黄巾党が敗北する少し前、張宝は山の中をさまよっていた。
「……こんな……こんな筈じゃ無かったのに…………。」
張宝は泣いていた。
負けた事を悔やんで泣いていた訳では無く、恐怖の余りに泣いていたのだ。
山の中を無我夢中で逃げ回った為、体中に枝や葉によるひっかき傷が出来ており、勿論服もボロボロで、馬もまた疲れ果てている。
そんな張宝に、更なる災難が降り懸かった。
「もらったあっ‼」
「えっ!?」
突然木の陰から一人の少女が飛び出し、張宝に斬りかかってきた。
咄嗟に体が動いた為に避ける事が出来たが、弾みで馬からは落ちてしまった。
「痛っ!」
落ちた場所は草が被い茂っていたので怪我はしなかったが、それでもそれなりの痛みが体に伝わってきた。
「いたた……っ‼」
張宝が体を起こそうとすると、その喉元に大剣が突きつけられた。
「確認するが……お前が張宝だな?」
張宝が目線だけを上げると、短い髪の少女が大剣を手にしたまま彼女を見下ろしている。
その表情は冷たく今にも張宝を殺しそうだが、だとしたら確認をとらずに斬り殺しているだろう。
直ぐに殺さないのは、何か理由が有るのだろうか。
「捕らえたのか、時雨殿?」
近くから別の少女の声が聞こえてくる。
その少女は白を基調とした服を着ており、水色の髪に白い肌。そして手には装飾豊かな槍を持っていた。
「一応な。今確認している所だ。」
白い服の少女に「時雨」と呼ばれた大剣の少女は、張宝を見据えたまま白い服の少女の問いに答えた。
「あちらは大勢が決した様だ。早くしないと、そなた達が合流出来なくなると思うが?」
「解ってる! ……ん? 星よ、お前達は共に行かないのか?」
「私達はもう少し旅を続けるつもりだ。やはり、自分が仕える主はきちんと見極めたいのでな。」
「お前らしい考えだな。」
相変わらず大剣を突きつけたまま会話を続ける時雨。
その時雨は、白い服の少女を「星」と呼んだ。
「……私を、どうするつもり?」
張宝は俯いたまま尋ねる。
それに対して、時雨と星は張宝を見ながら口を開いた。
「知れた事。お前が張宝本人なら、その首を貰う。」
「もっとも、嘘をついても意味は無いぞ。捕虜に聞けば貴公が張宝かそうでないかは直ぐに判るからな。」
それを聞いた張宝は、表情をまったく変えずに、心の中で二人に向かって小さく舌を出した。
(皆に聞いたって、皆がちぃの事をバラす訳無いじゃない。コイツ等……バカ?)
張宝がそう思う様に、黄巾党の人間は張三姉妹を心酔している。
実は今迄、張三姉妹の実態はよく判っていなかったのだが、それは黄巾党が鉄の結束とも言うべき団結力で、張三姉妹の事を秘密にしてきたからだ。
だから、今回も誰も口を割らないだろう。それ程皆、口が固いのだ。
そう結論付け、安心した張宝はつい言ってしまった。
「黄巾党の皆が、私の事を話す訳が無いじゃない。」
それを聞いた時雨と星は唖然とした。
暫くの間、辺りに沈黙が流れる。
「……な、何よ?」
「いや……。」
「まさか、自分から正体をバラすとは思わなかったのでな。」
「えっ……? …………ああっ‼」
漸く自身の失態に気付いた張宝は、大声を上げて落胆した。
黄巾党は口が固いが、肝心の張宝自身は口が軽かった様だ。
「うぅ……。」
「まあ……手間が省けたと思えば良いか。」
「そうだな。」
そう言って互いに顔を見合わせ、それぞれの得物を握り直す。
「可哀想だとは思うが……覚悟!」
時雨と星、二人の少女が得物を振り上げ、張宝に向かって振り下ろそうとした。
その時、
「わーっ! その娘を斬るのはちょっと待ってーっ‼」
緊迫した場面に似合わない高く甘い声が、かなり慌てたトーンで辺りに響き渡った。
何事かと思った二人が辺りを見渡すと、後ろから一人の少女が息を切らせながら走ってきた。
「と、桃香っ!?」
