序章:温もりを忘れた青年が提督になるまで   作:影乃と月ノ神

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どーこまーでーもー♪
はい、何でもありません。次回に繋げられる可能性を模索したところ不可能だという結論に至りここで無様に繋げてみました。それでは25話です、どうぞ


25:非日常は続くよ

 

 

 

 青葉と古鷹が失踪し、それを紫が見つけ出して早二週間。次々と起こったかつてない事態に、軍の上層部までもが振り回され蜂の巣を突いたような状態が続き、それがようやく収束を見せたこの頃。時期として言うならば、もう八月だ。緑は盛んに生い茂り、セミの声が窓を突き抜けて教室中に響き渡る。

 

 絶対安全と言われていた遠征実習授業中に発生した不可解な二人の艦娘の失踪、そして予測と大きく外れた危険地帯内での発見、おまけに深海棲艦の幼体らしき奇妙な人型生物を身元不明の謎の男が育成していた、なんて突飛な事が立て続けに起こったせいで、軍上層部の動揺は第一海軍学校の生徒達の耳に届くほどであった。だが、紫が行方不明になった艦娘達を救出して以来特にこれといったことも起きなかったため、今となっては平穏を取り戻していた……まあ、紫はあれ以来英雄としての地位を確立してしまい、未だなお平穏とは言えぬ状況が続いていたのだが、まあ耐えられぬ程ではなかった。食堂に行くと必ず両隣の席が争奪戦の賞品にされて落ち着いた食事が摂れなかったり、魑魅魍魎を倒した(青葉談)剣技を見せてくれとせがまれたり、成績の高さを買われ非公式に勉強会で講師をやらされたりと、心休まる時間がなかなか無いのが困りものだが、敢えて二度言おう、耐えられぬものではない。

 

 暑さもだいぶ容易ならぬものとなってくるこの時期になると、『旧時代』ならもう夏休みだと言う愚痴を色々な所で聞くが、今はそんな甘えたことを言っていられる時代ではない。壊滅した文明を復興し、深海棲艦との終わりなき戦いに終止符を打って再び人類の栄華を取り戻さねばならないのだ。

 

 かと言って、空調設備なんて気の利いたもののない教室での授業は過酷を極める。教える側も教わる側も大変だ。晴天時など正午を過ぎれば皆暑さに負けて授業どころではなくなる。そこで、八月いっぱいは午前中のみ授業が行われている。それでも朝から暑い日などは融通を利かせて休みになったりした。如何にお国のため力を尽くそうと息巻いている若者が集まる我が校とて、自然の猛威には逆らえないのだ。

 

「なあ紫、ここ手伝ってくれない?明日まで提出の課題なんだけど難しくて間に合いそうになくてさ。」

「仕方ありませんね、他にこの課題終わってない人は?」

「私もお願い!」

「あ、あの!それが終わったら次ドイツ語見てもらえますか?」

「あ、ドイツ語講座なら僕もお願いしていいっすか?この間寝ちゃってノートが…」

「元委員長が情けないですね、まして居眠りとは。」

「寝たくて寝たわけじゃないっすよ?それに僕にだって事情があるっす〜」

「事情と両立してこそ、君も士官学校希望でしょうに。」

「うぅ、その一言は手厳しいっす〜。」

「まあいいですけどね。場所の確保は任せてもいいですね?」

「了解っす。それじゃあ紫先生の授業を受けたい人は

 ここに名前書くっすよ〜。」

 

 そんなこんなで、最近はやることが多い。おかげでなかなか新聞部にも顔を出せていないし、部屋の掃除も少しサボり気味だ。新聞部に関してはこちらから口を出さずとも上手くやっているようなので別に問題は無いが、身の回りの事が出来ないのは困る。ただでさえ遅れているというのに、勉強に支障をきたすわけにはいかない以上掃除などに手間をかけている余裕は無いし、かと言って掃除をせねばならないという強迫観念に付きまとわれるのも億劫だ。けれど、かと言って頼ってくる生徒達を放置するのも考えものだ。私情を挟まなければ優先すべき用事も無い以上、断るのは印象が悪い。それに教師達の立場からすると、生徒達の切磋琢磨する姿というのはある種理想の生徒像であり、また各々が任された生徒達の成績が良いというのは教師の質が良いとも捉えられる。よってどのような形であれ、それが生徒達の学力向上に繋がるのであれば奨励される。要は、成績が良いならそれ相応に周囲が追いつけるように手伝ってやれと言うことだ。毎日暑くてたまらない午後に勉強会を請け負うは、教師達への従順たる姿勢を示す意味もあった。

