いろいろなジャンルの物語を読みました。
「要請、ヨルハ機体A2の行動目的の開示」
しつこくポッドにそう言われ、根負けしたA2は「機械生命体ぶっ殺す」と答えた。別にポッドがいようがいまいがやることに変わりはないのだが、律儀に30秒ごとに行動目的を聞かれてたらそのうち行動目的がゲシュタルト崩壊してノイローゼになるかもしれない。
A2の目的を聞いたポッドはこの地域一帯をスキャンし、砂漠に大型の機械生命体がいると言った。
「推奨、大型機械生命体の破壊」
ポッドの言葉に素直に従うのも癪だが、ヤバそうな機械生命体をほったらかすのも目覚めが悪い。そう、私は私のために機械生命体を破壊しに行くのであって、決してポッドに言われたからじゃないんだからね!っと半ばツンデレ気味に自分の中で思考を正当化してA2は砂漠にやって来た。
砂漠での大型機械生命体には随分と苦戦させられた。敵の装甲が固かったり、遠距離にいる機械生命体に対する攻撃方法を持たないA2に対して射撃支援システムのポッドが自分への感謝を推奨されたり、ポッドの小言に苛立ちを感じたり・・・精神的な意味での苦労の方が多い気がする。
戦闘中、敵のEMP攻撃によってA2はハッキング被害を受けてしまう。その対処の途中で彼女は様々な記憶を覗くこととなった。自身の記憶。武器を通して手に入れた2Bの記憶。頭の中に声が響く。そうしたもの全てを振り払うように、A2の意識は無理矢理現実へと戻る。
「うるさい・・・」
A2はそう呟くと誰もいなくなった砂漠に倒れた。
◇◇◇
〈ポッド153へ。情報共有を開始する〉
・・・・・・・・・
【理解した。A2の記憶空間内にある2BデータがA2の自我に及ぼす影響について、今後の報告を待つ】
〈支援活動の参考情報としてアップデートする〉
◇◇◇
機械生命体との激闘によって体に負荷がかかり、倒れてしまったA2。しばらくして再起動したが、砂嵐の吹く砂漠で倒れていたせいで体の中に砂が入り込み、燃料用濾過フィルターが劣化してしまった。
レジスタンスキャンプならば濾過フィルターがあるのではないかと、A2は部品交換のためにレジスタンスキャンプへと向かう。
「ひいいいっ!助けて・・・助けてください!!」
レジスタンスキャンプの前で機械生命体が機械生命体に襲われていた。まあ、最近は機械生命体にも個性が出過ぎて機械生命体が他の機械生命体を襲ってもおかしくはないのだが。森の国の奴らなんて身内以外は機械生命体だろうと皆殺しみたいなスタンスだし。
とりあえずまずは周りの機械生命体を一掃する。
「大変ありがとうございました」
別にお前を助けた訳じゃない。
「貴様も機械生命体だろう・・・」
「いいえ!貴方と戦うつもりはありません!私の名前はパスカル。戦いを嫌う機械生命体です」
「だから何だ。機械生命体に魂なんか無い。ただの殺戮機械だ」
機械生命体は皆殺し。怒りや恨み、悲しみにも似ているそれが、A2の行動の核だ。森の国の機械生命体と大して変わらないのかもしれないが、それでもA2に止まるつもりはなかった。
「私の仲間を何人も殺した罪を・・・償ってもらおう」
「そうですか、仕方ありませんね。それで、貴方が・・・救われるのなら」
A2の言葉にパスカルは優しい声でそう言った。
無抵抗でさらに自分に優しさまで向ける。そんなパスカルに戸惑いに似た感覚を持ちつつも、A2は武器を手に取り、なるべく苦しまないように、1撃で破壊できるように、武器を振った。
◇◇◇
A2はパスカルを破壊した。その後、パスカルが死んだことにより機械生命体の村が崩壊・暴走を起こし、地上のアンドロイドは全滅することになる。
NieR:Automata
over[Z]ealous
◇◇◇
「ひえええっ!助けて・・・助けてください!!」
気がつけば、目の前で機械生命体が機械生命体に襲われていた。・・・というかパスカルが襲われていた。
これがエンディングの力なのかと思いつつ、A2は周りの機械生命体を破壊する。
「大変ありがとうございます。私の名前はパスカル。戦いを嫌う機械生命体です」
うん、知ってる。とは言う事もできず、とりあえず話を合わせる。
「戦いを嫌う?お前も機械生命体だろう。私の気が変わらない内にどこかに行け」
「・・・私を殺さないんですか?」
「うるさい。さっさと行け」
殺すと話が進まないからとは口がい裂けても言えない。
「貴方は・・・いえ、ありがとうございました」
そう言ってパスカルは飛び去って行った。これでようやく濾過フィルターを手に入れられる。
レジスタンスキャンプでアネモネと再会し、少しだけ話をする。死んだ仲間のこと。2Bのこと。しんみりした空気になりつつも、本題に移る。
「アネモネ、聞きたいことがあるんだが・・・濾過フィルターを分けてもらえないか?燃料用のヤツだ」
「燃料用の濾過フィルター・・・最近在庫を切らしてるんだ。パスカルが生産してるから、良ければ直接取りに行ってくれ」
「パスカルって・・・」
「知っているのか?」
「あ、ああ・・・」
正直に言おう。気まずい。
さっきあたかも「私、機械生命体嫌いだから。助けはしたけど一緒にいたくないからどっか行ってくれない?」みたいな風に別れたばっかりだというのに一体どんな顔して会いに行けばいいというのだ。
とはいえ、濾過フィルターを手に入れなければいつ体の調子がおかしくなるか分からない。A2はパスカルになんと言って話しかけるか考えながら、パスカルの村に向かった。
パスカルの苦悩3連続1発目。