「えっ? ……あっ、時雨ちゃんだあ。」
時雨は驚きながら少女の
「時雨殿、もしや彼女が?」
張宝が逃げない様に目を光らせながらその様子を見ていた星が、時雨に確認をとる。
「ああ。コイツが、俺と雫が合流しようとしていた相手の劉玄徳だ。」
「えっ、雫ちゃんも一緒なの?」
時雨が星の問いに答えると、桃香は時雨の答えの中に出て来た固有名詞に反応を示した。
「ああ、今は近くで仲間達と一緒に待っているぞ。」
「そうなんだあ。早く会いたいなあ♪」
時雨から説明を受けた桃香は、満面の笑みを浮かべながらそう言った。
どうやら、桃香と時雨、そして雫は仲が良い間柄の様だ。
「劉玄徳殿、お仲間と戯れるのも結構ですが、一つ尋ねても宜しいですかな?」
そんな中、星が口を開いた。
「何ですか?」
「先程、貴女は張宝を斬るのを待てと仰ったが、それは如何なる理由があっての事ですかな?」
「ああ、それはですね……。」
「それについては、俺が説明するよ。」
星の質問に桃香が答えようとすると、桃香が来た方向から少年の声が聞こえ、ゆっくりとした足取りで一人の少年が現れた。
「貴公は?」
「俺は清宮涼。桃香と共に義勇軍の指揮官を務めています。」
星がその少年――涼を見据えながら尋ねると、涼は丁寧な物腰で自分の名前を名乗った。
「ほう……では貴公が噂の“天の御遣い”殿か。」
「まあ、一応ね。」
涼が天の御遣いだと解ると、星は涼を値踏みするかの様に見つめる。
余りにジロジロ見つめるので、涼は何だか恥ずかしくなってしまった。
「それで、張宝を斬るなという理由は何だ?」
そこに、何故か不機嫌な表情の時雨が尋ねてきた。
その疑問は星も同じだった様で、途端に表情を引き締める。
涼は、時雨の側で俯き涙を流している少女――張宝を一瞥してから口を開いた。
「張宝を斬るなって言ったのは、彼女を殺さないからさ。」
涼のその言葉に、時雨達は唖然となった。
暫くの沈黙の後、最初に口を開いたのは時雨だった。
「お前、何を言っている!? まさか、相手が女だから殺すのが惜しくなったとでも言うのか!?」
「そりゃあ、見た所可愛い娘だし、そういった感情が無いと言えば嘘になるけど。」
「涼兄さんっ。」
嘘偽り無く正直に話す涼に、桃香は思わず注意する。
その光景を見て、時雨が困惑した表情を浮かべながら尋ねた。
「……桃香、今こいつの事を“涼兄さん”って呼んだか?」
「うん、呼んだよ。」
「……何で?」
「だって私達、
桃香はそう言いながら笑みを浮かべ、涼の腕に抱きついた。
すると辺りに、いや、時雨の周りにだけ再び沈黙が流れた。
そして、
「な、なんだとーーーっ!?」
枝に留まっていた鳥や、草に隠れていた動物が一斉に逃げ出す程の、悲鳴にも似た大声があがった。
勿論、その声の主は時雨である。
「と、桃香っ! 何でこんな奴と義兄妹の契りを交わしたんだっ‼」
「こんな奴って……。」
「お前は黙ってろ!」
「……けど俺、無関係じゃないよね?」
「五月蝿いっ‼」
すっかり頭に血が上っている時雨は、涼の言葉に耳を貸そうとしなかった。
「時雨ちゃん、何でそんなに怒ってるの?」
「怒ってないっ!」
とは言うものの、どう見ても時雨は怒っている。
そんなに暑くも無いのに顔が真っ赤な事からも、それは明らかだ。
「……話を戻して良いか?」
そこに、星が口を挟んできた。
話が逸れてきたので、流れを断とうとしたらしい。
「しかし、星っ!」
「今は張宝の処遇についての理由を聞くのが最優先であろう?」
「くっ……!」
正論を言われて反論出来ず、言葉に詰まる時雨。そのまま諦めたらしく、そっぽを向いた。
だが、その直前に涼を睨んだ事に、涼自身が気付いた。
とは言え、それに反応したら繰り返しになってしまうので、涼は何も言わなかった。
「張宝を殺さないのには、ちゃんとした理由が有るよ。」
