デストロイヤー討伐から数日後、アクセルの街は、いや、ギルドは緊張に包まれていた。 女性冒険者たちは男性冒険者たちを睨み、ギルドの職員、エリス教関係者など、普段集まらない人たちまでギルドに集合している。 なぜかというと、まぁ事の発端はデストロイヤー戦だ。 まぁあれだけの男性冒険者たちが割引券を持ち、それをカズマに渡していたのだ、そりゃあバレる。 俺? 俺はアクアとクリスによって無罪を証明してもらった。 まぁ知っていたのに黙ってたということで、俺はバインドされてますけどね! 抵抗してもいいけど面倒なことになるので、そのまま縛られている。 なんで嘘がばれたかって? そこはほら、エリス様の力でね。 とまあ、ギルド内は今カオスな状況になっていた
「それじゃあ、こいつらはどうしましょうかね?」
そう言ってアクアは、とある集団に目を向ける。 そこにいたのはサキュバス、と呼ばれる下級悪魔の集団がいた。 まぁなんでいるかというと、数日空いたのはこの調査のためだ。 そんなわけで哀れなサキュバス達、アクアが指を鳴らすと可哀そうなくらい震えていた。 男性冒険者たちは、そんな彼女たちを庇おうとするが、広範囲の退魔魔法撃たれたら、意味がないと思うのだが
「決まってるよアクアさん、浄化しなきゃ」
クリスー、笑顔で言うことじゃないと思うんだが。 目に見えて真っ青になってるぞサキュバスたち。 まぁ教義的に許せないんだろうけどさ。 まぁさて置き、男性冒険者たちが助けを求めるように俺を見るが、正直キモイ。 てかこんな状況で女性冒険者たち止められると思ってんの
「まぁ少し待とうか」
「・・・・・・」
笑顔でダガー投げてきましたよクリスさん、その状況を見て他の女性冒険者も引いている。俺はもう慣れました、そんなわけでダガーを利用し、バインドを解く
「ほれ返す。 さてこの状況、ギルド的にはどうなんですか?」
「ギルド的にですか? そうですね、まず街に悪魔がすんでいるという時点で、かなり芳しくないです」
「でしょうね」
まぁわかっていたことだ、ギルドは国直轄の機関だし、正直言ってこんな事不祥事でしかないだろう
「でもここで彼女たちを浄化しても、事実は変わりませんよ?」
「だからこそこの問題は持てあましているんです」
結局この街に悪魔がいた、という事実は変わらず、ここで浄化をすればもっと面倒な事態になるだろう、よってギルドがとれる行動はこのままだろう
「んで、教会側としては」
「もちろん決まってるよ」
「悪魔倒すべし、魔王しばくべし」
なんかお二人とも目が光ってるんですが、てか微妙に透けて見えますよ、エリス様
「でもこれって教会側の不手際にならない?」
「そんなものは消してしまえば証拠は残らないわ」
ええい! こういう時だけ頭良くなりおって、普段のアクアはどこ行った! なんて内心毒づいてみたが現状は変わるはずもない
「いやー、流石にここにいるヤロー共が証言するでしょ」
「いやー、そうなったら夜道に気を付けた方がいいかもね」
少しダガーを抜いて答えるあたり、本気だなクリス。 しかも世間を騒がせてる怪盗だ、スニーキングミッションとかお手の物だろ。 その言葉を聞き震えあがる男性冒険者たち。 これ説得無理だろ
「物騒なのはダメ、絶対。 とりあえずお前らは置いといて、女性冒険者の皆さんは何が気に入らないの?」
まぁ答えを聞かなくてもわかるが、やはり夢とはいえ、自分らが好き勝手にされているのが気に入らないとのこと
「んじゃあ、それさえなんとかできればとりあえずは静観?」
まばらだが頷く女性冒険者たち、んで、それをサキュバスに聞いたところ夢なのだから容姿などは好きに変えられるので問題ないとのこと。 これで女性冒険者たちは問題なし、なのだが、一番の最難関、宗教関係者。
「もうさ、説得面倒だからいい?」
「「いやいやいや、よくないから!!」」
