純血のヴィダール   作:RYUZEN

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第55話 純血のヴィダール

 ラスタル・エリオンの遺書を手に入れたガエリオがまず行ったのは、それを大々的に公表することであった。

 ギャラルホルン革命政権は報道規制を敷いているが、アリアンロッド側にも四大経済圏の一角であるSAUが味方についている。また革命政権側のマスメディアにも跳ねっ返りは一定数いるので、彼等によってガエリオがラスタルの養子となり、エリオン家当主の地位を正式に継承したことは全世界の知るところになった。同時にボードウィン家による吸収ではないことを示すためにも、ガエリオはボードウィン家次期当主としての資格を手放すことになる。

 革命政権側はガエリオの養子縁組については『審査に不備があった』として認めない姿勢をとり、エリオン家の血筋を継いでいるエルネストこそがエリオン家の正当なる後継者であることを譲らなかった。

 これは革命政権側としては当然のことであったが、人が生まれや育ちに関係なく等しく競い合い望むべきものを手に入れる世界を目指していた革命政権側が、結果的に血筋を重んじる姿勢をとらざるをえなかったことは歴史の皮肉以外のなにものでもないだろう。

 ガエリオは改めてマクギリスによる支配体制を否定し、マクギリスこそをギャラルホルン腐敗の象徴と断定。

 ギャラルホルンの腐敗と戦うという名目で、新生ギャラルホルンを結成。正式に直轄地となったデトロイトを臨時本部とした。

 反マクギリスの旗頭が確固たる地盤をもって台頭した影響は非常に大きく、世界中の反マクギリス勢力がデトロイトに結集することになった。反マクギリスでありながら旧来のギャラルホルンへの回帰を目指さないガエリオに不信感をもった保守層は、どちらの陣営につくこともなく暫く雌伏の時を過ごすことになる。

 人事も再編された。

 まずラスタルの幕僚の生き残りで最上位階級の持ち主として、その死後は一貫してガエリオを立てる姿勢をとり続けた乃木・マークスは准将への昇進とアリアンロッド艦隊司令長官のポストがあてられた。

 乃木准将は『自分は将官たる器ではない』として反対してガエリオも一旦は取り下げようとしたが、周りがそれを認めなかった。むしろ誉れである艦隊司令官の地位を辞したことが、アリアンロッド将兵のみならず民間人にまで〝出世に拘らない清廉さ〟と好意的に受け止められてしまったのである。

 乃木准将は謙虚さではなく本当にアリアンロッド艦隊司令の重職を務める自信がなかっただけなのだが、こうなると後に引きさがることもできなかった。乃木准将は満面の笑顔で拍手喝采する部下に囲まれ、一人憂鬱な表情で辞令を受け取ることとなる。

 ノーアトゥーン要塞基地はアリアンロッド艦隊司令部と宇宙本部を兼ねることとなった。同基地司令官には元々の要塞司令官だったジュールズ・ブリュネが一佐に昇進して続投することになる。

 マグワイア基地での戦いで総参謀長と副司令官を兼任するという重責を担ったギュンター・フォン・フックスベルガー三佐は一佐へ昇進。デトロイト地球本部司令官となった。また散らばっていたクジャン派を書き集め、戦局を決定づける武勲をあげたモーリス・リトルビッグホーン一尉は二佐へと昇進。地球本部副司令官となった。これは単純な功績もさることながら、旧エリオン家閥だけに重職を与えるわけにはいかないという派閥人事でもあった。

 これ以外にもこれまでの戦勝に報いるため、戦いに参加した全員が一階級昇進した。戦死した者については生前に遡って一階級昇進させた後に二階級特進の事実上三階級特進をもって報いた。無論そんなことで家族や親しい友人を失った人間の悲しみを埋められるはずもないが、それでも報いないよりは遥かにマシだろう。生きた人間が死者に与えられるものなど名誉くらいしかないのだから。

 

「やれやれ。まったくこれじゃ碌に食事をとる暇もない」

 

