第二部 一日目
これは、人狼騒動が起きた某鎮守府の提督が、救援要請を出した横須賀鎮守府のシン提督に援軍を出した際の話である。
今回の事件は、某鎮守府とほぼ同時に起こった事件である。
瑞鶴「はぁ!?代表のシン提督は長期出張で不在?!」
五十鈴「ごめんなさい。人狼の噂を耳にするなり、いきなり「本部に話を聴きに行く‼」と言って行ってしまって・・・」
古鷹「だから、いつ戻るかは誰も分からないんです。本当は手伝って頂きたい海域があったはずなんですけれど、提督は明示しなかったんです」
夕立「つまり、シン提督さんは何も指示を出さないでいったっぽい?」
秋月「本当にごめんなさい‼私たちが司令官を止められれば・・・」
大和「どうします?瑞鶴さん」
瑞鶴「来ても指示がないのではどうにもね。明日の早朝には帰る?」
皐月「それがいいかもね。さすがに僕たちも、手伝う海域も分からないのに抜錨するわけにもいかないからさ」
赤城「そうですね。私たちが各個の判断で動くと却って危険です」
準鷹「しっかし何だって突然そんなことしたのかねシン提督さんは。これはもう酒を飲むしかないねえ」
摩耶「お前は毎日酒飲んでるだろ」
グラーフ「悪いが、冗談をいっている場合ではないのだ。」
利根「うむ。援軍を要請しておいて作戦を決めてないなどと本部に知れると、我輩らは立場がない」
五十鈴「厚かましいとは思うけれど、お願い‼鎮守府周辺警戒だけでもいいから、ここに数日間いてほしいの‼」
大和「ですが、特に戦闘するわけでもないのにここにいるのも・・・。私たちの鎮守府も決して忙しくない訳ではありませんよ?」
赤城「えぇ。私たちの鎮守府も、この程度で躓いていられるほど暇では・・・」
阿賀野「ここにいる間はうちの提督の財布からご飯を幾らでも出してあげる‼」
大和「ここにしばらく留まりましょう瑞鶴さん」
赤城「上々ね」
比叡「ひえぇぇ‼即行で手のひら返しました‼」
摩耶「だが、条件として悪くないとは思うぜ」
天龍「どうすんだ?大将」
瑞鶴「・・・はぁ。大和さんは居座る気満々だし、ヴェールヌイと準鷹は酒飲む気満々だし・・・いいわ、それで手を打ってあげる」
夕立「わーい!夕立、間宮さんの羊羹食べたいっぽい‼」
ヴェール「飲み放題か・・・いい響きだ、嫌いじゃない」
準鷹「ひゃっはー!今日は飲み明かすぜー!」
秋月「それは残念だけど、うちはお酒を飲めるのは午前0時までなの。飲み明かすことは出来ないです」
準鷹「えぇー、いいじゃんかそれくらい」
グラーフ「規則は規則だ。お前も空母ならば規則は守れ」
準鷹「ちぇー」
皐月「ところで、さっきの提督の話を聞かせてくれるかい?」
古鷹「本部に行ってしまった話ですか?」
皐月「いや、その前だよ」
古鷹「人狼の噂ですか?」
利根「何でも、人に化けて人を食う恐ろしい化物が3匹だとか」
五十鈴「この鎮守府を破滅に追い込もうと企んでいる狂人もいるらしいけど」
グラーフ「狐も潜んで鎮守府を支配しようとしているとも聞いた」
比叡「ひえぇぇ‼この鎮守府、とても危険じゃないですか⁉」
ヴェール「しかし、噂程度なんだろう?」
赤城「噂ほど宛にならないものはないとは言いますが」
大和「噂ならばそこまで大きな騒動には至らないとは思います」
比叡「ちなみに噂の出所源は?」
阿賀野「この阿賀野だよ‼」
摩耶「信用できねぇぇぇ」
五十鈴「私も。けど、阿賀野が見たと言ってるもの」
阿賀野「遠目になんだけど、森の中に人影が見えたんだ。怪しくて近付いたら、突然四足歩行だったのに、犬みたく走り出したの‼もうびっくりして、これは人狼だって」
天龍「なら狐のほうは?」
グラーフ「狐と自称する者からの怪しげな矢文があってな。この鎮守府を支配すると書いてあった」
大和「随分と物騒ですし、確かにあながち、シン提督が本部に行くのも頷ける気はします」
夕立「夕立、誰が相手でも突撃するっぽい‼」
瑞鶴「けど、それが本当なら、恐らくあれも出てくる」
阿賀野「あれ?」
瑞鶴「占い師、霊媒師、狩人、共有者辺りね」
秋月「しかし、あれはゲームですし、そんなこと起こらないとは思いますよ」
比叡「けど、警戒はやっぱりしたほうがいいですよ?」
摩耶「何せ人員が少なすぎるしな、ここ」
五十鈴「古鷹さん、阿賀野さん、秋月さん、利根さん、グラーフさん、そして私。今はこの6人しかいないの」
グラーフ「他の者は、長期任務に出掛けている。元々少ない人員だったが、今は特にだな」
古鷹「正直、私は不安です。阿賀野さんからの話ではありますが・・・」
阿賀野「それじゃ阿賀野は普段は信用されてないみたいじゃない⁉」
摩耶「今更だろ」
天龍「ま、人狼だか仁朗だか何だか知らねぇが、この俺様が蹴散らしてやるぜ」
ヴェール「聞いたかい今の」ボソ
準鷹「蹴散らしてやるぜ、だってさ」ボソ
摩耶「足震えてるのに、無理しなくていいのにな」ボソ
利根「びびってるとは、チキンじゃな」ボソ
天龍「おいコラァ‼誰がびびってるんだ誰が‼」
秋月(天龍さんて、あんな人だったんだ・・・)
赤城(いつもホラー系の映像を強がって見てるんです)
阿賀野(こいつ、直接脳内に⁉)
夕立「とりあえず、夕立はもう眠たいっぽい」
皐月「だね。今日はもう遅いし、明日に備えて寝ようか。僕らが泊まる部屋はどこだい?」
五十鈴「それならこっち。一人一部屋で割り当てられてるわ」
利根「なかなかに良いベッドじゃ、疲れもきっと取れるぞ‼」
瑞鶴「そう。じゃあありがたく使わせてもらうわね」
瑞鶴(親切にはしてくれたけど、それとは別にすごく不安なこの感じ・・・。この予感、最悪だけど毎回当たるのよね)
外れて欲しいと願う瑞鶴の思いは届かず、事件は起こった。