真・恋姫†無双 ~天命之外史~   作:夢月葵

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第二十三章 英雄達の集結・3

 雪蓮達の自己紹介が終わると、次は馬騰軍の自己紹介となった。

 今迄は全員が涼の見知った人だったが、これからは知らない人が多くなる。

 

「馬騰軍の名代(みょうだい)としてこの軍議に参加している、馬孟起(ば・もうき)だ。宜しく頼むぜ。」

「同じく副将の韓遂(かんすい)だ。孟起の後見人も務めている。」

 

 この場に居る馬騰軍の将はこの二人の女性だけだった。

 その一人である馬孟起は涼たちと同じくらいの年代の少女だ。

 姓名を馬超(ばちょう)といい、演義では蜀漢(しょくかん)五虎大将軍(ごこ・だいしょうぐん)の一人に数えられる名将である。勿論この世界では蜀漢は未だ建国されておらず、馬超は五虎将の一人に選ばれていない。この世界では、先程馬超自身が述べた様に馬騰軍の一員であり、光武帝(こうぶてい)(もと)で活躍した名将・馬援(ばえん)の子孫である馬騰の子というくらいにしか知られていないのだろう。

 そんな馬超の外見は快活そうの一言に尽きる。

 栗色の長い髪はポニーテールにしているし、少し太めの眉も何故かは判らないが快活な印象を強める。また、応援団長がしている長いハチマキの様に、紅い布を額に巻いているのもその一因といえよう。

 大きな紅玉色の瞳とその眼力が更にその要素を強化しており、涼と違って正史や演義の馬超を知らない者でも、彼女がどの様な人物かは推察出来ると思われる。

 服のラインや腕、足を見る限り、痩せ過ぎず太り過ぎずの健康的な体だと思われ、先の印象を更に補完していく。

 服は緑色を基調とし、黒い長袖に黒い大きなリボンを首下に付けている。裾の部分は花弁の様な形をしていて、その形に沿って金のラインが有り、胸を縦に通る金のラインと合流している。

 首周りから肩にかけて白いケープの様なものが体型に合わせたデザインとなってくっついている。着脱可能かは判らない。

 スカートはプリーツスカートで、下に細く黒いラインが有る。

 靴は膝上迄ある白いロングブーツで、サイドに馬の尻尾の様な紅い飾りが付いていたり、正面に向かって紅い曲線の模様が有ったりする。

 

(彼女が“錦馬超”か……。当たり前だけど強そうだな。)

 

 涼は軽く彼女を観察しながら心中でそう呟いた。

 繰り返しになるが、馬超は演義では蜀漢の五虎大将軍の一人であり、それ以前にも曹操軍を相手に獅子奮迅の活躍を見せる等の武功を残す武将である。この世界の馬超の実力は未知数だが、関羽や張飛の名を持つ愛紗や鈴々(りんりん)の強さを見る限り、馬超もそれなりの強さを持つと見て間違いないだろう。

 この場に居る馬騰軍のもう一人、韓遂は少なくとも馬超の倍は生きているであろうと思われる妙齢の女性だ。

 漆黒の髪を無造作に伸ばし、寝癖かと思われるほど奇抜な髪型をしているが、かと言って品が無い訳では無く、また、その仕草は一定以上の教養を身に付けた者の仕草だ。

 服装は、黄色を基調としたドレスの様な服を身に付けており、両肘には朱い肘当てをしている。靴はヒールタイプで、色は黒。

 この世界の女性に共通しているのか、韓遂も涼が始めに予想した年齢より若く見える。また、両耳に朱いイヤリング、左手中指に黒い宝石が付いた指輪をしている。

 何故この場に馬謄軍の総大将である筈の馬騰が居ないのかは気になったが、雪蓮たち孫堅軍も総大将である孫堅が居ないので、ひょっとしたら大した問題では無いのかも知れない。

 なお、史実では馬騰は反董卓連合に参加していない。

 

 

 

 馬謄軍の自己紹介が終わると、次は青州軍の番となった。涼たちもよく見知っている者達だった。

 

「青州牧の孔文挙(こう・ぶんきょ)です。宜しく。」

「青州軍部隊長の一人、太史子義(たいし・しぎ)です。宜しくお願いします。」

 

 先の韓遂よりは若く見える孔文挙こと孔融(こうゆう)と、以前徐州に来た事がある太史子義こと太史慈(たいしじ)が自己紹介をした。青州軍の代表もどうやらこの二人だけの様だ。

