桜色の君と過ごす日常   作:大天使

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お久しぶりです。作者ですら忘れかけていた設定を使う時が来ました。急展開になりますので予めご了承ください。



5話 全国への挑戦

ここは浦の星学院の体育館。朝早くからバスケットボール部の部員達が練習で汗を流していた。

 

「はぁはぁ…」

 

「よし!もう1セット行くぞ!」

 

「おう!」

 

今はスリーメンの練習中だ。3人が走りながらパスを回して最後にシュートを決めるという練習だが、ここの学校では最後のシュートを外したらもう1回やり直しという厳しいルールになっている。

 

ガコン

 

「…くそっ」

 

「ドンマイ!切り替えていこう!」

 

現に俺達の前にやっていた1年生は疲れからかシュートを外してしまいもう1周することになってしまっていた。

 

スパッ

 

「よし!ナイッシュ!」

 

ようやく最後のグループが終わり、休憩時間となった。

 

「ぬわああん!疲れたぁ!」

 

「やめたくなりますよぉ~部活ぅ…」

 

この春入ったばかりの1年生は既に疲れきってしまっていた。あれだけのハードな練習をこなせばこうなるのは仕方の無いことだろう。

 

「お前ら、疲れてるのは俺達もわかっているが、手は抜くんじゃないぞ!」

 

「辛くなったら遠慮なく言っていいんだからな」

 

「うぃっす…」

 

スリーメンの後もファイブメンやスクリメージという過酷なメニューが続く。今日は特にシュートの練習を重点的に行っていた。

 

「はい、皆さん集合です」

 

「うす!」

 

練習を終え、ストレッチを済ませた後に石崎監督の指示で俺達は集合することになった。彼は日本代表候補にもなったという経歴を持つ人で、去年は俺達1年生が主体という状態で浦の星学院をインターハイ予選ベスト8、ウィンターカップ予選は準優勝に導いた。

 

「あと2週間でインターハイ予選が始まります。私達は去年結果を残したということで他の学校からも研究されることでしょう。更に浦の星学院(うち)は去年とスタメンが変わっていない。相手を上回るには更なる成長が私達には必要なのです」

 

強豪校は常に研究される。そのことを想定し、更に完成度を上回ねばならない。それが追われる立場の定めだ。

 

「そのことを常に頭の中に入れてください。そしてレギュラーの人達には高い次元のプレーを要求します。妥協は一切許しませんので覚悟していてください」

 

監督の口調は穏やかなものだったが、目はしっかりと先を見据えていた。

 

「それでは今日の練習はここまでです。午後はしっかりと休んでまた明日頑張りましょう!」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

──────────────────────

 

「はぁ…マジ疲れた…」

 

「お疲れ。午後はゆっくり休めよ」

 

部室に戻り、シャワーを浴びた俺達は今日の練習についての反省をしていた。どんなに小さなことでもお互いに指摘しあうことが練習の質を底上げすることに繋がるのだ。

 

「やはりスリーメンでのシュートの確率が良くないな。ランニングシュートだけはしっかりと決めないと試合でも落とすことになるな」

 

「あとはフリースローの精度。あんなにポロポロ落としてたら接戦も勝ちきれなくなる。フリースローは大事だからな」

 

次々と課題が浮き彫りになる。課題があるということは俺達にはまだまだ伸び代があるということ。少しずつ改善していけばいい。

 

「結構時間も経っちまったし流石に帰らねぇか?腹も減ったし」

 

「ああ、そろそろ解散にするか。監督も早く帰って休めって言ってたからな」

 

「そうだな、みんなお疲れ!」

 

「お疲れ様です!」

 

ミーティングを終えて今日の部活は完全に終了となる。部員が次々と帰っていく中、俺だけは学校に残っていた。理由は当然Aqoursの練習のサポートをするためだ。

 

「こんにちはー!」

 

「あ!龍ちゃんだ!」

 

「よう、千歌」

 

俺はこう見えてバスケ部とスクールアイドル部を兼任している。基本的にはバスケ部の活動を優先させてもらっているが、全く顔を出さないのも悪いと思っているのでたまに練習を見に行くことにしていた。

 

「身体は大丈夫ですの?練習も大変そうですし疲れているのなら無理に来なくてもいいんですよ」

 

