこまで通用するのか試してみたかったけどこうなっちまったもんはしょうがないな。これがラストチャンスって訳でもないんだし今回は辞退してしっかり怪我治さないとな!」
そして一度取り出した封筒を再びしまい、俺は千歌達に続いて学校へ向かった。
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「さて、ちゃんと考えないとね。これからどうするか」
一足先に部室に戻った私達はこれからの練習についてどうするかを話し合っていた。
「果南ちゃん、何か足りない場所でもあるの?」
「基本的な部分は問題ないよ。あとは細かいところを修正していけば本番でも大丈夫なはず。真剣に考えなくちゃいけないのは…」
果南ちゃんはそこまで言うと私の方を向いてこう続けた。
「千歌、例の部分はどうするの?考えを聞かせてほしい」
「え…私は…」
「もちろん無理はしなくていいよ。元々私達がやるはずだった演技だしキツいと思ったらいつでも言って。代案を考えるから」
「ありがと果南ちゃん。でも私は…!」
「お、やってるね。遅れてすまない」
そこまで言った所で龍ちゃんが部室にやってきた。遅れるって言ってたけど何してたのかな?
「海藤くん、どこ行ってたの?千歌ちゃんと曜ちゃんが少し遅れるから先に始めててって言ってたけど…」
「ああ、ちょっと監督のところまでね。怪我のことと他に話さなきゃいけないことがあったから。果南姉さん達は何について話してたの?」
「これからの練習についてだよ。例の部分もどうするのか千歌の意見を聞こうとしてた」
「なるほど…どうすんだ?千歌」
私の考えはとっくに決まってた。
「私…まだやってみてもいいかな?」
「もちろん。千歌が見えない場所でも頑張ってたことは俺も果南姉さんもみんなも知ってるし何より俺達に止められようが続けるつもりだろ?」
…なーんだ。龍ちゃんには私がやろうとしてたこと、全部バレちゃってたみたい。流石幼馴染みってとこだよね。
「やるんだね?千歌」
「うん!私、絶対に成功させてみせるよ!」
「じゃ、これからもっとビシバシ鍛えていくから覚悟しててね?」
うえぇ…頑張らないと
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あれから数週間がたった。国体の件は俺がいなくてもはスムーズに進み、三回戦まで勝ち進むことが出来た。Aqoursの方はと言うと…
「龍ちゃん!私…出来たよ!成功したんだよ!」
「ああ…見てたさ千歌、ホントにすげぇよ!」
あの話し合いの後から更に猛特訓を続けた千歌はロンバクをギリギリではあったが完成させ、本番でも無事に成功。そしてラブライブ本戦への出場件も勝ち取ることが出来た。
「私…頑張ってよかった…よかったよぉ…」
「ちょ、泣くなって!」
「龍ちゃん…ありがとう!」
「…よく頑張ったな。なんだか俺も誇らしい気分になったよ」
そう言いながら俺は千歌の頭を撫でる。
「龍吾の言う通り、千歌はよく頑張ってくれたよ」
「姉さん…」
「私も千歌に言いたいことがあってね」
いつの間にか俺達の後ろに立っていた果南姉さんは千歌にゆっくりと近づいて抱きしめながら言った。
「千歌………ありがとう」
かなり時間が空いてしまったこと、本当に申し訳ないです。
それではまた