そう言って話を再開する涼。
「それは、張宝を殺した場合の黄巾党の反応を危惧したからさ。」
「黄巾党の反応だと? 奴等はほぼ全滅した様だが?」
時雨がそう言うと、張宝はビクッと体を震わせた。
「それは張宝が率いていた部隊だろ? けど、首領の張角や妹の張梁が率いている部隊は健在だ。もし、張宝が殺されたと彼女達が知ったら……。」
「恐らく、仇討ちと称して今迄以上に暴れ回るだろう。」
「ああ。だから彼女達は捕らえるにしても殺すにしても、三人一緒じゃないと駄目だ。」
「……求心力になる存在が無くなれば、奴等は力を失うという訳だな。」
「その通り。」
元々、張三姉妹を中心として集まった農民達で結成されたのが黄巾党だ。
もし旗頭である張三姉妹が居なくなる様な事があれば、黄巾党は内部崩壊を起こし、簡単に鎮圧されるだろう。
「理由は解った。だが、ならば張宝はどうするのだ?」
「勿論、逃がすよ。」
「……だと思った。」
時雨は呆れながら言った。
「だが、一体どうやって逃がすつもりだ? 鉄門峡は連合軍が抑えているんだぞ。例え変装させたとしても、お前が見知らぬ女を連れていれば、誰かが気付く。そうすれば全ては終わりだ。」
「時雨殿の言う通りだ。戦場に武将でも軍師でも無い少女が居ては、明らかに怪しまれる。」
時雨の意見に星も同意する。
だが涼は、二人の意見にも全くたじろぐ様子も無く、寧ろ冷静に言葉を紡いだ。
「確かに、普通なら怪しまれるだろうね。けど、この場所に君達が居た事で、作戦は比較的成功すると思ってるんだ。」
「私達が居た事で、」
「作戦が成功するだと?」
星と時雨は涼の言葉を繰り返した。
桃香もよく解っていないのか、キョトンとした顔のまま涼を見つめている。
「本当は、この先に在る獣道を張宝一人で通ってもらう予定だったんだ。」
「獣道? そんなものが在るのか?」
「ああ。うちの軍師が集めた情報で、さっき愛紗……関羽にその道が麓に続いているのを確認してもらった。」
「ちょっと険しいけど、普通の女の子一人でも充分降りられる道だって言ってたよ。」
桃香は張宝をみつめながら、涼の話を補足する様に言った。
一瞬だけ目が合ったが、張宝は直ぐに目を逸らした。
「けど、本来なら連合軍と黄巾党以外は居ない筈のこの山に君達が居た。なら、これを利用しない手はない。」
「……まさか、張宝を我等の仲間として扱うつもりか?」
涼の説明の意図に気付いた星が尋ねる。すると、涼は首を縦に振って肯定した。
「この山にも数人ずつなら登れる小さな道は幾つか在るらしいから、君達の存在もそんなに不自然じゃないし。それに、君が桃香の知り合いなのも成功率を上げる要因になる。」
涼はそう言って時雨に向き直る。
「張宝を桃香の友達の娘って扱いにし、桃香に会う為に仲間と旅をしていたって事にすれば、武将でも軍師でも無くても怪しまれない筈だ。」
「いざという時には、時雨殿や私が守ってきた事にすれば良い訳ですからな。」
「ああ。」
涼の説明に星は頷きながら確認をとる。
時雨は少し納得していない様だが、黙って話を聞いていた。
「幸い、張三姉妹についての情報は連合軍でも不足しているから、誰も張宝の顔は知らない。」
「先の戦いで顔を見られたのでは?」
「その可能性は有るけど、それは変装して尚且つ他人への露出を少なくすれば危険性は減る筈だ。」
「もしもの時は、間違って襲われたって言えば良いしね。」
星と涼がそう話していると、再び桃香が補足する様に話した。
それから暫くの間、星は静かに考え込み、やがて涼を見ながら口を開いた。
「……確かに成功率は意外と高いかも知れんな。……だが清宮殿、解っているのか?」
「何がだい?」
「貴公は敵を助けようとしている。それがどんな意味を持つのか、まさか解らない訳ではあるまい?」