「ダイヤさん、大丈夫ですよ。そんなにヤワな鍛え方はしてませんから」

 

「じゃあ龍ちゃんにはお手伝い頼んでいい?」

 

「もちろんだ!」

 

俺が来てからもAqoursのみんなは今まで通りの練習を行う。俺はメンバーのサポートを行いながらバスケの新しいフォーメーションや作戦、攻撃や防御の仕方を考えたりしていた。

 

そして長い時間が経ち、Aqoursの練習も終了する。

 

「今日も1日お疲れさん」

 

「ありがとー!」

 

練習後の片付けもすぐに終わらせて後は帰るだけになった。俺もとっとと帰って寝よ…

 

「ねぇねぇ、龍ちゃん!」

 

「なんだ?」

 

「ちょっとこっちに来てよ!」

 

「え?別にいいけど…」

 

千歌に呼ばれた場所まで行くとそこにはメンバー全員がいて、俺は彼女らに一つの紙袋を渡された。

 

「龍ちゃん!これ私達からのプレゼント!」

 

「お、おう…ありがとう…」

 

「早く開けてみて!」

 

千歌から渡された紙袋を開けてみると中からは浦の星学院の校章が描かれたお守りが出てきた。

 

「これは…千歌達が作ったのか?」

 

「うん!といっても千歌はあまり器用じゃないからいいものを作ることは出来なかったんだけどね…えへへ」

 

「部員の皆様にも渡しておいてくださいね」

 

Aqoursのメンバーから貰ったお守りは一つ一つ手作りで出来ていた。おそらく大変な練習の合間を縫って作ってくれたのだろう。やばい…感動して目頭が熱くなってきたよ…

 

「みんな…本当にありがとう!」

 

「あれれー?龍くん泣いちゃいそうじゃーん。別に泣いても良いんだよ~」

 

「う…うるせぇ!バカ曜!」

 

バスケットの練習に打ち込むのもいいが、こうやって千歌達と共に過ごす日常も悪くないなと心のどこかでそう思っている自分がいた。

 

──────────────────────

 

Aqoursの練習も終わり、俺と梨子は二人でお互いの家へと帰る途中だった。

 

「あと2週間でインターハイの予選が始まる。去年は残念な結果に終わっちまったけど今年こそは県のライバルを全部倒してインターハイに出てやる!」

 

「私達もそろそろラブライブの地区予選が始まるの。Aqoursのみんなと絶対に優勝したい!」

 

梨子は珍しく熱くなっていた。彼女もそれだけスクールアイドルに打ち込んでいるということだろう。

 

「だからさ、梨子。先にお前に謝らなくちゃならないことがある」

 

「えっ?何?」

 

「しばらくの間はバスケに集中したいから2人で出かけたり会ったりすることは当分の間出来ないと思う。本当にすまないな…」

 

「そっか…ううん、私のことは気にしなくていいよ。これからの練習も頑張ってね」

 

「ありがとう…いつも感謝しているよ」

 

「それに私達も忙しくなるからね」

 

それからしばらくの間2人でお互いのことを見つめあっていると梨子がそういえばと会話を切り出してきた。

 

「さっきさ、みんなからお守り貰ったでしょ?」

 

「ああ、梨子もありがとな」

 

「うん。あのお守りはみんなからの贈り物。私からの贈り物は…」

 

瞬間、俺の唇に柔らかい感触が伝わる。それが梨子の唇だと気づくのに時間はかからなかった。

 

「お、おい…梨子…///」

 

「えへへ///練習頑張ってね!」

 

そう言う梨子の顔は真っ赤だった。たぶん俺の顔も梨子と同じ…いやそれ以上に赤くなっているだろう。

 

「そ、それじゃまた学校でな…」

 

「………うん」

 

梨子と少し距離を置くことを切り出したのは自分だ。ここまでしたからには絶対に成長を遂げてやる。彼女に寂しい思いをさせてしまうのに自分が何一つ成長出来ないのは絶対に許せない。彼の瞳はインターハイ予選のその先も既に見据えていた。

 

自分達が目標としている大舞台(全国)へと向けて…

 




オリジナルの登場人物紹介も更新しました。よろしければご覧ください。

それではまた。
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