4月になり、新生活が始まりましたが、私は新しい環境に馴染める気がしません。これからどうしていけば良いのでしょうか…
それではどうぞ!
「眠い…」
結局昨日は一睡も出来なかった。一晩中彼女のことを考えてしまっていたからだ。今日の練習に支障が出なければ良いんだけど…
「あ…海藤くん…」
「お、おう…おはよう…」
気まずい…昨日あんなことを言ってしまった自分が悪いのだが、正直ここまで空気が重くなっているとは思わなかった。
「その…梨子、昨日は悪かった…」
「え?なんで海藤くんが謝るの?海藤くんは何も悪いことしてないでしょ?」
「あれだよ、その…梨子が俺の嫁になってくれたら嬉しいとか何とか…」
俺が梨子にこんなことを言っていたと思うと恥ずかしくなってしまう。昨日の俺はなんであんなことを堂々と言えたんだろうな。
「あのこと?私は全然気にしてないよ。寧ろ…海藤くんが私のことをそんなふうに思っていてくれることがわかって嬉しかったし///」
「ん?最後の方なんて言ったんだ?」
「い…いや!何でもないよ!」
とにかく、彼女に謝ることが出来て本当に良かった。もし、このままずっと話すことが出来なくなっていたら…いや、考えるのはやめよう。
「今日と明日の練習も頑張ろうぜ。明日は練習が終わったら家に泊まりに来るんだろ?」
「あ///そうだね…」
明日は日曜日、梨子が俺の家に泊まりに来る日だ。明日もAqoursの練習自体はあるのだが、午前中の二時間だけで終わりなのだ。そのため、梨子は午後から家に来ることになっている。
「明日の練習は早めに終わるんだよね?本当にそれでいいのかな?」
「俺はスポーツやってるからわかるけどな。練習もやりすぎては毒になるんだよ。明日の練習は軽めにして、その後はしっかり休む。体を壊さないためにはこういう日も必要なんだよ」
「なるほど…」
強豪校は休む暇もなく練習をしていると勘違いしている人は結構いるが、それは逆だ。寧ろ強いチームほどしっかりと休んでいる。体に疲れを残していては最高のパフォーマンスなんて出来ない。それはスクールアイドルも同じだ。
「自分のことだけじゃなくてみんなのことも考えて練習メニューを作っていかないとね」
「そうだな。これからも頑張ないとな!」
「うん!」
この日の練習もとても有意義なものになった。そして次の日はあっという間にやって来た。
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「お疲れ様!また明日ね!」
日曜日、二時間の練習はあっという間に終わってしまった。俺は色々と準備をしなければならない。早く帰ろうとしたその時、俺は急に千歌に呼び止められた。
「ねぇねぇ龍ちゃん」
「どうした?千歌?」
「今日、梨子ちゃんは龍ちゃんの家にお泊まりなんだよねぇ~?」
「なっ!なんでそれを!?」
千歌の口からは予想もしなかったことが飛び出してきた。なんでこいつがお泊まりのことをしってやがる?そのことは誰にも言ってない筈なのに…
「聞いちゃった♪」
「なんてこった…」
俺は思わず頭を抱えた。こいつが絡むとろくなことが起こらない気がする。今回は直接の関わりがないから何事もないと信じたいが。
「大丈夫だよ!龍ちゃんが梨子ちゃんを大切にしていることは知ってるから!」
「そりゃどうも…」
「あ!あとで話聞かせてね!」
「嫌だ!」
「えー!龍ちゃんのケチ!」
なんとでも言え。毎回のように梨子としたことを聞き出される俺達の身にもなってくれ。二人だけの秘密にしたいことだって色々あるんだよな…
「俺はそろそろ帰るわ。待たな!」
「はーい!お幸せにー!」
千歌に別れを告げ、少しでも部屋を綺麗にしておこうと思った俺はダッシュで家に戻った。
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「よし!こんなもんでいいかな!」
梨子が俺の家に来る時間になった。家の片付けは数日前から進めていたので、今日は軽く掃除をするだけで済んだ。
部屋の準備が全て終わった瞬間に家のインターフォンが鳴った。どうやら梨子が来たようだ。
「お、来たか!」
「お待たせしましたぁ…」
大きい荷物は練習前に家に運んでおいていたので後の準備は楽だった。
「お…お邪魔します…」
「あんまり固くならなくていいって、自分の家みたいに寛いでくれよ」
「うん…」
梨子は少し緊張しているようにも見える。彼女が俺の家に入るのは初めてなので、それも仕方の無いことだと思う。逆の立場だったら俺もそうなる。
「ここが俺の部屋だ。梨子はゆっくりしてていいよ。俺は飲み物持ってくるから」
「うん。ありがとう」
俺は飲み物や簡単なお菓子を用意するために梨子を部屋に残してキッチンへ向かった。千歌とか曜は勝手に部屋の引き出しとか開けそうだけど梨子はそんなことをしない人だから心配はいらないな。見られて困る物なんて特にないよな…
「持ってくのはオレンジジュースでいいかな?あと今日の夕飯は…」