 孔融は、涼の世界では孔子(こうし)の二十世孫として知られている。どうやらそれはこの世界でも同じらしく、この国の知識人からは勿論、教養に長けているとは言い難い層からも支持されている。

 とは言え、その格好は中々に奇抜であった。

 どう奇抜かと言えば、先ずは髪型が挙げられる。赤やら緑やらといった色んな色の髪を持つ人が居る世界ではあるが、金と銀と赤の三色構成になった髪型の人はそうそう居ないだろう。当然染めているのだろうが、地毛は何色なのだろうか。

 続いて服装だが、こちらもインパクトは髪型と負けてはいない。

 何せ、右側が半袖で左側が長袖という服だ。服は基本的に寒暖に対する備えであり、暑ければ生地は少なく、寒ければ生地を多くして気温に対応するのが普通である。

 それなのに、半袖と長袖が同居しているという、服の機能の一部を無視したこのデザインは、ある種の芸術性はあるものの実用的とはいえず、それを着ている孔融の美的センスと合理性について大きく疑問符が付くのは仕方が無い事だろう。

 スカートではなくパンツルックなのは年齢を考慮しているのか、単に彼女のセンスの問題なのか。そのパンツルックも、現代で言うダメージジーンズの様に所々が破れており、破れている服をわざと着るという文化が無いこの世界に於いてはこうした格好は理解されないのではないか。尤も、現代でもダメージジーンズには否定的な意見を持つ人が多いので、この世界に限った事では無いが。

 靴は形はそうでもないが、色は虹色だ。

 桃香たちはつい先日、青州救援に行った時に孔融と会っているが、その時も今回の様に奇抜なファッションだった。

 只、その格好と違って言動は至極まともである。そうでなければ沢山の人々から支持される事は無いだろう。更に言えば、奇抜な格好をしながら支持されるというのはある種の才能と言えなくもない。

 太史慈は以前と同じ衣服と甲冑を身に着けており、ピンと背筋を伸ばして座っている。

 衣服と甲冑のどちらも特に飾りつけておらず、孔融とは違って実用的な格好と言って間違いないだろう。ここ迄対照的な二人が同陣営に居るというのも、中々面白い。

 因みに、孔融も史実では反董卓連合に参加していない。 続いて、公孫賛軍の自己紹介に移った。

 

「公孫賛軍総大将、公孫伯珪(こうそん・はくけい)。一応、奮武(ふんぶ)将軍だ。」

「同じく副将の田楷(でんかい)です……宜しくです。」

 

 紅いポニーテールの少女、公孫伯珪こと公孫賛と、蒼いボブカットの少女、田楷はそう自己紹介をすると着席し、次いで隣に居る桃香たちに向いて静かに笑った。

 公孫賛こと白蓮は桃香の親友であり、義勇軍時代に白蓮の所に世話になっていた事もあって涼とも面識がある。

 なので田楷とも一応の面識はあるのだが、白蓮と違って公務以外で話した事は余り無い。因みにその時に涼が感じた印象は、「物静かな読書家」だった。

 実際、今の自己紹介でも声量は小さく、静かな場でなかったら聞こえなかったかも知れない。

 そんな彼女の服装は一言で言えば地味、だろう。

 黒を基調とした服は髪と同じ寒色であり、派手な装飾品も付けていない為にこの場の諸将と比べるとどうしても見劣りしてしまう。

 靴もこの時代に合った普通の靴で、特徴らしい特徴はない。孔融の奇抜なファッションの後だから余計にそう思ってしまうのかも知れない。

 史実の記述はそれほど多くなく、演義では陶謙への援軍の場面でしか登場しない田楷ではあるが、絶頂期の公孫賛の補佐を務めた実績は素晴らしいといえるだろう。

 余談ではあるが、公孫賛も史実では反董卓連合に参加していない。それはつまり、公孫賛の客将だった劉備も参加していないという事であり、演義に於ける三英戦呂布などは当然ながら史実では無かったのである。そこ、演義ではよくある事とか言わない。

 

 

 

 公孫賛軍の後、誰が自己紹介をするのか少し間が空いたが、結局は益州軍の番となった。

 

「益州軍を代表して挨拶を。益州牧、陽城侯(ようじょうこう)劉焉(りゅうえん)の名代を努める厳顔(げんがん)じゃ、よろしく頼む。こやつは部下の張任(ちょうじん)。口は悪いが実力は確かじゃぞ。」

「桔梗さま、ここはそういう事を言う場ではありません。……コホン、俺は張任、益州従事です。」

 