 

 夕刻になって勉強会が終わると、長時間使い続けた喉が痛みを訴えていた。ここ最近はあまり睡眠も取れていなかったし、もしかすると風邪の兆候かもしれない。何人かから夕食の誘いをされていたが、それを丁重に断ってこの日は早めに寝ることにする。が、そんな時に限って青葉が突然訪ねてきたりするので、本当に気が休まらない。周囲から自己を隔絶しようと誓ったはずなのに、どんどん自分の意図と現実が離れていく。もういっそのこと、それが業なのだと諦めようかとも考えてはいるが、これまで起こってきた惨劇を思い起こすと、ここで無責任にも投げ出すことは憚られた。

 

「紫さん、どうやらお疲れみたいですね。」

「青葉さんの顔を見たら疲れました。」

「何それ酷くないですか!?そこは普通『青葉さんの顔を見れたから、もう大丈夫です』って言うところですよね!?」

「勘違いさんの叫びを聞いたら今度は頭が痛くなってきました、速やかなる退出を要求します。」

「ああちょっと待ってください!生徒会に上げてもらいたいお話があるんですよ!紫さんご飯まだでしたよね、お弁当あるのでそれ食べながらもう少しお話しさせてください!」

「いや、夕飯は明日の朝食べることにしたので大丈夫です。」

「それ夕飯じゃないですよね。と言うか、青葉が作ったなら要らないって言われた気がしたんですけど…」

「食べたきゃ自分で作れますし、それに食堂もありますから態々作ってもらう意味がないですよね。」

「グサッ…そりゃ、紫さんのご飯冷めてるけど美味しいですし、青葉そんなに料理得意じゃないですけど…じゃあ、これ青葉が作ったのじゃないって言ったら食べてもらえます?」

「知らない誰かならお断りしますが。」

「うぅっ、知ってる他の誰かなら食べるんだ…青葉泣きそうです。」

「ああもう、冗談です嘘です青葉さんが作ったのでもありがたく頂きます。」

「……見事に棒読みですね?」

「発言を撤回しても…」

「ああ何でもないです!それなら今度いつになるかわかりませんが青葉頑張ってみよっかな!」

「そのいつの日が来るのをあまり期待せずに待ってますよ。それより、結局誰が作ったんです?」

「もう、この期に及んでまだそれを聞くなんて野暮ですね。青葉が作ったってことでいいじゃないですか。」

「いや、もう違うって自白済みじゃないですか。それに得体のしれない誰かだったら嫌ですし。」

「そんなの古鷹さんに決まってるじゃないですか、ここの二人にお弁当を作ってくれる人なんてそうそういませんよ。」

 

 なんでも、ここのところ食生活が偏りがちなのを案じて作ってくれたらしい。ここ最近あまり会ってもいない彼女が一体どうして紫の食事事情を知っているのか気になったが、なんのことは無かった、純粋に山葵から青葉経由で伝えられていたのだそうだ。青葉同様彼女もあまり料理には自信が無いらしいが、苦心して作ったと言うのだから無下にはできまい。正直食欲は無かったが、頂くことにする。

 

「……なんか、最初に持ってきた時とだいぶ目の色が違う気がしましたけど。そんなに古鷹さんのネームバリューって紫さんにとって大きいんですか?」

「気のせいです。それに、やたらリアルに古鷹さんの苦労する姿を語られたら、食べないわけにはいかないでしょう。」

「……やっぱり一週間って長いな。」

「どうかしましたか?」

「ああいや何でもないです!それじゃあ食べながら話しの続きしましょう!ね!」

 

 そして、古鷹の手製弁当を食べながら、久しぶりに新聞部のことを話し合った。新しい企画を考案中だとかでかなり熱が入った青葉の声は頭に響いたが、水を差すのも気が引けたので取り敢えず耐えることにしていたが、おかげで頭痛が激しくなった気がする。古鷹の弁当に関してだが、実は鼻が詰まっていたのかであまり味がわからず、彼女には本当に申し訳ないことをしてしまった。不慣れにしては多分美味しかったと思う。でも、一品毎に青葉が一々古鷹がどのようにして調理していたかを解説していたので、手間の掛けようとか心のこもり具合なんかは知れた。

 

