ハロハピ、個性的な面子揃ってますよね。
一小節目~嫌い~
いつからだったか。僕があの子の事を一人の女の子と意識し始めたのは。天真爛漫で、家がお金持ちなのに少しも驕らず、いつもみんなの輪の中心にいた彼女。
小学生だった時の僕はそれがちょっとだけイヤだった。というのも僕自身が割りとカースト上位層にいたこともあって彼女の存在は目の上のたんこぶだった。
そんなある時、僕はある場面に遭遇する。
「おい」
「なにかしら?」
「おまえんち、金持ちなんだろ」
「そうみたいね・・・でも、それがどうしたの?」
「じゃー今から俺達になんか買ってこいよ」
偶然図書委員の仕事で学校に残っていた僕は荷物を取りに教室に戻ったとき、彼女は他クラスの男たちに囲まれていた。
「んー・・・ごめんなさい。私、学校にお金持ってきてないのよ。もしよかったら今からうち来る?そしたら・・・」
「はぁ?バカかてめぇ!俺達は買ってこいって言ってるんだよ!誰もてめぇの家に行きたいなんて言ってねえんだよクソ!!」
「え、でもお金は・・・」
「おい、こいつ本当は持ってきてるぜ。俺達に奢りたくなくてウソついてるんだよ」
「あーウソいけないんだー!」
「も、持ってきてないよ本当に・・・!」
「ウソつきはドロボーの始まりってママがこないだ言ってた、こいつドロボーだぜ!」
「ちがっ・・・ほ、ほんとうに・・・」
散々に言われている彼女を見て、内心ほくそ笑んでいた。ざまぁみやがれ、ばーかばーかって思ってしばらくその光景を見ていた。
「じゃあこいつは今からドロボーってことで決定な!」
「ドロボー!ドロボー!」
「ドロボー!ドロボー!」
「そんな・・・なん、で・・・わたし、なに、も悪いことしてにのに・・・」
でも、本当にこれでいいのだろうか。無実の女の子が適当な理由をこじつけられていじめられている。それを見て喜んでいた僕はあの男達と同類なのでは。・・・そんなのは、嫌だった。
「おい、お前ら!」
「あ?なんだこいつ」
「なにもしてない女の子イジメて優越感に浸るのがそんなに楽しいのか?」
「ごちゃごちゃうるせぇぞ!」
「お前いつもこのドロボーのこと嫌ってたくせに!」
「戦隊ヒーローの見すぎだろ」
気づけば彼女は絶望に満ちた顔でこちらを見、男達は下卑た笑い声をあげていた。
そして、それは僕の我慢の限界でもあった。
「うるせえのはそっちだろうがっ!!」
「ふごぉっ!?」
文字通り、僕は一人の男をぶん殴った。
「僕がこの子のことをどう思ってたって関係ない。無実の女の子をいじめて楽しむよりこうした方が百倍マシだ!」
「て、てめぇ・・・」
「いいこちゃんぶりやがって!」
いよいよ本気の喧嘩が始まるそのとき、いつのまにかいなくなっていた彼女が先生をつれてやって来た。
「こら!おまえたちなにやっているんだ!」
「やっべ、先生だ!」
「くそっ、逃げろ!」
男達は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「・・・え、あの」
「ったくあいつら・・・おい、大丈夫か?」
「は、はい・・・あの、なんで?」
「彼女が喧嘩が始まるって大慌てで私を呼んできてね。何事もなくてよかった」
「け、喧嘩はだめだからねっ」
「お前・・・」
「とりあえず、もう遅いし気を付けて帰るんだよ。」
「「はーい・・・」」
先生が職員室に戻った矢先、彼女は話しかけてきた。
「あの、助けてくれてありがとうね」
「別に・・・あんときも言ったけど僕は君のことが嫌いだから。ただの気まぐれだよ。」
「嘘ね」
「は?」
「あなた、私のこと嫌いじゃないはずよ。だって、わたしのこと助けてくれたもの!」
「ちょ、お前なに言って・・・」
こいつは何を言ってるんだ?さっき僕は自分の口で嫌いだと言ったはずだ。それをあろうことか嫌いじゃない?頭のネジ五本くらい飛んでるんじゃないのか?
「それに」
「なに、まだなんかあんの・・・」
「わたしはあなたのこと好きよっ!」
「は、はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
多分、このときだ。彼女を一人の女の子と意識し始めたのは。我ながらとても単純な理由だと思う。それでも、僕はこれからも彼女のことを想い続ける。それくらいに彼女が好きだ。
「タイト、そろそろ帰りましょ!」
「まったく、こころはまた靴汚して・・・今度は何やってたんだよ」
「蝶々と鬼ごっこ!」
「小学生か!」
あのときのことをこころは覚えていないだろうけど僕、浅沼泰人は彼女、弦巻こころにいつかこの想いを届けたい。
ああ、予想以上に短かった・・・次回からはもっと伸ばしていきます。
感想や評価をいただけたらとても嬉しいです。
それではまた、アディオス!