真・恋姫†無双 ~天命之外史~   作:夢月葵

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戦いが終わり、戦士達は家へと戻る。

さて、戦いが終わった後は宴である。
いやいや、論功行賞をしようよ。

一時の平和を、彼等はどう楽しむのであろうか。

2016年7月1日更新開始
2017年月日最終更新

2017年7月15日掲載(ハーメルン)


第十九章 帰還、それから・1

 青州(せいしゅう)から桃香(とうか)達が、兗州(えんしゅう)から(りょう)達が徐州(じょしゅう)へと戻った事で、今回の青州・揚州(ようしゅう)・兗州遠征は無事に終わった事になる。

 だが、これで全てが終わった訳ではない。やる事は山積みである。

 たとえば……。

 

「何で雪蓮(しぇれん)さん達がまだ居るんですか!?」

「お帰りなさい、桃香。お邪魔してるわよ♪」

 

とか、

 

「……華琳(かりん)殿、兗州に留まられていると聞いていましたが?」

「貴女が帰ってくると聞いて、ジッとしていられなくなったのよ、愛紗(あいしゃ)。」

 

とか、

 

「ちょっとアンタ! なに涼に馴れ馴れしくしてんのよ!?」

「シャオは涼の婚約者だもーん。これくらい当然でしょ♪」

 

等についてである。

 ……論功行賞はしなくて良いのだろうか。

 今、この場には青州から帰還した桃香達。

 兗州から帰還した涼達。

 兗州から涼と共に帰還し、そのまま居着いている雪蓮達。

 兗州で戦後処理をしていたが、愛紗が帰ってくると聞いて飛んできた華琳達。

 と、大きく分けて四つのグループに分かれている。

 「女三人寄れば(かしま)しい」と言うが、三人以上居るので姦しいどころではなかった。姦しいや五月蠅(うるさ)いの最上級の言葉って何だろうか。多分それが現状で一番合っている筈だ。

 

「桃香お疲れ様。はい、貴女はこれでも飲んで疲れを癒やして。」

「あ、ありがとうございます……って、そうじゃなくてですね!」

「何よー?」

 

 雪蓮から酒の(さかずき)を渡され、彼女のペースに乗せられそうになった桃香だが、何とか踏みとどまる。

 

「私達は早馬を寄越(よこ)していた筈ですよ? “青州黄巾党(こうきんとう)を倒したので帰ります”って!」

「知ってるわよ。だからこうして貴女達の帰りを待っていたんじゃない。戦勝のお祝いぐらいしないと、同盟関係って感じがしないでしょ。」

「そう言って、涼義兄(にい)さんの傍に居たいんでしょ。」

「そうよー♪」

 

 臆面も無く言う雪蓮に桃香は流石に呆れ、反論しようとする。

 が、機先を制したのは雪蓮だった。

 

「私と涼は正式に婚約したんだし、ここに居たって良いでしょ♪」

「こ、婚約!?」

「あら、知らなかったの?」

 

 当然知ってると思っていた雪蓮は、驚く桃香の表情を見て軽く舌を出した。

 驚いたままの桃香が慌てて涼を探し、何かを言おうとした瞬間、その涼の傍に居る人物からまたも驚くべき言葉が投げ掛けられた。

 

「シャオも涼と婚約してるよー♪」

「なっ。」

 

 孫尚香(そん・しょうこう)こと小蓮(しゃおれん)の思わぬ言葉に、桃香は思わず動きを止めた。

 すると今度は、正反対の方向から声が上がった。

 

「……私も、婚約しているぞ。一応。」

 

 お酒の所為かは分からないが、顔を赤らめた孫権(そんけん)こと蓮華(れんふぁ)も同じ言葉を呟く。

 桃香や傍に居た地香(ちか)たちは状況が飲み込めず、唯々呆然としていた。

 一方、華琳は「意外に手が早いのね」といった表情を、雪蓮は当事者なのに「知ーらない」といった表情をしている。

 そうした空気が蔓延する中、桃香はようやく我を取り戻し、この原因を作った人物の(もと)にゆっくりと近づく。その人物からしてみれば、桃香の行動はホラー以外の何物でも無い。自業自得ではあるが。

 

「りょう、にい、さーん?」

 

 とてつもなく可愛く綺麗な笑顔でそう言った桃香だが、声や雰囲気はそれに似つかわしくない感じがしている。

 涼は苦笑しながら顔を背けたが、そっちにはそっちで地香が「諦めなさい」という表情で立っていた。

 涼は(しば)し二人を見てから、降参とばかりに手を挙げて桃香に説明を始めた。

 簡潔に経緯を説明した涼だったが、当然ながらそれで納得する程軽い問題ではないので、(しばら)くの間は桃香たちから説教やら何やらを受ける事になった。正座で。

 

「……まあ、理由は分かりましたけど、こういった事は軽々しくしないでくださいね。」

「はい……。」

 

 そう言って深々と溜息を吐く桃香と、項垂(うなだ)れる涼。涼にいたってはそろそろ正座でいるのが限界という感じなので、早く解放されたい思いもあった。

 その際に華琳が面白がって「私も涼と婚約しようかしら」と言ったりして、桃香たちや雪蓮たちや桂花(けいふぁ)たちが驚いたり面白がったり混乱したりあったが、その騒動も涼の耳には入らなかった様だ。

 そんな涼の地獄の時間(自業自得含む)が終わると、しびれた足をさすりながら寝転んだ。しばらくは起き上がれないかも知れない。

 と、そこに、誰かが涼の頭を持ち上げ、自身の太ももに乗せた。所謂「ひざまくら」だが、その感触はこの上なく良い。

 そんなひざまくらをしているのは、涼がこの世界に来て一番見知っている人物の一人だった。

 

「……どうしたの、桃香?」

「…………ちょっと言い過ぎましたから、そのお詫びです。」

 

 そう答えた桃香は涼と視線を合わせず、あさっての方向を向いていた。

 涼から見える桃香の表情は、頬に薄く紅が差しており、ひざまくらをしている照れ隠しの所為と思われた。それを指摘しては怒られたり、ひざまくらが終わったりするかも知れないので言わなかったが。

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