 厳顔と名乗ったのは妙齢の女性、張任は涼たちと同年代と思われる少女だった。

 厳顔はサイドがウェーブがかった短い銀髪、いや、後ろ手に纏めているのかも知れない。いずれにしても綺麗な銀髪の持ち主である。

 尤も、目を引くのはそれだけではない。規格外に大きい双丘、つまりは大き過ぎる胸に、男性である涼は勿論、女性達も思わず見入ってしまっていた。

 紫色を基調としたドレスの様な服を着ているが、その胸元とすらりと伸びた足は覆い隠せていない。それでいて特に気にしていない様だから、彼女の感覚、もしくはこの世界の感覚が現代とは若干違うのかも知れない。

 張任は前述の通り少女である。髪は厳顔と対照的な金髪。肌が若干色黒なのは自黒か日焼けか分からない。

 一人称が「俺」だったのでそれなりに性格は想像できるが、服装もレザージャケットの様なものにパンツルックといった風で、性格を補完するかの様なものだった。一方でピアスやタトゥーの様なものはなく、その辺も性格に関するのかも知れない。

 史実における厳顔と張任の記述は少ない。両者とも劉備の入蜀時に登場するが、そこだけである。演義では若干の脚色があるが、それでも張任は記述が少ない。厳顔は老将として登場し、同じ老将の黄忠(こうちゅう)とコンビの様に描かれている。

 なお、史実でも演義でも厳顔と張任、ひいては益州軍は反董卓連合に参加していない。というか、厳顔と張任の二人は生年不明なので、この時期に生まれていたかも判っていないのである。

 

 

 

 益州軍の後は劉表軍の番となった。

 

荊州(けいしゅう)牧・劉表の名代としてこの場に参りました、黄忠と申します。隣におりますのは部下の魏延(ぎえん)です。」

「魏延だ……です。」

 

 立ち上がってそう名乗った二人は、どこか先の厳顔と張任に似ていた。

 黄忠は厳顔と同年齢、もしくは少し若いと思われる外見の女性だ。厳顔と同じ様にあり得ない大きさの双丘を持ち、厳顔よりより妖艶さがある。そんな印象だ。

 髪は薄紫のストレート。左耳の後ろに羽根を数枚重ねた飾りを付けている。

 服装も似ており、一見オフショルダーのドレスにも見える薄紫色のチャイナ服を着ている。当然の様に胸元は開いていた。両腕は緑色のアームガードの様に独立している様に見えるが、そこから緑に裏地が紺のマントに繋がっている様にも見える。別々のを繋げているのかも知れない。

 黄忠の反対側に座っている涼からはよく見えないが、下半身はストッキングにハイヒールという出で立ちである。しかもストッキングは太股までなうえ、ドレスのスカート部分は深いスリットが入っているので、結構な目の毒である。

 まあ、そんな格好の女性が結構多いこの世界に長く居る涼は慣れているだろうが。

 一方の魏延はというと、露出は少ないもののスタイルはよく、胸に関しては結構大きい方だろう。隣に黄忠が居るので目立たないだけである。

 髪は黒、もしくは濃紺で所々はねており、右側が白くメッシュの様になっている。漫画の神様の代表作の一つに出てくる無免許医の様な髪と言えば解り易いだろうか。

 服の基調は上下共に黒で、縁は黄色、上着の下に着ているシャツの陽な服は白。上着は襟立ての袖無しジャケットだが、前述の通り胸が大きいからかキッチリとは締まっておらず、胸の部分は白いシャツが見えている。

 下に履いているのは上と同色同系統のホットパンツ。その廻りにジャケットと同系色同素材の物をスカートの様に巻いている。全てを覆っている訳ではないのでホットパンツ部分は丸見えだが。

 靴下の類いは履いておらず、ブーツの様な靴を履いている。

 口調はよく判らないが、外見の印象からするとやはり先程の張任と似ているかも知れない。

 涼は劉表軍についていささか疑問に思う事があったが、この場では言うべきでないと判断し口をつぐんだ。

 なお、史実では劉表は一応反董卓連合に参加しているが、目立った活躍はないといえる。尤も、史実だと曹操や孫堅くらいしかまともに戦っていなかったりするのだが。

 だからだろうか、演義ではあまり良い役ではない気がする。また、黄忠と魏延は反董卓連合には参加していない。こちらも、厳顔と張任と同じく生年不明なのでやはりこの時期に生きていたかも判っていない。

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