どの口がそんなこと言うんだか。 男性冒険者たちが口をそろえてそんなことを言う、一番に説得投げてよこしたのお前らじゃん
「とりあえず、お前らが悪魔と相容れないのはわかるが、ここは何とかこらえてもらえないか?」
「リュウヤはサキュバス達がどれだけ危険なのかわからないから、そんなこと言えるんだよ!」
「でも実際こいつらはそういう被害だしたことないだろ?」
「たとえ出してなかったとしても関係ないわ! 浄化よ!」
「どうどう、落ち着け、落ち着け」
話も聞かずに浄化しようとするアクアをとりあえずなだめる
「だいたい言いたかないけど、エリス教徒がいるのに悪魔に気が付かない方も悪いだろ、聞けば普通にとはいかないけど、外は出歩いてたみたいだし」
「ぐっ、それを言われると」
クリスの方は詰まる、実際話を聞くと、外を出てたりしていたみたいだし、エリス教の不始末でもあるだろう。 だがアクアはそんなことでは止まらない
「私には関係ないわね!」
「お前もこの街に来て結構立ってるだろうが。 というわけでこれからはギルドが管理して、もし問題起こすようなら浄化してもらうということで」
ここが無難な落としどころだろ
「管理、と言いますが、どうやって?」
「ギルドの女性職員が最低一人常駐、監査などですかね? そこらへんは俺よりも、そっちのサキュバスたちと話し合って、決めてもらいたいんですけど」
「そう......ですね。 でも運営するのはいいですが、今の場所では......」
「なら今度来るデストロイヤーの賞金で、地下かどこかに作ればいんじゃないですか」
「それはいいですが......」
ちらりとブーイングが上がっている方を見る、当たり前だが女性冒険者たちからは声が上がるが
「んなもん、ヤロー共に払わせればいいじゃん」
「んな!?横暴だ!!」
「ああん? ならここで浄化してもらえばいい話になるが? だいたい俺はお世話になってないのにここまでやったんだぞ、礼を言われるならまだしも、文句言われるならこれ全部なかったことにしてもいいぞ?」
当然だがだまる男性冒険者たち、どうやら納得したようだ
「それでは今回の件に関しましては、男性冒険者たちで代金を工面する、というお話で」
こうしてデストロイヤー戦よりも疲れる、話し合いは終わりを迎えた
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「というのが今回の顛末です」
「私は頭が痛いです......」
俺は今天界、つまりエリス様のもとに来て報告を行っていた。 もちろんクリスとアクアも一緒だ
「まぁ今回の件は俺のせいではないですので」
「それはわかっています、わかってはいますが......」
「あはは......お疲れ様エリス様」
数日前の雰囲気はどこえやら、普通に戻っているクリス。 アクアは相変わらず膨れていた
「まぁ俺が説得しなくても、カズマが俺と近い条件を勝ち取ってたんじゃね?」
「それよ! あいつのせいで収入が減ったじゃない!!」
割引券を渡したのはヤロー共なのに、何故かカズマが悪いということになり、カズマは結構な額を支払った。 一応借金自体はないものの、カズマは貯金がほぼゼロと悲惨な結果になり、俺たちはクエストに毎日行っている状況だ
「やれやれ、本当にあいつ幸運のステータスいいのかねぇ.......」
「なんかここまで来ると本当に疑わしいよね」
クリスも苦笑い
「まぁいいや、エリス様そろそろ」
「はい、それではクリス、アクア先輩、リュウヤさん、また来てくださいね」
「りょうか~い」
「了解です」
「それじゃあねエリス!」
少し最後無理やりな気がするけど気のせい
次話からは二期の内容です!
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