 不味い栄養ドリンクを飲み干しながら、新生ギャラルホルン最大の功労者は溜息をつく。

 ガエリオの予想通りだった。

 ラスタル・エリオンの遺した遺書の原文には、コピーにはなかった文書があったのである。

 あのガラン・モッサが傭兵として世界各地からかき集めてきた極秘情報。

 表沙汰には出せぬギャラルホルンのスキャンダル。

 ラスタル個人の所有する隠し財産。

 その内容は多岐に渡る。

 中でもガエリオの目をひいたのは、ラスタルによるギャラルホルン民主改革案の草案であった。

 

「……マクギリスと違って、根っからのセブンスターズがこんなことを考えているとはな。ある意味イズナリオがアーブラウの議員と癒着していた以上のスキャンダルだぞ。

 いや子供の頃からマクギリスと一緒になってギャラルホルンの改革についてああだこうだと議論していた俺が言えたことでもないが」

 

 現在のギャラルホルンはセブンスターズの合議制により運営されている。要するに七人の君主による共同統治だ。

 それにラスタルは君主の一人でありながらメスを入れようというのである。具体的にはセブンスターズ七当主による合議制から、貴族の参加する貴族院と選挙で選ばれた平民による代議院による二院制への移行である。

 上手いやり方だ。

 貴族といえど実際にギャラルホルンを支配しているのはセブンスターズだけだ。それ以外の貴族はセブンスターズのいずれかを支援することで、間接的に影響を及ぼすことしかできない。

 しかし貴族院が成立すれば、これまで政治に関われなかった貴族も政治に参加することができる。庶民に関しては言わずもがなだ。

 自分たちの権力が拡大するのであれば、庶民が権力者になることに目をつむって、ラスタルの改革に賛同する貴族も出てくるだろう。士官学校貴族枠は維持するなど、セブンスターズを有名無実化する一方でそれ以外の貴族に対しては丁寧なほど配慮がなされている。

 これはマクギリスのやっている急進的改革との大きな違いだろう。

 マクギリスは配慮などしない。貴族に対しても平民に対しても徹底して公平に徹している。貴族の権威を振りかざし能力以上の地位にいる人間を容赦なく降格する一方で、しっかり能力を発揮している者は他派閥出身だろうと排斥することはなかった。平民であろうと能力があるならば取り立てたが、能力以上の地位についていたならば貴族と同じように降格させた。粛軍によって不名誉除隊した軍人の中にも平民出身者は少なくない。

 セブンスターズを有名無実化しようとしているのはラスタルもマクギリスも同じだが、貴族院や代議院などを作ることもせず、政治権力を自分のみに集約しようとしている。

 独裁制と民主制。

 似たような改革を志しながらマクギリスとラスタルの方針はまったく正反対の方向に向かっていた。

 

「どちらも危険思想だったことに違いはないが」

 

 言うまでもないことだが体制の転覆を企てることは大罪である。

 例えるならば絶対王政の国王が王政をやめて共産主義を目指すようなもの。或いは民主国家の元首が議会を閉鎖して皇帝になろうとするようなものだ。露見すればセブンスターズとしての地位を追われたであろうことは想像に難しくない。

 ある意味セブンスターズの権力闘争の延長線上にあるマクギリスの改革よりも、ラスタルのそれは過激とすら言えた。

 

「イオクとジュリエッタを側において育てていたのは、貴族と平民双方の次期指導者とするため。ゆくゆくは二人を結婚させることで貴族と平民の融和の象徴にでもするつもりだったのか? まったく食えないオヤジだ」

 

 もっともラスタルの期待に応えたのはジュリエッタだけで、イオクの方は期待を裏切り続けてしまったわけだが。

 しかもイオクがこけても問題ないよう、ガエリオ・ボードウィンというスペアまで仕入れてくる用意周到さである。

 先を読んで必要な備えを用意しておくのはラスタルが名将と呼ばれる所以の一つだ。だがここまでやられると、一体どこまで先を読んでいるのかと問い詰めたくなる。

 ジャパンの秘境に住むITAKOなるシャーマンは死者の魂を呼び寄せる特殊なニンポウを使うそうだが本当だろうか。やれるものならラスタルの魂を呼び寄せて欲しいものだ。

 