「あ、このリンゴ青葉も手伝ったんですよ。ちょっと不恰好になっちゃったけど…」

「半分に割らずに剥きましたね、これ。」

「そうですけど、なんでわかったんですか?」

「ボコボコになってしまって、形を整えるために削ったら小さくなった、そんな風に見えました。」

「うっ…流石シェフ、ご名答です……でも、リンゴってそのまま剥くんじゃないんですか?」

「僕も背伸びして、そのまま剥こうと躍起になった時期もありましたけど…慣れないうちは割って剥くと楽ですよ。丁度いい機会ですし、練習してみますか?」

「じゃあ、お願いしてみよっかな。ううん、お願いします!」

 

 冷蔵庫からリンゴを一つ取り出してまずは真っ二つに。それから台所から取ってきた果物ナイフを半分にしたリンゴと一緒に青葉に渡して、先に手本を見せる。

 

「皮を繋げたまま剥くのは、それなりに小慣れていないとできない技ですけど、普通に剥くだけならそんなことをする必要はありません。ほら、こんな風に少しずつでいいんです。」

「成る程、それなら青葉にもできそうです。」

「……ああ、そんなに顔を近づけたら危ないですよ。それに刃を動かすのではなく、リンゴを動かしてください。でないと刃が滑った時にザクッと切れますからね。」

 

 手先がおぼつかない青葉がリンゴを懸命に剥いている様子を、いつ彼女の白い手が鮮血で染まりやしないかとビクビクしながら見ていると、案の定刃先が彼女の親指を掠め、紅いラインに沿って真っ赤な血が滲み出てしまった。

 

「言わんこっちゃない…」

「痛た…うぅ、すみません。」

「すぐに傷口を水で流して、指の付け根を押さえていてください。今絆創膏持ってきます。」

「ああ大丈夫ですよこのくらい、そんなに傷は深くないですし。」

「ダメです、切り傷は見た目ではわかりづらいもの、ちゃんと止血して細菌が入らないようにしないと。」

 

 家事全般に不慣れだった自分を思い出させる青葉に手際良く手当てを施してやり(当然指一本触れずに)、刃物も片付けるついでに彼女の剥きかけのリンゴを手に取る。まだ全部は剥けていなかったが、少しはやり方がわかったようだ。彼女には自分が剥いて切り分けたものを差し出し、自分は彼女の剥きかけをそのまま齧る。

 

「ああ、紫さんが食べなくたって、それは青葉が責任をもって食べますから。」

「構いませんよ、どんな形であれリンゴはリンゴです。」

「…ありがとう。」

「次は兎の形、期待してますよ。」

「えっ、急にハードルが高くなったような……でも、頑張ります。」

「さて、なんだか眠気が覚めてしまいましたし、少し掃除頑張りますか。」

「あ、じゃあ青葉はここらで失礼しますね。」

「手伝う気さらさら無しですか、貴女は。」

「いやぁ、あまり男子寮にいつまでもいるわけにはいきませんから。」

「はあ、もう少し協力的でもいい気はしますけどね…」

「なはは、じゃあそういうわけでお休みなさい、古鷹さんには好評だったって伝えてもいいですよね?」

「そりゃ、折角いただいたものですからね……ありがとう、おかげで元気が出ました。」

 

 自分の風邪でも感染してしまったのか、この時の青葉の顔は丁度熟れたリンゴのように紅く色付いていた。途中で倒れられても困るので女子寮の前まで送ろうかと申し出たのだが、大丈夫だと言ってすぐに飛び出してしまった。何をそんなに慌てていたのか、この時の紫にはわからなかった。

 

 

 

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 朝から晩まで1日中涼しいと感じる時間がない日が続き、体調不良を訴える者が多く見受けられるようになると、第一海軍学校で最も過酷とされる授業、もとい訓練が、特定の生徒達を対象として行われる。特定と言うのも、卒業後士官学校へ進みやがては将校を目指す者達だ。その中には当然紫も含まれており、他の対象者共々隔離された教室に集められて、説明会に参加することになった。どうも、特別授業の会場は別の場所にあり、しばらくの間校舎と離れた場所で授業を受けることになるのだそうだ。

 

