『そもそも何故魔王を新たに生み出したというのは神が設定した物語に支障をきたす様にした為です。しかし物語の性質上この世界の魔王は勇者に負けてしまいます。だからこの世界ではない、どこか、から新たに魔王を喚ぶ必要があったのです。その魔王なら勇者に勝てる可能性がありますから』
謎の声は淡々と説明した後、最後の文だけ声をすぼめぎみに言った。そして続ける。
『3体目の魔王、勇者とてその存在に気付いたら無視する訳にはいかないでしょう?神の敷いたストーリーという名のレールを大きく踏み外させる存在。それが貴方です。だから、貴方を日本に帰すことは出来ませんし、貴方が選ばれたのにとある理由があります。』
「理由?」
『はい、新たな魔王の出現にあたってどんな魔王にするかという問題が出て来ました。この世界の魔王とはその名のとおり、頭文字に“魔”がつかないといけません。しかし魔族の王も魔物の王もいます、という結果から消去法で、魔法の王となりました。貴方は、魔法の王には何が必要だと思いますか?』
消去法という謎の声の雑な決め方に零は若干、呆れつつも質問にはしっかりと答えた。
「RPGでいくと高い魔法攻撃力と多才性、そして圧倒的なマジックポイントやスキルポイントと、いったところか?」
『その通りです。そこで私は地球のなかで全生物中、最も高い魔法の素質を持つ者にこの役目をやらせようと思い、それに当てはまったのが――――』
「俺か」
やっと自分が選らばれた理由がわかった零は自分にそんな才能が有ったことに驚き、心の中で偏りすぎだっつのと神にツッコミを入れた。
『はいそうなのです。しかし…………』
謎の声は言いよどむ。しばしの間、何も言わなかった謎の声に零は疑惑を感じ問いただした。
「どうした?」
『いえ、些細なことではあるのですが貴方に魔法以外の才能がないもので、』
「ああ、なんだそれか、いいよそんなことバッサリ言っちゃって、才能がないのくらい自分が一番わかってるし(その結果がニート生活だし……)」
軽く言った零に――心の中は別――謎の声は呆れたため息を吐く。
『そう楽観視できることはないのですよ。現状としては今すぐアビリティオーバーを使いたいくらいです』
聞きなれない言葉に零は疑問に思い魔法の類いだと判断すると、内容が気になったため質問した。
「なんだそれ限界突破的な?」
『あー違いますね対象の才能を何倍にもさせる私の固有能力ですかね』
またしても聞きなれない言葉だ。どうしても気になるがどうせ後で説明してくれるだろう。零は口から出そうになった言葉を飲み込む。そのかわりに違う言葉を出した。
「なあそれ俺にやってくんないか?変な頼みだと思うがどうもこれから生きてく上で才能が何倍にもなったらおおきなアドバンテージになると思うし、さっきも使いたいと言ってたから悪くないと思うんだけど、どう?」
謎の声は謎のままだが何故か信用できる気がするので言ってみたがダメだったろうか。内心不安になりつつも零は答えを待つ。
『フフフ良いでしょう貴方には効果を最大にして差し上げましょう。』
初めて謎の声が笑った。零は、その事に驚きつつも頷いた。しかし少々頭が回らなかった零はその頷きが魔王承諾という、意味になることを理解できなかった。
すいません超短いです。ですがきりが良いのでここで一話とさせて頂きます