「まさかマクギリスを泳がせたのもそのためか。マクギリスに革命を起こさせておいて、その鎮圧にかこつけてファリド家諸共に自分の対抗勢力を叩き潰す。

 流石に俺の考えすぎか? いやだがウドガルド宙域会戦は鉄華団の一か八かの博打が成功していなければ、順当にアリアンロッドが勝ったのは間違いない。もしも……もしもあそこでアリアンロッドが勝っていたら、今頃どうなっていたんだ?」

 

 当然のことだが革命の首謀者であるマクギリスは間違いなく殺されたはずだ。戦場で死なずに捕虜になったとしても処刑は免れまい。生かしておくにはマクギリスの才能は余りにも危険すぎた。

 恐らくイズナリオ・ファリドの醜聞も表沙汰され、ファリド家はセブンスターズから除名されることになるだろう。

 革命に対して風見鶏を決め込んだファルク家とバクラザン家も処刑はされないにしても、セブンスターズでの立場と権威を喪失するだろう。イシュー家は既に後継者不在。

 そうなると残るのはエリオン家とクジャン家とボードウィン家の三家のみ。クジャン家当主のイオクはラスタルを己が主君と認識するくらいに敬愛している上にボードウィンのガエリオは客将の立場。

 事実上ラスタル・エリオンによる独裁体制が成立してしまうだろう。

 矛盾していることだが独裁者になることができれば、独裁的にギャラルホルンを民主主義的な組織に変えることだって可能だ。

 

「巨星ラスタル・エリオン……怪物だな」

 

 改めて強くそう思う。

 こんなに化物染みた男の後継者が本当に自分に務まるか不安になる。

 だが一方でこうも思うのだ。

 

「その怪物でさえ、ちょっとした不運のせいであっさりと戦死した」

 

 死というものの唐突さ、人生の無常さを覚えずにはいられない。

 

「英雄の持ちうる偉大なる才能でさえ、運命という大いなる神の前ではちっぽけなものに過ぎないのだろうか」

 

「……いい歳こいて、なにを詩人ぶったことを言ってるのですか?」

 

 驚いて振り向くと、ジュリエッタが胡散臭そうな目でこちらを睨んでいた。

 控室の扉はいつの間にか開いている。

 

「恥ずかしいところを見られたな。だが聞き流してくれ。俺だって運否天賦とやらを管理している神に愚痴りたくなる時だってあるんだ」

 

「貴方は今や新生ギャラルホルン初代統制幕僚長にして最高司令官なんです。いつまでも特務三佐の気分でいられては困ります」

 

「はいはい。分かっているよ三佐殿」

 

 アリアンロッド屈指のエースとして活躍していたジュリエッタは、これまでラスタル・エリオンの私兵という立場で公的な階級はなかった。だが彼女のこれまでの功績を鑑みて三佐の階級を得たのである。

 ジュリエッタがその階級に相応しいだけの活躍をしてきたことは、アリアンロッドでは知らぬ者のいないことなので、反対する声は驚くほど少なかった。

 

「さて、時間だな」

 

 時計で時間を確認したガエリオは椅子にかけていた上着をとる。

 エメラルドグリーンのそれはアリアンロッド艦隊司令長官であるラスタルが纏っていたのと同じものだ。それをセブンスターズの濃紺の軍服の上からラスタルと同じように肩に羽織る。

 

「行こうか」

 

「はい」

 

 ガエリオはジュリエッタを伴って待合室のドアを出た。

 外では今日の主役の登場を固唾を飲んで待ち焦がれている。

 

 

 

 そして遂に時系列は〝冒頭〟へ戻る。

 自分がエリオン家を継承したことを改めて大々的に告げたガエリオの心は、不思議なほどに落ち着いていた。

 直前までは情けないと思うくらい緊張していたのに、いざ人前で出てしまえば体に流れる支配者の純血(ブルーブラッド)がガエリオを奮い立たせた。

 反応は悪くない。SAUではエルネスト・エリオンの傲慢なやり口が記憶に新しい。革命政権への逆風は、こちらにとっての追い風であった。

 

「アグニカ・カイエルは厄祭戦を終わらせたギャラルホルンにおいて最も誇るべき英雄だ。アグニカ・カイエルがいなければ今のギャラルホルンの繁栄はなかっただろう。それどころかこの宇宙から人類は滅亡していたかもしれない。

 だがギャラルホルンはアグニカ・カイエルによって生まれたが、アグニカ・カイエルと共に歩んできたのではない! アグニカが死んでから三百年。街の治安を守り、市民が安全で暮らせるよう努めてきたのは誰だったか。私は誇りを思い出して欲しい。

 我々だ。アグニカじゃない、我々がこの三百年地球と宇宙の平和を守ってきたのだ。それをなんだというのだ?