「……解ってる。もしバレたら、俺や桃香だけでなく義勇軍全体が逆賊として狙われるだろうね。」
真面目な表情で尋ねる星に対し、涼もまた表情を引き締めながら答えた。
星は尚も尋ねる。
「それ程の危険を冒して迄、張宝を助ける理由は?」
「……今回の戦いで、沢山の人が死んだ。連合軍の兵士も、黄巾党の兵士も、沢山……。」
表情を曇らせながら、涼は言葉を紡いでいく。
「死んだ人は生き返る事は無い。……だから、一人でも多く生き残ってほしい。」
「だが、張宝が張角達と合流すれば、黄巾党の勢力が再び強くなるかも知れん。そうなれば、もっと多くの人が傷つき、死んでいくかも知れぬぞ。」
「勿論それも考えた。けど、ここで殺して火に油を注ぐよりはマシだと、俺は思う。」
星の指摘はもっともだった。
張宝は黄巾党の指揮官の一人であり、その影響力は黄巾党という反乱勢力が出来上がった事からも実証済みだ。
黄巾党の怒りを買っても、張宝を殺した方が結果的に良いと思うのも仕方がない。
だが涼は、それでも意思を曲げそうに無く、星と真っ直ぐに向き合っていた。
「……とんだ甘ちゃんだな。」
そこに、時雨が呆れながら声を出した。
その目には怒りが表れており、ジッと涼を睨みつけると、そのままゆっくりと近付いていった。
「世の中は、そんなに甘くねえんだよっ!」
そして次の瞬間、涼の服の襟を掴んで激昂した。
突然の事に桃香は慌てふためき、張宝も驚いている。
だが、星は何の反応も示さず、目の前で起きている事態を静かに見守っていた。
「……黄巾党が今迄何人殺したか知ってるのか!? 殺された人の殆どは何の落ち度も無い、普通の人達だった! それを……それをこいつの仲間は、自分達の欲望の為に殺したんだっ‼」
空いている手で張宝を指差しながら、時雨は叫んだ。
その張宝は、時雨の迫力に圧されたのか自責の念に囚われたのか判らないが、震えながら再び涙を流しだした。
「それなのにこいつを逃がすだと! 人を斬った事も無い甘ちゃんらしい、反吐の出る理想論だな‼」
「……っ!」
時雨がそう罵ると、涼は自分の襟を掴んでいる時雨の手を掴みながら言った。
「なら……これを見ろよ……。」
ゆっくりと腰に有る剣に手を伸ばす。
それを見た時雨は、今も握ったままの大剣の柄に力を込める。
一触即発。いつの間にかそんな空気が立ちこめていた。
それでも涼は剣の柄を握り、鞘から少しだけ抜く。
すると、それを見ていた時雨の表情が変わった。
「お前……。」
それを見た時雨は、いつの間にか涼の襟から手を離していた。
「……これで解ったか?」
そう言って涼は抜きかけていた剣を鞘に収める。
「……お前、人を斬った事あったんだな……。」
時雨はそう呟きながら涼を見つめる。
先程時雨が見たのは、剣の刃に残っていた紅い血の跡。
それは、少なくとも生き物を斬ったという証だった。
今の涼は、トレードマークとも言うべき白いコートを着ていない。
何故着ていないかというと、先程の戦いで返り血を浴びて汚れた為に脱いでいたのだ。
もしそのコートを着たままならば、時雨はそのコートに着いた返り血を見て、涼が人を斬っている事に気付いていただろう。
因みに現在の涼はTシャツにジーパンといったラフな格好。それだけでは締まりが無いという事で、雪里が仕立てた青色を基調とした羽織りをその上に着ていた。
「俺は人を斬った上でこの決断を下した……。勿論、人を斬る苦しみも意味も知っている。」
服を整えながら、涼は静かに言葉を紡ぐ。
「甘い考えかも知れないけど……それでも、理想を捨てる気も諦める気も無いよ。」
そう言った涼の瞳には、一寸の迷いも無かった。
そんな瞳を見せられては、時雨は何も言えなかった。
「お主の負けだな、時雨殿。」
涼と時雨の衝突を見ていた星が、軽く笑いながら言った。
当の時雨はと言うと、星の言葉が図星だったのか何も言い返さないでいる。