「で、特別授業の内容とは?」

「ロクなものではないらしいが、父に聞いても口を割らなかった。唯一聞けたのは心の鍛錬とかなんとか。卒業生の間じゃ、脱落者が出るほど厳しいと評判だな。」

「丸一日座禅組まされるのとかは勘弁願たいですね。」

「もっと酷い可能性もあるっすよね。そう言えば、脱落すると人が変わる程怖い目に遭うって話聞いたことあるっす。」

「心の鍛錬と言うくらいですから、それ相応の罰もあるのでしょうね。」

 

 内容に関する説明は何もなされないまま、日時と必要になるものだけを端的に伝えられ、名ばかりの説明会は終わった。皆の表情はどれもさえない。得体のしれない試練が迫っていることに、皆かなり動揺しているようだった。唯一落ち着いていると言えば、黒条と紫くらいだ。黒条は他の追従を許さない貫禄の持ち主であるし、紫は数々の死線を潜り抜けその度に死に目に遭っている。今更人が課す試練程度にビクビクしたりはしなかった。

 

 

 

 ……で、数日後

 

「ねぇねぇ、イムヤ達と一緒に泳ぎに行こ?」

「こんな暑い日は、海の中が一番ですって!」

「一緒に遊んでくれたらぁ、イクとあ〜んなことや、こ〜んなこと、してもいいのね。」

「僕ら、何しに来たんでしたっけ…」

「さあな…」

「だ、誰か…ティッシュの追加くださいっす…」

 

 特別授業と称されて、旧時代で言うところの臨海学校のような警備府に連れて来られた紫達。1日目の午前の活動を終えて、これからしばらく休憩だと思ったら、急にスクール水着を纏った少女達に囲まれ、遊ぼう遊ぼうとせがまれたのだ。これから昼休みだし、それに今日はとても暑い。海でひと泳ぎするのはとても気持ちいいことだろう。しかし、問題は彼女達の方にある。色鮮やかな頭髪を持つこの美少女達は当然艦娘の少女達であり、普通の少女ではない。別に彼女達との馴れ合いを許されていないわけではないが、室内だと言うのに彼女達は何故かスクール水着で歩き回っている。しかも、見た目幼い割にはやたら豊かな乳房を揺らしていたり、生地と肌の間に日焼けの跡がチラついていたりととても目のやり場に困ってしまう娘達ばかりなのだ。女神から生まれてきたような、将来有望な美貌も相まって、その姿は青年男子達の情欲を煽るのには十分な威力を発揮している。おかげで山葵は興奮から鼻血が止まらなくなってしまったらしい。他の生徒達も積極的な彼女達にたじたじになっていたり、鼻の下をベロベロに伸ばしたりしている。

 

 一方の紫は、纏わりつこうとしてくる彼女達の猛攻を、紙一重で躱し続けるのに必死でそれどころではない。一見落ち着いているように見える黒条も、外見を度外視すれば愛らしいおねだり攻撃を連発してくる彼女達に対して、どのように接したら良いのかわからず困っている様子だ。

 

「んっふふ〜、お兄さんなかなかやるねえ。じゃあこれならどうだ!とおりゃああああ!」

「あの、僕で遊ぶのは、やめてもらえ、ますか?」

「お兄さんが触らせてくれないのが悪いんだぞおお!」

「イヨちゃん、私も手伝う…!」

「ちょっ、流石にこれ以上は無理です!」

「あ!逃げるなぁ!」

「鼻血まだ止まりそうにないのね、イクも抑えるの手伝ってあげるのね。」

「ブッ!そ、それ以上お胸を近づけないでほしいっす…」

「イクなら心配いらないのね、それよりちゃんと抑えないとダメなのね。」

「だあああもう無理!限界っす!!」

「ねえねえお兄さん、早く海行こ?どぼーん!ってするの楽しいよ?」

「生憎だが、水着を持って来ていない。」

「大丈夫、提督に言えば貸してくれるよ?沢山ストックしてるんだって。」

「……いや、遠慮しておく。」

「ええ〜じゃあビーチバレーは?それなら濡れないでしょ?」

「仕方ない……だが少しだけだ。遊びに来たわけではないからな。」

「やったー!」

「おいクネクネ、鼻血。お前達も汚れていい格好で外に来い。」

「刀のお兄さん呼ばれてるよ!」

「クネクネって僕のことか……君達が追いかけるのを中断すれば行きますよ。」

「なら触らせろー!」

「嫌です!」

「じゃあこのまま鬼ごっこ、続けます…!」

「いつから鬼ごっこになったんですか!?」

「鼻血って、好きで出してるわけじゃ……まあ、黒条君が来いって言うなら行くっすけどね。」

「イク?」

「いや、イクちゃんじゃなくて『行く』っす。」

「イク?」

「いやだから、GOの方の『行く』っす。」

「イク?」

「誰か通訳を呼んで欲しいっすー!」

「……砂城造りじゃだめか?」

「さじょう?……あ!お城作るの?いいよそれでも!」

 