 アグニカ・カイエルの魂が宿るMSガンダム・バエルは、このMSに選ばれた者こそがギャラルホルンの支配者であるとされた錦の御旗である。

 私は敢えて暴言を吐く。セブンスターズの立場では許されない侮辱だ。

 いったい三百年前の鉄屑風情に如何程の価値があるというのか?

 この放送を聞く諸君等の中には守るべき民衆からはお高く止まっていると揶揄されただろう。身内が罪を犯したことを出され謂われなき暴言を受けた者もいるだろう。競争激しい士官学校で苦学の末に主席の座をもぎ取った者もいるだろう。

 私はギャラルホルンに所属する全員に問いかけたいのだ。君達の誇りは、三百年前の鉄屑如きに尻尾を振るうほど安いものなのかと。

 それは違う。君達の誇りはアグニカ・カイエルの偉業となんら劣るところがないと信じる。

 …………話を逸らすことになるが、ここで私は一人の男の話をしたい。この放送を見ている諸君等はアイン・ダルトンという名前をご存知だろうか?」

 

 マスメディアの人間というのは情報を扱う職業だけあって一般人よりも博識である。

 エドモントンの悪鬼。ギャラルホルンの顔に泥を塗った愚か者。悪い意味で名前を轟かせたアインの名前は誰もが知っていた。

 だからこそ次のガエリオの一言に記者たちは腰を抜かすことになる。

 

「俺は嘗てアイン・ダルトンの上官だった」

 

 記者たちの中にはアインがガエリオの部下だったという情報を掴んでいる者もいた。彼等はガエリオがそのことを大々的に発表した意図がつかめなかった。

 エドモントンでの狼藉により軍籍抹消処分を受けたアイン・ダルトンの上官であったことは、ガエリオの経歴にとってマイナス以外のなにものでもない。

 普通は隠蔽するか、そうでなくとも態々発表したりはしないだろう。政治家が自分が汚職したとTVで告白したようなものだ。

 この場にいる人間の中でただ一人冷静なガエリオは、記者たちの狼狽も気にせず続ける。

 

「アインは誇り高い男だった。地球出身者と火星出身者のハーフという出自のせいでギャラルホルン内では――――まったくもって唾棄するべきことであるが――――酷いパワーハラスメントを受けていた。常人であれば鬱病を患い、退役していても不思議ではなかっただろう。だがアインは屈しなかった。差別を受けながらも彼は誇りを捨てず、ひたすらに自分の牙を研ぎ澄ませ続けた」

 

 最初は自らスキャンダルを暴露して自爆したガエリオを質問攻めにしようとしていた記者たちも、ガエリオが丁寧に話すのを見て口をつぐむ。

 セブンスターズの権威にも助けられたのだろう。恐らくガエリオがセブンスターズではなく、普通の政治家であれば記者たちも畏れを抱きはしなかった。

 

「彼が私の部下になったのは、彼にとって恩師とも言える上官が戦死した後のことだった。上官の仇を討つために彼は危険な任務を自ら志願し、私も恥ずかしながら当時は単なる気分でそれを受け入れた。

 二度……。これがなんの数字か分かるだろうか? 私が彼によって命を救われた回数だ。上官の仇討ちを目的として戦いながらも、彼は軍人としての本分を忘れることはなかった。上官である私が無様にも敵MSに追い詰められれば、仇が目の前にいても上官の命こそを優先した。

 そして地球軌道上における戦いで、彼は私を守るため自らを盾にし、瀕死の重傷を負った」

 

 アイン・ダルトンがガエリオの部下であったことを知っていても、流石にそんな経歴を知っている者まではいなかった。

 明かされていくアイン・ダルトンの真実にジャーナリストは興奮したようにメモをとる。

 

