アンドロイドはエンディングの夢を見るか?   作:灰色平行線

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結局、考えても答えの出なかったその小説は、
今になっても何処に倒れるでもなくフラフラしているのでした。


mave[R]ick

 燃える。真っ赤に燃える。火の粉が飛ぶ。そんな赤色で覆われた村のあちこちに動かなくなった機械生命体達が倒れている。赤色の中で動くのはただ1人、A2だけだった。

 突如として暴走したパスカルの村の機械生命体達。暴走した機械生命体は他の機械生命体を襲い始め、暴走していない機械生命体は襲われ壊れてしまった。

「パスカル。聞こえるか?」

「ああっ・・・A2さん」

 パスカルに通信を繋ぐと、彼は焦ったように話してくる。

「村は、村の皆はどうなりましたか?」

「すまない・・・ダメだった」

「そんな・・・」

 村の中に生きている者はもういない。皆、壊れて死んでしまった。

「子供達は大丈夫か?」

「廃工場跡地に避難させています」

「分かった。ひとまずそっちに行く」

 A2は走り出す。せめて残された者達だけでも守らねばと。

 

 A2が廃工場の内部に入ると、パスカルと子供達がそこにいた。子供たちは皆、怯え、震えている。

「ああ・・・A2さん」

 パスカルの言葉に元気はない。

「一体何があったんだ?」

「わかりません・・・いきなり一部の村人達が同じ村の仲間を食べ始めたのです・・・。A2さんが来てくださらなかったら、私達もきっと・・・ありがとうございました」

 お礼を言われても正直困る。結局、村の中では誰も守れなかったのだから。

「まあ、どのみち全員死ぬんだけどな」

「え?」

「それでも自殺するよりかはマシだと思うんだが」

「え、A2さん?」

 そして、誰を守るつもりもないのだから。

 一閃。横に振られた刃が機械生命体の子供達の体を綺麗に真っ二つにする。

 

 ◇◇◇

 

 何かを思いついたA2は、突然機械生命体を破壊し始めた。

 パスカルは唖然としてその姿を見ていた。

 

 NieR:Automata

 mave[R]ick

 

 ◇◇◇

 

 何も考えられなかった。突如として子供達を破壊し始めたA2に対して、何と声をかければいいのか分からなかった。頭の中がごちゃごちゃして、考えがまとまらなかった。

 

 そして、気がつけば全てが元通りになっていた。

 廃工場の中で子供たちは怯えている。そして、A2の姿はどこにもない。

 一体何が起きているのか。考える暇もなく、廃工場の扉が開いてA2が入って来る。

 まるで同じ時間を繰り返しているようだ。前にも同じことがあったような気がする。2Bと初めて会った時、以前廃工場にいた機械生命体の集団との和平交渉に行った時とよく似ている。

「パスカル、一体何があった?」

 A2が話しかけてくる。A2が子供達を破壊した光景が忘れられないが、とにかく話を進めなければ。

 

 機械生命体には自我データを形成する「コア」というユニットがある。暴走した村人も、襲われた村人も、1人残らず例外なくコアごと破壊されていた。アンドロイド同様、死んでも復活できる機械生命体だが、コアを破壊されてしまえばもう元に戻ることはできない。そのことをA2に伝えるパスカルだったが、言っててなんだか悲しくなってくる。村人がもう戻らないことを自分に分からせている気分だった。

 その後、ポッドからの報告によって廃工場に多数の機械生命体が集まってきていることが分かった。このままでは子供達まで殺されてしまう。

「この部屋に入られる前に、叩き潰す!」

「わ、私も、援護します!!あいつらを叩き潰して、ぶっ殺します!」

 廃工場の外に出るA2にパスカルは続いていく。子供達を守るためならば、平和主義なんて喜んで捨ててやろうではないか。

 

 襲い来る機械生命体達をA2と共に皆殺しにして子供達の所へと戻るパスカル。

 廃工場の中へと入った彼が見たのは、動かなくなった子供達の姿だった。

「ああっ・・・なんという・・・ああっ・・・」

 悲惨な光景に崩れ落ちるパスカル。子供達は、皆自らの手で、腹に武器を突き刺した姿で動かなくなっていた。

「こんな・・・こんな事になるなんて・・・」

 パスカルは村の子供達に様々な知識と感情を教えていた。その中の1つに「恐怖」がある。子供達が無謀なことをしないように、怖さを知らずに命を落とさないように、パスカルは子供達に「怖い」という感情を教えたのだ。

 その結果、子供達は恐怖に耐えきれずに自らのコアを破壊した。怖さから逃れるために。まるで、苦痛から解放されるために死を選んだかつての廃工場の機械生命体達のように。

 ふと記憶の中にあるA2の言葉を思い出す。

「自殺するよりかはマシ」

 確かにそうかもしれない。あのままA2が殺してくれていたのならば、A2を恨んで自分を保っていたのかもしれない。だが、死んだ子供達は自分で自分を殺したのだ。子供達を恨むことはできない。なんで死んだんだと説教することもできない。襲ってきた機械生命体はもう殺してしまった。誰を恨むこともできない。パスカルはもう、自分を保てない。

「お願いが・・・あります・・・」

 立ち上がったパスカルは静かに語る。

「この・・・苦痛に私は耐えられません・・・私の記憶を消去していただけないでしょうか?さもなくば、私を・・・殺してください」

「・・・」

 パスカルの力無き言葉にA2は―――




パスカルの苦悩3連続3発目。
小説が完結するまでDLCはやりません(揺るぎない覚悟)。
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