家にあげてしまったんだ。そのことを気にしても仕方ないだろう。今は梨子と二人っきりで過ごせる時間を楽しまないとな。
それから俺と梨子は色々な話をしたり、映画を見たりして楽しく過ごした。だけど、そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていってしまった。
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私と海藤くんの二人で仲良くお話している時間はとても楽しくて気がついたら夜になっていました。
「もうこんな時間か。んじゃ、俺は夕飯作ってくるよ。梨子はここで自由に過ごしていてくれ」
「わかった」
20分くらいたった頃でしょうか。私は申し訳ないとは思いながらも彼の部屋の中を見てまわりました。男の子のものとは思えないほど整頓されているお部屋で、過去の大会で手にしてきたであろう賞状やメダル等が飾られていたり、彼の好きなアニメや漫画のフィギュアがあったりしました。
「あれ?これは…」
私は海藤くんの部屋で一つの写真を見つけました。写っているのは五人。どうやら家族写真のようです。その写真には海藤くんとご両親、そしてお兄さんが写っていました。
私は写真を見て、一つ気になることがありました。海藤くんの家族は四人。それは前に海藤くん本人から聞いたことです。
じゃあ海藤くんの隣で笑っているこの男の子は誰なんだろう。弟さんのようにも見えるけど彼に弟はいないはずです。
「………梨子?」
「きゃあ!…って海藤くん?」
「夕飯できたから呼びに来たんだ。ところで…梨子は一体何をやってるんだ?」
そうだ…私は彼の部屋の中を勝手に見ちゃったんだった。怒られるかもしれないな…
「その…勝手に見てごめんなさい…」
「いや、気にしなくていいよ。こんなに目立つ場所に置いている俺が悪いんだからさ」
海藤くんは私の手から写真を取って、そっと元の場所に戻しました。
その時、私は気づいてしまいました。家族の写真を見た海藤くんが悲しい目をしていたことに。
「……………………
「海藤くん?何か言った?」
「いや、何でもねぇ…飯にしようぜ!」
「う…うん!」
その後は二人で仲良く夕食を食べました。海藤くんの手料理はとっても美味しくて、ほっぺたが落ちそうになっちゃいました!
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「ご馳走様でした!」
「お粗末様。口にあったみたいでよかったよ」
「うん!とっても美味しかったよ!」
俺の料理が梨子の口に合うのか不安だったけど、梨子はとても美味しそうに料理を食べてくれた。頑張って作ったかいがあったな。
「もう風呂沸いてるから先に入ってきていいよ。片付けは俺がやっておくから」
「私も手伝った方がいいかな?」
「いや、すぐに終わるからいいよ。それに梨子はお客様なんだから手伝わせるわけにはいかないよ」
「ありがと…」
「どういたしまして!」
「そろそろ寝る準備とかしないとな。客間に布団敷いてくるから待っててな」
時刻は11時を過ぎ、外の雑音もほとんど聞こえなくなった。都会ならこの時間でももっと煩いのだろう。だが、この近くでは夜遅くに人はいないし、自動車などもあまり通らない。この時間帯に聞こえるのは静かな波の音くらいだ。
「ねぇ…海藤くん…」
「梨子?」
布団を敷いてくるために立とうとした俺の腕を梨子の手が優しく掴んでいた。
「その…私達は恋人同士だよね///」
「そ、そうだな…」
「だ、だから……その……恥ずかしいけど…一緒に寝ませんか?///」
梨子は耳まで赤くして俺に言った。
「お…おう///俺は構わないぞ…」
「…ありがとう///」
今の俺の顔は彼女の顔に負けないぐらい真っ赤になっているのだろう。
健全な高校生カップルが同じ部屋で一夜を過ごす。この後の展開は安易に想像できるだろう。
「ねぇ…もっとこっちに来て。夜は寒いでしょ?もっと近づいた方が………暖かいよ///」
俺は自分の頬が今まで以上に熱くなっていくのを感じていた。頬の熱はゆっくりと顔全体に広がっていった。
「お、おう…」
「まだ足りない…海藤くん、私のことを思いっきり抱きしめて…お願い…」
俺は優しく梨子を抱きしめる。すると普段は恥ずかしがり屋で奥手な彼女が更に俺のことを誘ってきた。このまま我慢なんて出来るはずがない。
「抱きしめるだけじゃ終わらないような気がするけど…いいか?」
「ううん。抱きしめてもらうだけじゃイヤ。もっと近くで海藤くんのことを感じたいよ///」
梨子は今まで以上に顔を赤くし、静かに言った。
「海藤くんが…欲しいです///」
「梨子…俺も梨子が欲しい…」
ゆっくりと二人の顔が近づいていく。後戻りなど出来るはずがなかった。
「海藤くん…」
「梨子…」
その後の出来事を語ることは出来ないが、俺達はとても幸せな時間を過ごしたのだった。
R-15ではここまでが限界でしょう。このあとの展開は皆様の想像にお任せします。
それではまた。