「臓器の多くを損傷し、再生治療も追いつかず、機械に繋いで生命維持を続けなければ生きられない。彼は私を救うために上官の仇討ちをすることのできない体になった。悪魔の声が俺の耳元で囁かれたのはそんな時だ。悪魔の名はマクギリス・ファリドと言う」

 

 本日二度目の衝撃がジャーナリスト達を襲った。

 なにせここにきて革命政権の独裁者、つまりはガエリオ・ボードウィン最大の敵の名が出てきたのである。

 

「マクギリスは言った。『アインに阿頼耶識システムの施術をすればいい』と。『身を捨ててギャラルホルンを守った原点を示せ』と。俺の心が弱かったのだろう。その声に俺は頷いてしまった。

 その後のことは皆も知っての通り。阿頼耶識の施術によってアインは精神を犯され、狂気に支配されてしまった。エドモントンの戦いでMSでの都市部侵入という暴挙を行ってしまったのも全てはそのせいだ。

 だがそれもマクギリスの計画のうちだった。阿頼耶識システムによってアインを意図的に狂気で侵すことで暴走を促進。その様を全世界に公開することで、ギャラルホルンの威信を失墜させ、養父イズナリオを失脚させつつ自らが権力を握る。それがマクギリスの狙いだった。

 幼馴染であったカルタ・イシューを謀殺し、我が妹であるアルミリアと婚約し、そしてこの俺を殺そうとしたように。奴はアイン・ダルトンの誇りと命を弄んだ!」

 

 口調を強めていくガエリオ。それに連れて集まった人間はジャーナリストから観衆へ変わっていた。

 ガエリオの一挙手一投足に興奮し、熱のこもった視線を向ける。

 

「マクギリスは言う、微温湯の合議制をとり世界を支配するギャラルホルンを糺すと。奴がやったのは独裁政権を作ることだった。

 マクギリスは言う、旧態依然としたギャラルホルンを改革すると。奴がやったのはギャラルホルンの旧き伝説たるバエルを盗むことだった。

 マクギリスは言う、人が生まれや育ちに関係なく等しく競い合い望むべきものを手に入れる世界を作ると。奴がやったのは火星出身者の血を引くアインの誇りを踏み躙ることだった。

 マクギリスは常に言ってきた! 腐敗を糺す、不正をなくす、正義をなすと! だが常に奴は正反対の行動をとってきた! マクギリスこそ腐敗の象徴であり、不正の権化であり、不正義の化身だ!

 私、ガエリオ・ボードウィン・エリオンはここに改めて宣言する! 逆賊マクギリス・ファリドを――――討つと!」

 

 会場全体から拍手が響き渡る。人々の喝采を一身に集め、堂々と立つ姿を見ればもう誰もガエリオをマクギリスの影に隠れた二番手などと揶揄する者はいないだろう。

 ここにガエリオは初めてマクギリス・ファリドと並び立ったのだ。

 

「最後に。俺はアイン・ダルトンを部下にもったことを、誇らしく思う」

 

 後の歴史家は言う。ガエリオ・ボードウィンとアリアンロッド艦隊はこれまでは一介の反乱勢力に過ぎなかった。極端な話をすれば規模が大きいだけの海賊となんら変わらなかったと。

 しかし今日この日をもって彼等は明確にマクギリス・ファリドの対抗勢力になったのだと。

 後に角笛戦役と呼称されるギャラルホルン史上最大の内乱は、この日この時より始まったのだ。

 




「後書き」
 ラスタル様のギャラルホルン改革の草案については、原作での民主的組織へのスピード改革をやったあたり、ラスタル様には元から改革案あったんじゃねという考察からの捏造です。ラスタルがマクギリスにわざと蜂起させて、邪魔者を消し去ったとかはガエリオの想像でありなんの根拠もありません。
 ついでにジュリエッタが三佐になったのは、全員一階級昇進するのでシノが一尉になることから、さすがにジュリエッタが客将のシノ以下はどうなんだということでバランスをとって三佐にしました。
 ガエリオの演説は当初は普通にマッキー批判だけするつもりだったんですが「ガエリオならここでアインの名誉回復とかするんじゃね?」と思ったので半分くらいアインになりました。
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