そんな時雨を見てから、涼は未だに座り込んだままの張宝の前にゆっくりと進み、その身を屈めた。
「取り敢えず、俺からの提案は以上なんだけど……どうかな?」
涼は張宝に尋ねた。
今迄張宝の処遇について散々議論してきたが、肝心の張宝自身には全くと言って良い程訊かなかった。
だから涼は、確認の意味を込めて尋ねているのだ。
張宝自身はこれからどうしたいのか、と。
暫くの沈黙の後、張宝は口を開いた。
「……今の話、本気で言ってるの?」
「うん。」
「……こんな事して、アンタに何の得が有るのよ?」
「君を助けられるっていう自己満足かな?」
「助ける振りして、後で殺すとかじゃないわよね?」
「違うから安心して。」
「じゃあ……ちぃの体が目当てとか?」
「えっ!? ……えっと、君は可愛いけど、流石にそんな卑劣な事はしないよ。」
「ふーん……。」
いつの間にか、張宝の表情から陰が無くなっていた。
その張宝は暫く涼を見つめると、笑みを浮かべながら言った。
「解ったわ。どのみち選択の余地は無いみたいだし、アンタの言う通りにしてあげる。」
「有難う、張宝。」
張宝の返事を受けて、涼は笑みを返しながら手を差し出す。
張宝がその手を掴むと、涼はゆっくりと引っ張って張宝を立たせた。
すると、張宝は涼の腕に抱きついてきた。
「えっ!?」
「ちょ、張宝さんっ!?」
突然の事に涼と桃香は驚き、時雨と星も唖然としている。
「どうせなら彼女っぽくした方が怪しまれないでしょ♪」
「ええっ!?」
「さっ、早く私を変装させてよ、涼♪」
「また呼び捨てっ!?」
まるで恋人の様に涼に密着する張宝と、曹操と同じ様にいきなり涼を呼び捨てにする張宝に驚く桃香。
涼は戸惑い焦り、時雨は呆れ、星は笑うのを堪えていた。
「え、えっと……それじゃ桃香、俺は一旦愛紗達と合流するから後をお願いっ。」
「えっ!? ちょっと涼、待ちなさいよっ。」
「解りました涼兄さん。さあ張宝さん、変装しに行きましょう♪」
涼が逃げる様にその場を去ると、そこには何故かホッとする桃香や不満げな張宝、笑っている星と呆れる時雨が残された。
第五章「黄巾党征伐・後編」を読んでいただいて有難うございます。
余りのボリュームに前・後編に分けましたが、何とか収まりました。
構成としては、今回も「横山光輝三国志」を参考にしています。崖を登ったり祈祷したりはそこからです。
この作品で主人公を原作の「北郷一刀」にしなかった理由である、「主人公が人を斬る」シーンがこの章で初登場します。
個人的に、一刀が直接戦う描写のイメージが湧かなかったんですよね。けど、主人公にも少しは活躍してほしいなと思い、オリジナル主人公「清宮涼」を作りました。
かといって、無敵の強さをもつ、なんて設定じゃ愛紗達の存在意義が薄れるので、涼はあくまで「愛紗達のお陰で少しだけ戦える強さ」を持つ主人公にしています。これは基本的に変えません。間違っても、呂布(恋)とタイマンはれる強さにはなりませんので御安心を(笑)
作中の「演義」説明の部分には、多分に小説の要素が含まれています。これは、執筆当時の資料が「横山光輝三国志」しかなく、更にそれが吉川英二の小説を元にしている事を知らなかった為のミスだったりします。
新キャラも何人か出てきましたが、この時点では皆真名しか表記していないので、原作キャラは兎も角、オリジナル武将は誰か判らないですね。一応わざとぼかしているのですが、不親切な部分ではありますね。
この章の一番の誤算は張宝こと地和の扱いです。この時点ではああなる予定はまったくありませんでした。最初は普通に逃がして、三姉妹の再会に繋げる予定だったんですけどね。
さて、次ではいよいよあのキャラが出てきます。お楽しみに♪
2012年11月27日更新。
2017年4月15日掲載(ハーメルン)