 破廉恥な格好と騒々しさで、生徒達のメンタルをこれでもかと抉りにくる少女達。だが、ここでの授業はこんなものでは済まなかった。

 

 

 

 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 夜、愛らしい小悪魔達との激戦の疲れを風呂場で癒し、いざ就寝と勇んで割り当てられた寝室に向かうと、途中引率の教師に呼び出され、仮眠室のような場所へと連れていかれた。照明とベッド以外何も置かれていない簡素な部屋だったが、妙に甘い香りが立ち込めている。照明も薄暗く、なんだか淫靡な空間だった。

 

「なんだか嫌な予感が…山葵君に目隠しした方が良いのでは?」

「一理あるな。」

「そんな、たとえ死ぬことになるとしても、僕は艦娘さん達をエロい目で見ながら死にたいっす!」

「うわ、最低だ…」

「今すぐ俺から離れろ、お前が吐いた呼気を吸いたくない。」

「このネタが通じる時代に生まれたかったっす!!」

 

 そんなくだらない会話をしていると、不意に部屋のドアが開き、予想通り艦娘と思われる美女達が入って来た。ドアが閉められて逆光でよく見えなかった彼女達の服装が露わになった時、紫はある種戦慄に近いものを感じた。

 

「みなさん今1日お疲れ様です。今夜は私達がみなさんの疲れを癒して差し上げますね。」

 

 長く艶やかな黒髪と、わがままボディーをはるかに凌駕する抜群のプロポーションを誇る美女が、子供には到底見せられないような透け透けのネグリジェを着てそんな事を言うものだから、他の生徒達のボルテージが急上昇した。因みに山葵は、すでに彼女達が部屋に入ってきた時点で鼻血を噴いて卒倒している。普段から女性に対して免疫が高いような素振りを見せるくせに、本当はチェリー坊やだったらしい。

 

 一様にネグリジェを身に纏った艦娘達は次々と生徒達の元へ行くと、言葉巧みに言い寄ってあっという間にパーソナルスペースを侵し、籠絡してしまった。あの黒条でさえ肩に頭を乗せるのを許してしまう手練れぶりだ。中には勢い余って接吻や過激なボディータッチにまで及ぼうとしている組までいる。当然紫は体に触れられるわけにはいかないので、鬼ごっこの第二ラウンドを早くも開始していたが、その二人を除けば、今この空間には元あった部屋の空気通りの、生徒達が未だ立ち入ったことのない大人の世界が創造されていた。まあとは言え、ここに来ている生徒全員は女性に対する免疫が高いとは言えない面々ばかりだったので、流石に大人の階段を登った者は誰一人としていなかった。けどそれでも、何かと抱え込む事案が多い若き青年達である、普段味わうことの出来ない女性の身体を、それも女神と形容される絶世の美女達の感触を大いに楽しんでいた。

 

 しかし、思えばこの時点で既に、青年達は狡猾な罠に嵌っていたのだった。

 




最近一万字書けてないのが心残りです…

どうも毎週毎週見に来てくださってる方ありがとうございます、影乃です。初見だぜって方も、ダンケダンケです
今年も残暑が厳しい秋になるかなぁと思いきや、僕の地元にはすっかり秋の気配がやってきております。これからは季節の変わり目、読者の皆様も体調にはご注意ください(なんて言ってる作者の体調が優れなかったり)

急にらしい後書きを書いていてびっくりですか?びっくりですね?そうですか(強引)
ぶっちゃけた話、こう言った感じの後書きの方が好きだったりしますね。ふざけるのも楽しいのでいいのですが、やはり落ち着きます(いや、やることないからって字数稼いでるとかそんなんじゃないですよ?)でもまあ、ふざけて書かないと近況報告的なものってすぐにネタが尽きるんですよね、だからこれからも頻繁にふざけた後書きを書いていきます。(おい)

さて、先述の通り今回もやることが特に思い浮かばないのでここで締めくくらせていただきます。あ、遅ればせながら遅れてすみません(日付が変わるまであと3分!)
また次回お会いしましょう
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